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クモ膜下出血はどんな病気か。医師と女子高生の会話から

 こんにちは。  

 今日は銀座の方に仕事へ行き、さきほど戻ってきたところです。  

 帰りに、新橋方面へ出て、汐留シオサイトへ寄ってウインドウショッピングを楽しんできました。  

 最近都内の新しい観光スポットとして、六本木ヒルズや丸ビル、昨日ご紹介した秋葉原などが脚光を浴びています。  

 でも私的には、シオサイトが一番のお勧めかな。  

 その理由は…。なんて話題をしていたらまた長くなりそうなので、明日にでも書かせていただくとして、今日は久しぶりの医療ネタで行こうと思います。  

 もう一ヶ月以上前になりますが、脳出血の話題をお送りしました。今日はその続きですね。

 前回、前々回の記事は、「心と体」のカテゴリーをご覧ください。

 現在、私の本業の方で考えている取り組みが、病気やその治療法をやさしく一般の人たちに伝えてゆく方法。  

 予備校教師の書いた「経済のしくみをやさしく解説する本」みたいに誰でもよみやすく、わかりやすく、面白く、できたらいいなと思ってサンプルを作ってみました。  

 今日はその『世界一やさしい脳卒中の話』の中から、「クモ膜下出血は、どんな病気か」というテーマでお送りしましょう。  

 登場人物は、脳外科のベテラン医師と現役女子高生のAYAちゃん(松戸あや)の二人。

 AYAちゃんは、おじいさんが脳神経外科病院へ入院したことで、毎日お見舞いに通ってくる元気な女子高生。将来、看護師になることを夢見て、おじいさんの担当医師から脳卒中のことを勉強しているという設定です。  

 脳卒中は、脳出血とクモ膜下出血と脳こうそくという種類の病気に分けられます。  

 前回、そのなかの脳出血について勉強したAYAちゃん。今日は、クモ膜下出血とはどんな病気かが話題になります。  

それでは…。   

<クモ膜下出血って、どんな病気?>  

 それじゃAYA君、クモ膜下出血ってわかる?

● AYAちゃん「言葉を聞いたことはありますけど、詳しいことはわからないです。たぶん、クモ膜の下で出血するんじゃないですか?」  

  またそのまま読んでる。でも悔しいけどその通り。

 人間の頭を開いていくと、頭蓋骨の下にすぐ脳があるわけじゃないんだ。脳は、外側から硬膜、クモ膜、軟膜という3つの膜で保護されている。

 クモ膜と軟膜の間は透明な液体で満たされていて、脳を外からの衝撃から守るクッションの役目を果たしているんだ。

 脳は豆腐のようにやわらかいものだから、頭蓋骨のような硬い入れ物に入れただけだとちょっと外からショックを加えられただけですぐ壊れてしまう。

 だから、豆腐屋さんの店頭で売られている豆腐のように水に囲まれた状態で保護してやらなければいけないんだよ。

● AYAちゃん「ふーん、なるほどね。ところでどうしてクモ膜って変な名前がつけられたんですか?」

 クモ膜は半透明の薄い膜なんだけど、よく見るとクモの巣のような構造になっている。だからクモ膜と名づけられたんだね。

● AYAちゃん「単純…、ですね。クモ膜の下にある血管が破れて起こるから『クモ膜下出血』…。これも高血圧からコブができて、それが破裂して出血するんですか?」

 そうだね。脳の血管にできるコブである脳動脈瘤が破裂して出血するケースがほとんどだけど、生まれつき脳の動脈と静脈がつながっている『脳動静脈奇形』が原因となるケースもあるよ。

● AYAちゃん「えっ? 動脈と静脈が直接つながっているんですか?」

 そう。正常な脳だと動脈と静脈の間に毛細血管というワンクッションがあるんだけど、圧力の強い動脈の血流が直接、血管の壁の弱い静脈に流れ込むんだ。

 すると静脈の壁が持ちこたえられずに破れてしまう。それでそこから出血するわけ。

● AYAちゃん「先天的な病気っていうことなんですね」

 だから子供に起こるクモ膜下出血と言われているんだ。子供が熱がなくてけいれん発作を起こすときは脳外科で精密検査を行ってみたほうがいい。

● AYAちゃん「でも脳動脈瘤って生まれたときからコブがあるわけじゃないですよね」

 生まれたときからコブがあるわけじゃないけれど、できやすい体質は遺伝するんだ。

● AYAちゃん「(ガーン)私のおじいちゃん、検査で動脈瘤があるって言われたんですよ。もしかして、わたしもやばいんじゃないですか」

 クモ膜下出血は、脳卒中の中でも脳こうそく、脳出血とともに三大脳卒中と呼ばれているんだ。脳こうそくや脳出血が高血圧をはじめとする後天的な理由で起こっているのと違って、クモ膜下出血は先天的な理由で起こるという違いがあるね。

● AYAちゃん「先天的な理由って何ですか? 先生、はやく教えてください」

 ちょっと血相変えて白衣をつかまないでよ。  クモ膜下出血は、脳の太い血管の分かれ道の壁の部分が生まれつき弱いんだ。そしてその弱い部分へかかり続ける血流の圧力によってコブ状にふくらみ、やがて破裂して出血するんだよ。

● AYAちゃん「(真剣な表情)生まれつき弱いって、何がどう弱いんですか?」

(怖い…)ひとことで言うと、生まれつきの不充分な脳血管形成が原因だね。血管の壁は三層構造になっていて、本来しなやかで頑丈なものなんだ。

 三層の壁は、内側から内膜、中膜、そして一番外側の外膜という名前がつけられている。ところが生まれつき、中膜の一部が発達不充分か、先天的に欠けていることがあるんだ。

● AYAちゃん「三層構造になっている真ん中の壁が、生まれつき薄くなっていたりなかったりするんですか」

 そう。特にこの内膜は、血管を頑丈にするための筋肉繊維がある。だから血管の強度という点で著しく劣ってしまうんだ。

● AYAちゃん「キャッチャーミットの中綿がない状態ですか?」

 痛そう。それじゃ150キロの速球を受けたら怪我するね。それにしてもうまいこと言うなあ。

● AYAちゃん「先生、感心している場合じゃないです。それでどうなるんですか」

 ごめん。血管には血圧という圧力が絶えずかかっている。野球のミットみたいに試合や練習のときだけ使うんじゃなく、それこそ毎日、昼も夜も球を受け続けている状態なんだ。

● AYAちゃん「丈夫な皮でできたミットでも、中綿がなければいつか破れてしまいますね」

 そうだね。だけど血管の場合は弾力性があるから、血流の強い圧力に耐えられなくなるとコブ状に血管がふくらみ出すんだ。できたコブの内側に血液が激しく流れ込んで渦がまき、コブを大きくする。

 そしてコブの先端がその圧力に耐え切れなくなって亀裂が入り、やがて破裂する。

● AYAちゃん「破裂するとどうなるんですか?」

 激しい頭痛を引き起こすんだ。よく、突然後頭部をハンマーで殴られたような頭痛に見舞われると言われているよ。同時に気分が悪くなって吐いたり、けいれんを起こしたり、時間がたつと首の筋肉が硬くなる症状も起きる。

● AYAちゃん「後頭部をハンマーで殴られるなんてすごい表現。でも、よほどすごい痛みなんでしょうね」

 それも怖いけど、突然何の前ぶれもなく起きるのも怖いね。脳動脈瘤はかなり大きくなっても破裂するまでは症状もないし、健康な人とほとんど変わらない場合が多い。だけど突然、何の予告もなしに動脈瘤が破裂する。

● AYAちゃん「じゃあ、どうすればいいんですか?」

 脳の大血管のコブさえ破裂しないうちに見つけて修理しておけば、クモ膜下出血にならないですむんだ。

 今なら脳の専門病院へ行き、あとで話すMRIという検査機器の中に20分間くらい横になっているだけで動脈瘤があるかどうかわかるんだよ。

● AYAちゃん「やはり破裂しないよう予防することが大事なんですね」

 さきほど話した三大脳卒中のなかで、一番若い40~50歳代の年齢層に多く発生し、しかも一番死亡率が高く、統計によっては半分の人たちが亡くなるという怖い病気だからね。

● AYAちゃん「40~50歳代といったら働き盛りで、一家の大黒柱になっている人たちですね」

 私が脳外科医になりたてのころ、クモ膜下出血で倒れて意識のないお母さんの名前を、泣きながら呼びかけている小中学生の子供たちに心を痛めたんだ。

 この病気は、男女の区別なく突然襲いかかるんだよ。これから子供が進学したり、就職したり、結婚したり、子供が生まれたりと大きく成長していく姿を見ることもなく死んでしまったんだからね。

 子供たちにとっても、まだまだ頼りにしなければならないお母さんが突然この世からいなくなってしまったんだから…。

● AYAちゃん「(目がうるうるになってる)先生、目がうるうるしてますよ。私のハンカチ使ってください」  

(いつになるかわかりませんが、続く)

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コメント

大変よくわかり楽しく読ませてもらいました。
次回リクエストは痛風などいかがでしょうか。
60歳の気持ちはとっても若い女性が痛風というのはどういうの?と言っていました。

投稿 ヴァンベール | 2005年9月 4日 (日) 16時20分

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