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新銀行東京について考える

昨日はちょっとやわらかい話題だったので、今日はちょっとかたい話を書いてみようかな。バランスをとらなければ。経営者は何事につけ、バランス感覚が大事なのですよ。

それで、私が取り上げるテーマは、「新銀行東京」です。昨日の夜、NHKのクローズアップ現代でやっていましたね。元銀行員の私でもあり、ぶつぶつ頭の中でひとりごとを言いながら聞いていました。

資金繰りの困っている中小企業に、資金を融資して健全な発展を促し、経済を活性化する…。

素晴らしいことだと思いますし、是非、我々中小企業をサポートして欲しい。企業経営者の端くれとしては、大いに歓迎するところでありますが、元銀行の融資担当者の視点で見ると、この理念をスムーズに実現するのはなかなか大変ではないだろうかと思ってしまうのです。

一般銀行の融資を審査するポイントはいくつかありますが、重要なのは資金使途、返済能力、そして担保です。バブルの崩壊前は、土地や証券といった担保の価値がうなぎ登りにアップして、いざというときそれを売れば問題ないやという気持ちで、資金使途はまったく後回しになってしまいました。

たとえば当時、従業員3名足らずの会社に、ある都市銀行の支店長は土地を担保に一億円借りてくれとたのみに行きました。そんな大金を借りても使い道がないと社長が断っても、とりあえず株で儲けましょうよと強引に借りさせ、その資金を全額株に投資させます。結果は言わずもがなで、株が大暴落して多大な損害をこおむった社長は、親の代から住んでいる土地建物を借金の形にとられてしまった、という例は少なくありません。

すなわち、バブル当時は、資金使途がないがしろにされ、まず担保、それに付随する形の返済能力に審査方針が偏ってしまっていたのです。

さて、昨日テレビを見ていたら、新銀行東京は、信用金庫の融資ノウハウを積極的に取り入れるそうです。

信用金庫の場合、今はどうだか詳しく知りませんが、まず取引した会社に積立金を勧めます。そして、毎月職員が集金に訪問し、社長と親密になる。その後、借り入れを申し込んだらその積立金の支払い状況やたまった金額を参考に融資額を決めるというやり方でした。

このやり方は、信金の経験法則から割り出したのかもしれませんが、とても理にかなった方法だと思います。

まず毎月信金の職員が集金にかこつけて会社を訪問し、常に現場から経営状態をチェックできます。そして社長や従業員と親しくなって、彼らの人となりを理解できる。また、毎月、決められた日に、決められた金額を入金させることで、お金に対する神経の使い方、計画的に経理事務がなされているかどうかがわかることですね。

そのなかでも、もっとも重要な融資審査ポイントは、経営者でしょう。かつて「銀行は経営者のどこを見ているか」というテーマで勉強会を行ったのですが、そのとき以下の点を話したことがあります。ちょっと箇条書きにしてみようかしらん。

⑴経営者にバランス感覚はあるか

 自分の会社について、いろいろな視点から見ることができるかどうか。たとえば技術畑出身の社長が、マーケティング度外視の商品企画を単に技術的な興味だけで採用していたら、会社は先細りしてしまいます。いろいろな視点から見ることのできる柔軟さがあって初めて、会社を取巻く外部環境の変化に対応できるのです。

⑵経営者に財務的素養はあるか

 これは別に、経営者が経理をできるかどうかというのではありません。もちろん、自分で帳簿をつけておられる経営者は、自社の財務的な問題点をよく理解されていると思います。ただこれは零細企業の例であって、従業員を10人も抱えてしまうと経営者のやる仕事はほかにもあるはずです。これは、会社のさまざまな長所、改善すべき点、問題点などが数字に裏打ちされて頭に入っているかどうかということです。たとえば新しい商品を売り出すためにセールスプロモーションをかけるとき、広告会社の言われるまま販促費をかけたのでは、もしそれが売れなかった場合、倒産の危機に直面することになります。あまりケチったのでは売れる商品も売れなくなってしまいますが、どの程度まで販促費をかけてもリスク回避できるのか、そのあたりの見極めは常日頃から会社の数字を頭に入れておかなければ判断できません。経営者にとって会社の実状が計数的に頭に入っているかどうかということも大変重要なことです。

⑶経営者は人の話に耳を傾けることができるか

 中小企業の経営者にワンマンは多いと思います。しかしワンマンもいい面はいろいろあります。経営の意思決定は早いですし、何より経営責任が明確でバイタリティがありますから、会社が順調なときは思いもかけない急成長をみせるときがあります。現在大企業に発展している会社も中小零細企業だった当時は、ワンマン社長が従業員をぐいぐい引っ張って大きくしていったところが多いと思います。ただ経営者も人間ですから、完全ではありません。営業に得意な経営者、技術者出身の経営者、経理出身の経営者、いろいろなタイプの経営者がいると思います。自分にとってわからない点を謙虚に人に聞けるかどうかという点も経営者にとって大切です。またわからない点を補ってくれるのが部下である場合は、その部下をうまく使いこなしているかどうかということも重要なのです。

⑷経営者が正直かどうか

 経営者の中には銀行員の前で調子の良い話ばかりする方がいます。たとえば、この新商品が世に出れば年間○億円の売上は堅い、とか、海外の有名企業から格別の好条件で提携の話が来ているとかいったことです。これが本当なら何の問題もないのですが、銀行員はどうせ業界事情に疎いから口先でごまかしてやろうとかかるのはかえって逆効果になりかねません。銀行員は、いわゆる会社ウォッチャーのプロです。その会社が本当に儲かっているのか、本当に将来がバラ色なのか、といったことは、従業員、仕事場の活気、業界他社の動向、噂話、在庫状況などからわかるものなのです。経営者が会社の現在の状況に目をつぶり、バラ色の将来にばかり目を向けているということから、銀行員はその会社を警戒するようになります。銀行員も人間です。悪いところがあればかえって包み隠さず、経営者自ら客観的に分析し改善策を提示したあとで、それに対する意見を銀行員に求めた方が、経営者はそこまで自分を信頼してくれるのかと意気に感じるものなのです。経営者は正直であることが鉄則です。

大体、私的には、以上の点が重要だと思います。

以上の審査眼は、経験豊富な銀行マンは皆持っていると思うのですが、銀行マンには一般的に致命的な欠点があります。

それは、新銀行東京の銀行マンに今後、とくに関わってくることじゃないかな、と考えるのです。これは、銀行の中に居続けたのではなかなかわからないこと。

ところで、ちょっと今日は長くなりすぎてしまった。銀行に関しては言いたいこといっぱいあるので、大変。この続きは、次回にさせてください。

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