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サザンにおけるネーミング戦略考

 こんにちは。

 日曜日からずっとお送りしています、サザンオールスターズクロニクル。

 おととい、明日更新すると書いたにもかかわらず、一日ずれ込んでしまい、申し訳ありません。

 昨日は一日中外回りをしていて、疲れてしまいましたので…。 

 でも、歩きながら、無意識にサザンの名曲を口ずさんでいる自分に気づきました。

 この3日間、サザンのヒット曲と当時の自分の周りの出来事とがリンクして懐かしい気持ちになりましたね。

 私たちの青春時代は、サザンを抜きにして語れないといっても過言ではないですから。

 よく同年代の女性に、「歌手では誰が好き?」 と聞くと、大抵サザンっていう答えが返ってきましたっけ。

 ところで、おととい書きました「チャコの海岸物語」のあと、サザンは順調にヒットを飛ばし続けていました。

 でも人気が再度爆発するのは、「真夏の果実」が出た頃でしょう。

 この曲は、桑田さんの初監督作品『稲村ジェーン』の主題歌です。

 「真夏の果実」もまた、いかにもサザンらしい名曲です。夏の郷愁を感じさせるイントロ。美しいメロディー。パンチの効いたサビの部分。

 サザンの曲の中でもベスト3に入るばかりではなく、近代歌謡史に残る名曲だと思います。

 だけど、大晦日のレコード大賞では、B.B.クィーンズの「踊るポンポコリン」にさらわれてまたも受賞を逃すんですよね。

 そのあと恒例の大晦日コンサートで、「ぐやじ~」と大声で桑田さんが叫んでいましたっけ。

 確かに悔しいですよね。あの名曲が、「ぴ~ひゃら、ぴ~ひゃら」に負けたんですから。

 私もすごく悔しかった。

 だけどやっぱり桑田さんは打たれ強い。

 ふてくされることなく、10年後「TSUNAMI」でレコード大賞を受賞したのは立派でした。

 ところで、桑田さんの映画初監督作「稲村ジェーン」。

 もちろん見に行きましたよ。

 主役は、あの加勢大周(若い人で、知ってる人います?)と清水美砂。

 舞台は昭和30年代の湘南。伝説の波が来るのを待つサーファーの物語だったと記憶しています。

 でも映画自体の評判はあまりよくありませんでした。見た私の友人たちも酷評している人が何人かいましたっけ。

 私は結構面白かったですけど…。

 映画としてではなく、サザンの曲のプロモーションビデオだと思えば割りと楽しめる。

 とくにバックに「真夏の果実」が流れる大雨のシーンとオート3輪ミゼットが快調に走る「希望の轍」のシーンは、今でもよく覚えています。

 ところで今日の本題は、サザンオールスターズのネーミング。

 このバンド名をつけたのは、やはり桑田さんだとか。

 なんでも、当時桑田さんがはまっていたクラプトンなどの「サザンロック」と、 そのころ来日した「ファニアオールスターズ」の二つをくっつけて「サザンオールスターズ」というバンド名にしたらしいです。

 日曜日にも書きましたが、沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバット」をくっつけて「勝手にシンドバット」にしたのと同じような安易なネーミングですよね。

 だけど、この安易なネーミングが、サザンを語る上において、非常に重要なポイントだと私は思うのです。

 みなさんは、おそらく「サザンオールスターズ」と全部言わないで、大抵、愛着を込めて「サザン」と言うのではないでしょうか。

 この「サザン」のいうネーミング。

 マーケティング的に見て、すごくヒットするネーミングなのです。

 桑田さんはこのことはおそらく知らないでつけたのでしょう。でも、多くの人たちから愛されるネーミングだという実感はあったと思います。

 あるビジネス書に、売れる商品のネーミングのポイントという箇所があるのですよ。その重要なポイントは3つ。

 以下に箇条書きしますと…

● 必ず母音のAからはじめよ

● 必ず濁音か、破裂音を入れよ

● 必ず最後はN(ん)で終えよ

 いかがですか。

 そのビジネス書には、具体例として「サザン」という言葉が出されているわけではありません。

 しかし、ぴったりと上記のヒットするポイントに当てはまります。

 サザンの「サ」の母音はA。サザンの「ザ」が濁音。サザンの「ン」が最後。

 ドイツの小説家エルンスト・ユンガーは、「言葉の秘密」という著書の中で、「AとOの母音は、傾倒、賛嘆、賛同を表出する」と述べています。

 日本語でも、笑うときは、アハハ、ウフフで、ほめたり、賛同したりするときは、オオ!と叫ぶ。

 また、サザンの「サ」。サ行、マ行、ハ行の音は、人間の感覚・本能に訴える力を持つのだそうです。

 こまかい説明は省きますが、これらの音は、「ぶーぶー、ママ、パパ、しーしー、せーせー」といった幼児語の音と類似している。

 だから大人になっても、これらの音の力は意識下に強く根をおろしているらしい。

 確かに、「サザン」という言葉は、読みやすく、聞きやすく、書きやすく、言いやすく、覚えやすい。

 インパクトもありますよね。
 
 私たちがほかの人に、「歌手で誰が好き?」と聞くと、にっこり笑って、「サザン」と愛情を込めてみんな言ったものです。

 桑田さんの曲作りのうまさはもちろんですが、「サザン」というネーミングにも、私たちから長く愛される要素を含んでいるのではないか。

 そういうふうにうがった見方をするのは私だけでしょうか。

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