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苦情処理にかかわるエトセトラ

 こんにちは。

 東横インの事件が巷を騒がせていますね。

 ホテルの不正改造問題が発覚したときの社長の会見があまりにインパクトがあったので、私もその後のなりゆきを注目しています。

 それにしても最初の社長の会見には驚きましたね~。

 あまりにも自信満々に、他人事みたいに話すのだから、不愉快になるというより唖然としてしまいました。

 それだけ確信をもってやったのなら、何かほかに理由があるのではないか。もしかして大人物なのかも…なんて、うがった見方もしてしまいましたよ。

 でも結局は世間しらずというか、常識しらずなだけだった…。

 最初の会見と、あまりの落差の謝罪会見に声もありません。

 ただひと言、かっこわる~。

 社長さんはご自分でも、自分が上等の人間であると勘違いしていた、と涙ながらに話されていたようですが、これは事業がうまく行き過ぎると誰でも陥るワナなのかも。

 新聞や雑誌で少し読んだだけですが、東横インのビジネスモデルは素晴らしいと思いました。

 親の代からホテルを中心とした建設を手がけていたそうで、その点ではホテルをチェーン展開するノウハウの蓄積があったのですね。

 でもこのビジネスモデルだと、一度うまくレールを引いてしまえば、経営者はそれほど頭を使う必要がないのではないか。

 部下のホテルの支配人たちは大変みたいですけどね。客室の稼働率が75パーセントを切ったホテルの支配人はペナルティーが科せられたとか。

 それはともかく、社長が、一度引いたレールの上を走る特急列車の乗客になってしまっていると、外の景色をぼんやり眺めているだけでもどんどん前に進む。

 しかし今度のような緊急停車の事態になったとき、今自分がどこにいて何をしたらいいのかわからない。

 最初の会見をテレビで見たとき、現場感覚から完全にずれていると思いましたね。

 現場でクレーム処理をして苦労した経験のある人なら、絶対あんな他人事みたいな態度はとらないはず。

 なぜなら、それがもっともお客さんが怒る行いだと、自分の肌にしみ込んでいるはずだから。

 東横インのように確信犯の悪質なケースは論外ですが、クレーム対応ひとつで会社を窮地に陥れることって結構ある。

 不況で経済がどん底のときよりも、景気が上向いて、経営者や社員が「上等の人間」であると勘違いしてしまったときのほうが、クレームで大問題に発展するケースが多いのだと思いますよ。

 前ふりが長くなりましたが、チラシに続くビジネスネタの新シリーズは「クレーム処理」についてです。

 去年、同じテーマを取り上げました。

 マンションの耐震強度偽装事件や今回の事件など、クレームに対する責任者の対応の仕方に大きな注目が集まっているので再登場です。

 一応去年のリメイク版が中心ですが、スターウォーズみたいに未発表文章?や新たに書き加える部分もありますので、お暇な方はご覧いただけるとうれしいです。

 それでは…。

 先日、家へ帰る途中の商店街で、お客さんと電気店の店主が言い争っている光景を目にしました。お客さんは、六十歳ぐらいの男性。

「男はつらいよ」に出てくるタコ社長みたいに顔を真っ赤にして怒っている。

 何を言い争っているのでしょうねぇ。

 道行く人たちは皆、係わり合いを避けるように通り過ぎていきますが、必ず興味深そうに振り返って見る。

 私もそう。

 ゆっくり歩きながら、何度も振り返ってそのやりとりを見ました。見たいけど、立ち止まってその顛末を遠くから見ているのもなんだし…。

 この喧嘩、俺が買ったぁぁぁぁぁぁ~、としゃしゃり出て行くのは時代錯誤。

「なんだお前は。関係ない奴は引っ込んでろ!」と言われ、「およびでない?こりゃまた失礼しました」とおどけながらずっこけるのはもっと時代錯誤。

 こういうときの第三者の対応って、結構難しい。

 でも、第三者として確実にいえるのは、商店街のみんなの見ている真ん中で、お客さんと喧嘩しちゃまずいですよ。

 たとえ理由がどうあれ。

 さて今日は、クレーム処理について書きたいと思います。

 クレーム処理は、どこの会社でも、プライベートでも、誰もが経験のあることですよね。

 早い話、幼稚園の子供でもやってます。

 たとえば、○○ちゃんが、別の子のおもちゃを取ったり壊したりしてしまったケース。

 当然、不利益を被った子は、○○ちゃんに不平を言います。○○ちゃんは、その子の不満に対してクレーム処理をしなければならない。

 うまくクレームを処理できなければ、先生に言いつけられて怒られる。

 その子に納得のいく説明ができるかどうかが大事。きちんと誤ればそれですむ場合が多いと思うのですが、子供のことだから大抵こじらせてしまう。

 子供の世界ならまだ笑い話ですみますが、ビジネスの世界ではそうはいきません。

 昔からのお得意先を怒らせて、取引停止なんてことになったら、担当者は給料カット。悪くすると降格なんてことになりかねない。

 当然、取引停止になる前に、お得意先はクレームの意思表示をしたのでしょう。

 クレーム処理に失敗して、火に油を注いでしまったというケースは結構あるんですよ。

 逆に、クレーム処理に成功したばかりか、かえってお得意先がクレーム担当者のファンになり、取引が拡大するケースもある。

 ビジネスでお取引先をもっている方は、最初の取引経緯を調べてみると面白いですよ。

 結構、大口取引先で、最初クレームが発端になっているというケースは多い。クレームに対して、誠心誠意応えているうちに自分の会社のファンになってくれたんですね。
 
 私事で恐縮ですが、私が今取引していただいているお客さんの中にもそういう会社があります。銀行に勤めていた頃からですからもう二十年以上ですか。最初のお付き合いの発端はやはりクレームからです。

 当時は銀行の方針というものもあって、一社だけ特別扱いできないということもあったのですよ。

 だけど、そんなことはこちらの都合で、お客さんにとっては何の関係もないこと。その頃は毎日のように電話がかかってきて、ヒヤヒヤの毎日でした。私も若かったので、何度も通って説明しました。

 結局、「銀行の言うことはよくわからないが、君の立場はよくわかる」と最後は納得してくれました。

 私の会社が創業のとき、その社長さんは助けてくれた一人です。さんざんクレームをぶちまけたから、親近感がわいたらしいです。

 そのとき思ったのは、クレームとは、お客さんの本音をストレートに表現した形だということ。

 だから、それに一生懸命応えているうちに、プライベートでも本音で付き合えるようになる。

 うまく処理できれば、最高の取引深耕策だと思います。また、本音から出た言葉だから、マーケティングに利用すればものすごい効力を発揮する。

 以前テレビを見ていたら、福井県の商工会議所が中心となって、苦情クレーム博覧会を開催したとか。

 大手企業の商品開発担当者も注目しているそうですね。困ったことに対して、それを改善してくれる商品を開発することは、商品開発の最大のコンセプトでしょうから。 

 有名な漫画家で、テレビのコメンテイターとして現在も活躍されている○○氏。

 彼の奥さんも、すごく怖かった。電話で呼びつけられ、さんざん小言をいわれたことがあります。美人なのに、すごい剣幕で。

 ちょっとした言葉の行き違いだけだったのに…。

 言っておきますが、私は始終クレームを発生させていたトラブルメーカーではないですよ。

 しかし、一日、何十人も会い、踏み込んだ話をしていれば、数ヶ月に一回、クレームや不満は発生するもの。もちろん最善の注意を払い、クレームや不満を発生させないのに越したことはないですが、どうしても行き違いが発生するケースはある。

 重要なのは、その後の対応ではないでしょうか。

 クレーム直後の処理の仕方によって、180度、その後の反応が異なってくる。

 クレームが入った直後というのは、天国へ行くか地獄へ行くかの分岐点といえますね。

 東横インの社長さんは、初期対応を誤ったために地獄へ行ってしまった。

 もっとも、身から出たサビなので同情の余地はありませんが…。

 その話は別として、そこをうまく乗り切れれば、クレームがなかったより、お客さんから信頼を勝ち得るのは可能かもしれません。

 さて、件の有名漫画家さんのその後。

 おそらくクレーム処理の仕方がよかったのでしょう。

 あのとき、キレて悪かったと、ご夫婦から自宅へ招待され、サイン入り色紙を何十枚もプレゼントされました。そして、奥さんから手料理までごちそうしてもらったのです。

 今はもう、連絡がとれなくなってますが、その人がテレビに出ているとあのときのことを思い出します。やっぱり、長い間、第一線で活躍するには人格も必要なのですね。

 クレーム処理のうまい方法を教えてくれたのも、多胡輝氏の書いた心理学の実践書シリーズでした。これらの本から得た知識がなければ、大変なことになっていたかも…。

 今まで何度もピンチを切り抜けてこられたのは、これらの本のおかげだと感謝しています。さて、次回はその具体的方法についてご紹介したいと思います。

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