江戸深川、芭蕉記念館・深川江戸資料館・東京都現代美術館・江戸東京博物館 ウォーキングストーリー
こんにちは。
今回、ぐるっとパスを使って行ったのは、深川です。
深川は、東京と言うより、江戸深川と言った方がしっくりくるような歴史のある土地ですね。
江戸時代の深川七不思議を題材に、下町の人情の機微をミステリー仕立てで描いた宮部みゆきの「本所深川ふしぎ草紙」なんて小説もありました。
この辺りは江戸初期、深川八郎右衛門という人が新田開発を行い、その一帯に特に名称がなかったところから深川村と名付けられたのだとか。
名付け親がなんと、徳川家康らしい。確かめたわけではありませんが…。
その後、幕府の都市づくり政策により本所深川の埋め立てが進む。
現代のお台場みたいな感覚でしょうか。
以前よりあった富岡八幡宮などの社寺の祭礼、開帳などの年中行事も豊富で、江戸市民の遊興地としても賑わったそうですね。
当時の深川は景勝地でもあったので、大名の下屋敷や豪商の別邸などが建ちはじめ門前町としても繁栄。
隅田川や先日のブログにも書いた横十間川など水運に恵まれていることから、木材や倉庫業、米・油問屋の町としても栄えたのですな。
そういえば、清澄庭園は紀伊国屋文左衛門の屋敷跡とも伝えられているし、寛政の改革で有名な松平定信の墓も近くにあるのでした。
…ということで、都営大江戸線森下駅を降りたオイラがまず向かったのは、芭蕉記念館。
江東区深川は、あの俳人松尾芭蕉ゆかりの土地でもあるらしいんですよ。
芭蕉はそれまでの宗匠生活を捨てて、江戸日本橋から深川の草庵に移り住み、ここを拠点に多くの名句や「奥の細道」などの紀行文を残したのだとか。
行った日は、「江東地域のゆかりの人物」という企画展が開かれていました。
尾崎士郎や谷崎潤一郎、永井荷風など有名な文人の短冊などの書が多数並んでいましたが、草書体で何が書かれているかさっぱりわかりませぬ。
ふむふむと、納得したような顔で眺めていたものの、頭はおっぱっぴー状態でした。
興味深かったのは、芭蕉が奥の細道を旅したときの服装。
意外と荷物が少ないんですね。
昔は、今みたいに宅急便もないし、タクシーもない。途中で生活必需品を買おうと思っても、コンビにもないでしょうし。
それだけでも大変な旅だったということがイメージできます。
記念館のそばに、芭蕉稲荷神社がありました。
ここは、大正時代に、石の蛙の像が出土した場所らしい。
芭蕉と蛙といえば、「古池や蛙飛び込む水の音」の有名な句が思い出されます。
この辺りに、芭蕉が、蛙が飛び込む水の音を聞いた古池があったのでしょうかね。
別の場所でも、芭蕉の古池のあった場所という解説板を読んだ記憶があるのですが。
隅田川を臨む小公園に芭蕉の像がありました。
あまり風流は感じないような、工場や古い住宅街をテクテク歩き、オイラが次に向かったのは深川江戸資料館。
資料館の隣にあるのが霊巌寺。江戸時代後期の老中で、寛政の改革を断行した松平定信の墓がありますよ。
そういえばこの辺り一帯の地名は、江東区白河。
松平定信は奥州白河藩主でもありましたね。
さて、深川江戸資料館は、地下一階から地上二階までの吹き抜けの空間に、江戸時代後期の深川の町並みを再現した展示が目を引きます。
今でこそ、昭和の町並みを屋内で再現した施設とか、いろいろ見られますけど、最初にここを訪れたときは感動しました。
入ったら、いきなり目の前に江戸の町並みが…。
長屋の屋根の上にはロボットの猫がニャーニャー鳴き、八百屋や米屋の店先に商品が並びます。遠くには町のランドマークタワー、火の見櫓がそびえ、船宿の前の掘割にはホントの水がさざめき、猪牙舟が浮かぶ。
さらに、深川の一日の暮らしを音響と照明効果で演出しているんですよ。
夏の時期は、日の出の雰囲気の照明効果、そして鶏の鳴き声、あさり売りや金魚売りの声。また雨の日もあったり、虹や夕焼けもあったり、雪がしんしんと振る景色のときは、思わず身震いをしたりして。
それほど広くはないけれど、江戸時代の下町にワープした気分は十分味わえました。
ここがオープンしたのは、昭和61年ですから、もう20年以上も前なのですね。
この資料館の前は何度も通るのですが、20年間一度も入ったことがなかったのは少しもったいない気がしました。
一日でまだあと二つの施設を回らねばならないので、あまり感慨にふけっている時間はございませぬ。
頭を切り替えて次にオイラが向かったのは、木場公園の中にある東京都現代美術館。
木場公園も広くて緑にあふれ、見所はいろいろあるのですが、今日はミュージアムオンリーで頑張ります。
この美術館もロビーは吹き抜けになっていて、開放感抜群ですな。
オイラが行った日は、「ポップ道」というテーマの展示が行われていました。
江戸時代からいきなり未来へタイムスリップした感覚は、ぐるっとバスならではの浮遊感と言ったらいいでしょうか。
歴史も美術も音楽も、動物園も、科学技術も、ごっちゃまぜになって頭に飛び込んでまいりまする。
とくに、現代美術は刺激が強いですな。
星条旗を頭にかぶったマネキンや天井から巨大な電気プラグが吊り下げられたオブジェは、考えれば考えるほど「2001年宇宙の旅」的謎に包まれそう。
だだっ広いスペースの中で、女性の鳴き声やうめき声が聞こえるのですよ。
部屋の隅にあるスーツケースの中からみたい。
近くへ行ってスーツケースの中を覗き込むと、小さな人形の顔が表情豊かに笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲鳴をあげたりしているのでした。
まさに、京極夏彦の世界ですな。
よく見ると、のっぺらぼうの人形の顔に、映写機で女性の顔の動画を投影しているのでした。
この作者は、ホラーやオカルトを表現したかったのだろうかなんて考えるとますますわからなくなる。
エレベーターで3階に登ると、さらにインパクトのある絵画が…。
縦5.5メートル、全長30メートルの長大な壁画は、その大きさだけでも圧巻ですが、作者が岡本太郎ですからね。
まさに岡本太郎的抽象画なのですが、これはちょっと文章では表現できませぬ。実際、目で見ていただくしかない。
中央に、ドクロの頭を持った白骨化した人間の抽象画。その周りに燃え盛る火は原爆と放射能を表現したものでしょうか。
見ていると、頭が爆発しそう。
題名は、「明日の神話」といって、そこで語られる神話は、原爆、放射能という人類の悲劇を描き出しながらも、その先へと生きる希望を与え続けていると解説されていました。
そういえば以前、この大壁画をテレビで見た記憶があります。
岡本太郎がメキシコのホテルだったか、ある施設の壁画を描いたものの、工事が途中で挫折して、完成した壁画が行方不明になってしまう。その後、メキシコでの壁画の再発見とその修復作業の模様がドキュメンタリータッチで放映されていました。
「芸術は爆発だ」というフレーズは何度も聞きましたが、「芸術はうまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」とも言っていたそうですね。
まさにそのポリシーを代弁した作品だと思いました。
東京都現代美術館を出たのが午後2時過ぎ。比較的いいペースで3つの博物館をクリアしました。
次は最後の江戸東京博物館へ向かいます。何度か来ている博物館ですが、広いし、展示物も多様なので何回見ても飽きることはありませぬ。
それにしても、この博物館は斬新といいますか、珍しい形ですね。
地上7階、地下1階で、隣接する国技館との調和を考え、高床式のユニークな構造を採用したのだとか。
高床式というけれど、異常に広くて高い下の開放スペースは、たんなる通路になっているだけ。デザインを優先したのでしょうね。
貧乏納税者のオイラから見ると、もったいないという感想しかわかないのですが。
下から上を見上げると、巨大な宇宙船かと思える迫力は十分感じました。
途方もなく長いエレベーターで上にあがると、床の下には何もないとは思えない景観が広がっています。
入場ゲートを越えるといきなり、江戸時代の日本橋。長さは短いですが、当時の日本橋を体感できるのですな。
常設展示コーナーは、5階と6階が巨大な吹き抜けの構造になっていて、江戸、東京、通史の各ゾーンに分かれています。
見所はたくさんありますが、当時と同じ大きさの歌舞伎の中村座、江戸時代の長屋、大名屋敷のミニチュア模型もありました。
江戸時代の帆船模型や日本橋や永代橋周辺の賑わいの風景を設置されている双眼鏡で覗くと、細部まで実に詳細に再現されていて驚きます。
歌舞伎の名場面の役者人形は生きているよう。
明治時代の新聞社の社屋や鹿鳴館、銀座の文明開化の様子も、その雰囲気を間近で味わうことができます。
有名な浅草の「十二階」の模型も見事でした。
たった十二階ですが、当時の人たちにとっては、横浜のランドマークタワーや六本木ヒルズの展望室に上ったような感動があったのでしょうね。
それにしても、さっきから落ち着かないのはオイラが立っている下は巨大な吹き抜けだと感じるからでした。
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