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東海道品川宿 ウォーキングストーリー

 こんにちは。

 今日は前回の続きです。平成の品川を味わった後、江戸時代を髣髴とさせる宿場町・品川を歩きました。

 その前に、平成の品川をもう少し引きずります。

 天王洲アイルのそばにある公園が美しく生まれ変わっておりました。

 前回来たときは、古いグランドがあっただけと記憶しているのですが、野球場がリニューアルされ、新設して広い公園が整備されている。

 おお、変わったじゃ~ん、とフラフラと無意識に足が向かいます。

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 綺麗なアーチ型の橋は最近完成したのでしょうか。歩行者専用の橋としては、かなりゴージャスで、水辺の景色と見事にマッチしていますね。

 当初のウォーキングコースから外れるのですが、オプショナルツアーで橋を渡り対岸の公園へ渡りました。

 それほど広くはないけれど、緑に囲まれた運河を見渡すことができて、なかなかの眺め。

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 公園の一画に、窓のない巨大なビルがあって、「屋上庭園」というプレートが目につきました。

 そういえば先日、NHKの朝のニュースで、屋上を緑化したビルがあるというレポートを見た記憶がありましたっけ。

 確か、天王洲アイルの近くって言っていたような。

 屋上に上ってみると、美しい花が咲き乱れる庭園がありました。

 近くに高層ビル、遠くにはレインボーブリッジがかすんで見えます。

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 世界七不思議のひとつ、バビロンの「空中庭園」はこんな感じだったのだろうかとイメージは膨らみます。

 屋上からの眺めも素晴らしい。

 平成の品川の景観を堪能したあと、いよいよ江戸時代の品川宿へと向かいます。

 高浜運河を渡り、旧海岸通りを都心方面に少し戻って左折すると、台場小学校。

 台場小学校というくらいだからお台場と関係があるのかと思ったら、小学校の敷地は、江戸時代末期に作られた台場の跡らしい。

 正式には、御殿山下砲台跡という解説板と、当時の石垣が残されていました。

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 そのあとに作られた灯台の模型もあって、当時は海岸線がこの近くまで来ていたことがわかります。

 近くの利田神社には、江戸時代にこの近くに迷い込んだ鯨を供養した鯨塚がありました。

 八ツ山通りに出て、山手通りの交差点を右折すると、聖蹟公園。

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 明治天皇が東海道を行幸のとき、行在所になった場所ということで「聖蹟」の名がついたのですな。

 普通のどこにでもある児童公園みたいでいが、江戸時代ここは品川宿の本陣の跡らしい。

 別の出口から公園を出ると、目の前は旧東海道。

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 今は北品川商店街になっていますが、通り沿いにそれほど高いビルはないので、江戸時代の宿場町の風景がなんとなくイメージできました。

 旧東海道を歩く前に、オイラが向かったのは、荏原神社。

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 古木にいだかれ、目黒川のほとりにある赤い鎮守橋とあいまって、歴史を感じさせますね。

 社殿の彫刻が見事で、さすが品川の総鎮守だと思いました。

 荏原神社にしっかりお参りしたあと、旧東海道を日本橋方面に向けて歩きます。

 「東海道品川宿」の幟が道の両側にないと、普通の商店街と見た目は変わらないのですが、道の奥には古いお寺が並んでいるのは道の歴史を感じました。

 一心寺、養願寺、法禅寺、養福寺…。

 それぞれ個性があって、由緒正しそう。

 東海道をテクテク歩き、京浜急行の北品川駅近くの京急線の踏切を渡ると、車がびゅんびゅん行きかう第一京浜国道。

 国道の向かい側に、茶色のシックな外壁のビルがありました。

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 ここは、あの広末様の母校、品川女子学院なのですね~。

 一時期、テレビや写真週刊誌に登場した、広末様が着る高校の制服が有名になりましたっけ。

 オイラの年代だったら、桜田淳子様やスケート選手の八木沼純子様のほうが、印象が強いですが…。

 それはともかく、国道を川崎方面に歩くと、右手に巨大な鳥居と丘が見えてきました。

 ここは、品川神社。

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 目黒川を挟んで北品川と南品川に分かけられるそうなんですよ。

 そして、北の天王社が品川神社、南の天王社が先ほど行った荏原神社になるのだとか。

 もっとも今、荏原神社は目黒川の北にあるのですけど、昔は目黒川が北側を流れていたらしい。

 この神社の見所は、立派な鳥居や包丁塚などの石碑、板垣退助の墓、荘厳な境内などいろいろありますが、なんと言っても正面左手の巨大な丘ですね。

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 この巨大な丘は、富士塚という人工物。

 江戸時代、江戸庶民の間に富士山信仰が爆発的に広がったそうなんですよ。だけど、モノホンの富士山に登るのは、当時は大変だった。

 今も、でしょうけど…。

 そこで、身近な場所にミニ富士山を築造して、誰でも富士参拝が出来るようにしたのですね。

 関東の富士塚をいろいろ眺めているオイラですが、こちらの富士塚はトップクラスの規模を誇りますな。

 品川富士とも呼ばれ、小学生時代社会科見学でここを訪れたときは、品川でもっとも高い場所と聞いたことがあります。

 さっそく小学校以来の品川富士登山をしてみることにしました。

 モノホンの富士山に登ったことはないけれど、岩場があって道が細くて急で、なかなか険しい。テレビや本で見た富士登山もこんな感じでしょうか。

 なんとか遭難せず頂上に到着。

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 隣にビルはあるし、目の前には京浜急行の高架、それに国道の車の騒音もあるけれど、まあまあの眺めでした。

 作られたときは、目の前に海が広がって雄大な景色だったのでしょうね。

 急な岩場を再び降り、山手通りを進みます。

 沢庵和尚で有名な東海寺を左手に見ながら進むと、恐竜の遊具のある子供の森公園がありました。

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 肉食恐竜が、前傾姿勢をとらないで、ゴジラ歩きをしているので、遊具が作られた時期がわかりますね。

 山手線や京浜東北、東海道線などが走るJRのガードをくぐり、線路際を進むと東海寺の墓地がありました。

 そこにあるのは、沢庵和尚の墓。

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 大きな漬物石のような自然石が置かれているのは、さすが沢庵漬け考案したと伝えられている人ならではのパフォーマンスでしょうか。

 オイラだったら、自分が漬けられているような気分になるかも。

 近くには、歴史の教科書で有名な賀茂真淵の墓もありました。

 それにしてもこの墓地。

 右も左もJRの線路に挟まれているんですよ。ひっきりなしに電車が走って、お墓の中の方たちは安らかに眠れるのだろうかと少し心配になりました。

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 もっとも鉄道ヲタクだったら、こんな一等地のお墓はないのでしょうけど。

 …と思ったら、鉄道の父といわれた井上勝の墓があるのは納得。

 日本の鉄道の父にとって、鉄道の行く末を見守るには最高のロケーションでしょうね。

 そこから再び旧東海道に向かう道すがら、清光院というお寺がありました。

 ちょっと立ち寄ってみたのですが、奥に立派な大名墓地があって驚きました。

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 江戸幕府の譜代大名奥平家の墓なのですか。

 10万石規模の大名家の墓はさすがにすごい迫力っす。

 第一京浜国道を渡り、今度は川崎方面に向かって旧東海道を歩きます。

 朝から歩き続けているので、すでに3万歩を突破し、少し疲れが…。

 江戸時代の旅人だったら、当時の歩いた距離から換算して、この程度は楽勝で歩いていたのでしょうね。

 しかも毎日歩き続けるのだからすごいっす。

 オイラも負けじと、ひたすら東海道を南下しました。

 道に左手には、やはりいくつも由緒のありそうな寺が並んでいます。

 京浜急行の青物横丁駅のそばまで来て、新しくできたマンションの前に解説板があって、何気に眺めたんですよ。

 「幕府御用宿 釜屋跡?」

 それはともかく、あの新選組副長土方歳三様のお写真が…。

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 解説板をよく読むと、慶応3年には幕末動乱の世相を反映して、連日のように幕府関係者が休んだり宿泊したりした記録が残っているそうですね。

 それで、歳さんも新選組の隊士を連れて釜屋を利用したのですか。

 しかも、慶応3年10月21日という日付までわかっているのだからすごい。

 翌年には、鳥羽伏見の戦いに敗れた新選組隊士たちは、1月15日に品川に上陸し、しばらくここに滞在したらしい。

 今は瀟洒なマンションに変わっていますが、当時はどんな気持ちで歳さんがここを訪れたのだろうと思いました。

 釜屋跡の目の前にあるのが、品川寺。

 品川でもっとも古い寺で、開創がなんと大同年間(806年~810年)とか。

 入り口近くにある巨大な地蔵菩薩の座像が目を引きます。

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 これは江戸六地蔵のひとつで、座高が2メートル75センチもあるらしい。

 東海道を歩いてきた土方歳三様もきっとこの地蔵菩薩に目を留めたのでしょうね。

 境内にある樹齢600年のイチョウの古木も目にしたかも。


 風雲急を告げる世相でしたから、歳さんは、きっとイケメンの顔をきりっと引き締めて日本の将来を憂いつつ、見上げたのでしょう。

 大きいっすね~とただアホ面で見上げるオイラとの差を歴然と感じる今日この頃でした。

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品川ウォーキングストーリー(品川インターシティ、天王洲アイル、東京海洋大学編)

 こんにちは。

 お盆休み、皆さまはいかがお過ごしでしたか?

 オイラはこの炎天下、相も変わらず、体力の限界まで歩き続けておりました。先日なんか、家に戻ると黒のポロシャツが汗の塩で白くまだら模様に…。

 北島康介選手の活躍に影響されて、ロンドン五輪を目指しているわけではないですよ。

 毎年、一番過酷な環境になると、外を3万歩以上歩きたくなるといいますか…。

 自虐趣味と言われれば返す言葉はありませんが、これを乗り越えると後が楽。

 少々暑くてもクーラーなしで眠れるし、炎天下歩いても、それほどダメージは受けない。

 でも、こんな夏の過ごし方をしていら、将来行き倒れになってやばいかも、と考える今日この頃です。


 それはともかく、今日のお散歩ネタは、オイラの家から近くて遠い場所、品川っす。

 お盆休みより、かなり前に行った場所ですので念のため。

 地図上の直線距離はわりと近めなのですが、電車に乗ると乗換えなどで、ぐるっと大回りして20分くらいかかる。

 20分なんて近いじゃん、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、品川から東海道線や京浜急行の快特に乗れば横浜まで17分ですよ。

 同じ城南地区なのに、時間的には神奈川県のほうが近いのですな。

 品川に住んでいるといっても、渋谷や新宿へ行くほうが多かったりして…。

 でも、新幹線の駅もできてから急速に発展しつつあるという噂を耳にしました。

そこで久しぶりに、品川駅周辺を訪ねてみようか、と…。

 新幹線品川駅開業は2003年10月で、5年近く前なのですが。

 ところで品川というと、オイラの中では二つの顔がありまする。

 まずは、品川インターシティや天王洲アイルの高層建築に代表される未来都市のような景観。

 そしてご存知、旧東海道最初の宿場町品川宿の歴史的な景観。

 平成と江戸時代の景観の違いがこんなに感じられる場所はあまりないかも。一日で時代を遡れるのが品川ウォーキングの魅力ではないかと感じました。

 …ということで、まずは平成の品川から歩いてみることに。


 品川駅には、高輪口と港南口という二つの出口があります。高輪口にはプリンスホテルやパシフィックホテル、京急ウィングなどがあって昔から活況を呈しておりますな。

 それに対して港南口は、駅前に商店はあったものの、かつては倉庫街への入り口みたいな印象でした。

 それが最近では変貌を遂げて未来都市のような景観に変わりつつあるとか。

 その中心となるのが、品川インターシティ。

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 レストランや専門店、コンビニエンスストアはもちろん、クリニック、郵便局、多目的ホールやギャラリーなどの幅広い施設で構成されているらしい。

 駅から屋根付の連絡橋、レインボーロードで緑豊かなオープンスペースを眺めながら行けるのも魅力ですね。

 インターシティへ来たのは確か三度目ですけど、まわりの景観が様変わりしておりました。

 インターシティに隣接して、品川グランドコモンズという高層ビルが建ち、その間に広々とした緑の空間が…。

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 テラスから眺めると、深い森から高層ビルがにょっきり建っているみたい。

 下へ降りてみると、木々の間にベンチが置かれていて、仕事に疲れた頭をクールダウンするにはもってこいの雰囲気。

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 オープンテラスの喫茶店で、ゆっくり休んで行きたいところですが、今日は見所満載で強行軍となりそうなので、そのまま前進します。

 旧海岸通りを越え、御楯橋をわたると、橋のたもとにあるのが港南公園。川に見えますが、運河なのですか。

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 川岸には高浜運河遊歩道が続いておりました。遊歩道をどこまでも歩いてゆきたい衝動にかられましたが、その前に行くべき場所があったのでした。

 それは東京海洋大学のキャンパス。

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 旧東京水産大学で、恐れ賢くも国立大学っすよ。

 最近は、国立大学法人というらしいですが、その違いがわかりませぬ。

 江東区にキャンバスのある東京商船大学と合併して、東京海洋大学に生まれ変わったのですね~。

 実は、10年ほど前、東京水産大学時代に訪れて印象に残っている場所があるのでした。

 それは、キャンパスの中にある「水産資料館」。

 あるガイドブックに、無料で見学できると書いてあったのですが、行ったら誰も受付にいない。

 受付のノートに名前を書いて2階に上がったのですが、電気が消えていて真っ暗。

 仕方ないので、自分でスイッチを探して電気をつけたとたん、

 ひぃぃぃぃぃぃぃぃ~と叫びそうになりました。

 目の前に、イグアナや鮫の剥製がいきなり現れたのです。

 シーンと静まり返った、だだっ広い展示室にオイラ一人。

 海鳥や巨大なカニが今にも動きそうで、背筋が寒くなりましたね。

 真夜中に学校の理科室を訪れて、懐中電灯で人体標本を照らしたような感覚でしょうか。

 お化け屋敷感覚をもう一度体験してみようと訪れることにしたのです。

 水産資料館の前にあるのが、「鯨ギャラリー」。

 セミクジラの全身骨格が展示してあるのですね。

 前回来たときもありましたが、倉庫の中に保管してあるといった感じでした。

 それが「ギャラリー」に改修されてからは、博物館みたいに上からも眺められるテラスが設置してあります。

 それにしてもさすがに鯨は大きいですな。同じ地球上に暮らす生き物だとは思えませぬ。

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 写真を撮っても、全身が収まらないっす。

 体長は約17メートル。完全な骨格標本としては、世界最大級らしい。

 この大きさなら、ピノキオを作ったおじいさんでも腹の中で暮らせるかも。

 面白い頭蓋骨の形だと思いましたけど、興味深かったのはちゃんと骨盤があること。

 もちろん退化して骨盤骨の痕跡になっているのですが、それでもカバンくらいの大きさがある。

 やっぱし、オイラと同じ哺乳類なのですな、鯨は。

 鯨の骨の大きさを堪能したあとはいよいよ水産資料館へ。

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 今回は、ちゃんと受付に係の人がいました。そしたらなんと、マンツーマンで館内を解説していただけるのだとか。

 さすが国立大学法人だと感動しましたね。

 一階は、水産講習所から東京水産大学、そして現在の東京海洋大学の実習で使っている練習船の模型が展示してありました。

 そして2階へ。

 前回来たときよりかなり整備されていて、お化け屋敷的な魅力は薄れた反面、博物学的な見所はいろいろありました。

 ガラパゴスの生き物の標本は、現在では作れない貴重なもの。

 昭和30年代の調査だから可能だったみたい。

 それから、鯨の胎児の標本も当時だからできたのでしょうね。胎児はやはり哺乳類だと実感できました。

 世界中の貝の標本は、好きな人なら一日いても飽きないくらいの量。

 オイラは、アワビの真珠のミステリアスな輝きに魅了されました。

 昔、捕鯨の実習で利用した銛も展示してありましたが、かなり重そう。

 これを鯨めがけて投げたのですか。

 かなりの体力が必要みたいで、当時は理系というより体育会系の学校だったのかなと思いました。

 あと定置網やさまざまな漁具など漁業部門の展示も興味深かったです。知らないことばかりでまさに目からウロコ状態っす。

 30分の予定が、1時間も解説を聞くことができ、しかも無料。

 知る人ぞ知る博物館ですが、お得感満載ですよ。

 興味ある方はこちらをご覧ください。

 一生懸命開設してくれた係員の人にお礼を言って資料館を出ました。そして広いキャンパスをぶらぶら。

 するとキャンバスの一角に、古い船を見つけました。

 おお、これはさきほど説明のあった「雲鷹丸」っすか。

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 明治から昭和の初期にかけて、水産講習所の研究練習船として活躍したのですな。

 長さ約41メートル、幅の約8.5メートル。444トンなのですか。

 主にカムチャッカ漁場の開拓と蟹工船事業の開発に活躍したそうな。

 蟹工船と聞いて、ベストセラーになっている小林多喜二の「蟹工船」をイメージしました。

 さきほどの解説で、この船の中でカニの缶詰作業も行っていたという話を思い出しました。

 これが蟹工船なのですか。

 真っ白いペンキが塗られているので、労働作業の過酷さよりもお洒落なクルーズ航海というイメージですが。

 もっとも練習船なので、過酷な労働環境ではなかったのでした。

 キャンパスを歩いていると、水産大学時代より女子学生が多くなっていることに気づきました。

 なんでも、東京海洋大学へネーミングが変わってから、女子学生が増えたらしい。

 やはり「水産」より「海洋」のほうがお洒落で明るいイメージはありますね。

 また今度訪れるときは、どんなふうに変わっているのだろうと思いつつ、東京海洋大学をあとにしました。

 再び港南公園に戻り、運河沿いの遊歩道を歩きます。

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 倉庫を改造したオープンテラスのレストラン、レトロな鉄橋も高層ビルに囲まれると逆にハイカラに見えたりします。

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 そして次の目的に、天王洲アイルに到着。

 東京海洋大学で長居したので、空腹感が絶頂に。

 多目的スペースの「シーフォートスクウェア」の文字が、目がかすんで「シーフードスクウェア」に見えました。

 パンとコーヒーで簡単に昼食をすませ、ほっと一息。

 天王洲アイルの京浜運河沿いには、ボードウォークが作られ、水辺の景観が楽しめます。

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 ここから江戸時代の品川宿を目指すのですが、長くなりましたのでまた次回。

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私が、読んで面白かった小説大賞 グランプリ発表!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。  

 ずっと発表を引っ張り続けていたら、とうとう北京オリンピックが開幕してしまいました。

 ゆっくりテレビ観戦をするためにも、「私が、読んで面白かった小説大賞」のグランプリを発表しなければと考える今日この頃。  

 私が2007年下半期~2008年上半期の間に読んだノミネート作品は全部で50冊。

 それはこちら。  

 その中で、ベスト5のうち、3~5位は以下のように決定したのでした。

 第五位 菜の花の沖  司馬遼太郎

 第四位 信長の棺 加藤廣

 第三位 容疑者Xの献身 東野圭吾  

 さて今日は、第二位からの発表です。  

 それでは…。 第二位 天下城  佐々木譲

 

 図書館ではじめて目にした本。

 オイラの場合、「城」の名がついていると条件反射で目が行ってしまいます。

 この作品の第二位は、さすが自己チューランキングと言われても仕方ないでしょうね。

 おそらく、ほかの人が選んだらベスト5には入らないかも。

 でも佐々木譲は、「エトロフ発緊急電」や「ベルリン飛行指令」などで知られる冒険小説作家。両方とも長い作品でしたけど、重厚で壮大なテーマと細部にわたる臨場感で一気に読むことができました。

 どちらも戦時中の日本を舞台にした作品だったので、戦国時代の歴史小説はちょっと意外でした。

 城をテーマにした作品は、城ヲタクとして評価がどうしても辛くなるのです。

 が、しかし、さすが第一級のエンタテイメント作家の作品だけあって楽しく読むことができました。オイラの知っている限り、それほど話題にならなかったのは、主人公が名もない石積み職人だからでしょうか。

 でも、実際城を作るのは武士ではなく、これら名もない職人衆ですからね。視点が変わって、オイラには新鮮に映りました。そういえば、以前読んだ「火天の城」も安土城を作った大工の棟梁が主人公だったような。

「火天の城」を書いた作者も相当築城技法について勉強したそうで、その蘊蓄がまた面白かったのですが、この「天下城」も当時の石積みの技法が語られています。

 佐々木譲は「技術系の人にも読んで欲しい」と言っているくらいだから相当自信を持って書いたのだと思いました。

 主人公は武士を捨て、近江の石積職人集団として日本一だった穴太衆(あのうしゅう)に身を投じる戸波市郎太。

 武田の金山で奴隷にされたり、朝倉氏の館や堺へ行ったり、若き日の信長に出会ったり、城にまつわる場所にこう都合よく行けるのかなと読みながら思いました。

 戸波市郎太って、作者が創作した架空の人物なのですね。

 戦国大名といったスーパースターならともかく、一般庶民を主人公にする場合は、劇的な出会いを創作しなければ小説として読者を最後までつなぎとめるのは難しいのでしょう。  天下城として登場する安土城は、まさに独創の城。自分の経験から行っても変わった城にうつります。

 この城こそ再建して、信長の天才性をあらためて感じたいと思いました。

 …ということで、いよいよ一位の発表っす。  並み居る強豪を抑えて、グランプリに輝いたのは…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

ハッスル!「老健」- 介護老人保健施設のすべてがわかる本 -  ビジベン著

 

 あれっ? おかしいぞ。どっかで見たような本がいきなり出てしまい…。

 ウィルスに感染したのかしらん。

 ずっこけて、またパソコンの角に頭をぶつけた方もいらっしゃるかもしませんね。

 申し訳ございません。

 実は前回味をしめ、これがやりたくて今回も引っ張ったのでした。

 でも、この本。福祉施設の方たちからはドキュメンタリータッチでなかなか面白いともお褒めの言葉を頂戴しているのです。オイラのエピソードもいろいろ書いてありますし…。

 そんなことより、今度こそグランプリ作品を発表しないといけないのでした。

 一流作家の書いた有名な作品にオイラが優劣をつけるなんて、そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせオイラは素人だし、法律に違反するわけでもないから、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、はーい、おっぱっぴーと言っていた小島よしおみたいに一発屋で終わることを覚悟しつつ、清水の舞台から飛び降りた気分になって、ビジベンが選ぶ「私が、面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…( ← 再びドラムの音?)

 犯人に告ぐ 雫井修介氏に決定いたしましたぁぁぁぁぁぁ~

第一位 犯人に告ぐ 雫井修介

 

 今回はあまり、意外な一位ではなかったかも。

 第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位、「このミステリーがすごい!」第8位…。

 映画にもなったりして、十分読者からの支持を集めている作品ですからね。

 皆様の予想に反する結果となって、とても心苦しいのですが…。今回はちょっとまとも過ぎたのではないか、と反省しています。

 でも、単純に面白いというだけの基準なら、この一年で読んだ本の中で一番楽しめました。

 最初の30分で、一気に引き込まれましたね。これはもう、グランプリ間違いなし、と…。

 最近は、ミステリーを読んでも、ワクワク興奮する機会が激減してしまったような。

 子供の頃読んだ、ポプラ社のルパン全集。ジュール・ベルヌのSF。偕成社から出ていた子供向きの歴史小説。十代から二十代の初めにかけて読んだ横溝正史の推理小説。  読む本、読む本、みんな面白かったけれど、最近、没頭して読めるような面白いミステリーに出会えるのは、年に一冊あるかどうかでしょうか。

 耳年増というか、本年増になったのかも。

 昔は、内田康夫の浅見光彦シリーズが好きで、かなり面白く読めたのですが、最近は物足りなくなってしまいましたし…。

 そんなオイラでも、この作品は一味違うと思いました。

 連続誘拐殺人事件に際して、現職の刑事がテレビに出演して公開捜査をするという設定が秀逸。

 視聴率をとりたいテレビ局とのやりとりも臨場感たっぷり。

 犯人を追い詰めて取り逃がすシーンなど、自分のよく知っている場所が事件現場なだけに結構手に汗握るシーンの連続でした。

 前半の緊迫感に比べて、後半がややストーリーのテンポが早くなって、臨場感が薄れるという批判もあるみたいですが、全体としてはよくまとまっている。

 警察小説というと、第一人者の横山秀夫の職人のような精密な作品が目に浮かびます。

 この作品も臨場感と緊迫感あふれるシーンが満載ですが、結構ユーモアのある個所もあって好感が持てました。

 チョンボなんとか、というリアルでいたら困るような刑事も、実際にはいるのかも。

 エリートや変人の刑事、サラリーマン化した刑事などバラエティに富んだ登場人物を眺めるだけでも楽しめますよ。

   …ということで、今回はわりと無難な結果になってしまったと思われる「私が面白かった小説大賞」。

 子供時代から好きだった本格ミステリーが入らなかったのは寂しい限り。

 個人的には、本格ミステリーで、独創的なトリックと意外な犯人で驚かされたいのだけれど…。

 今回ノミネートされた中にも、本格ミステリーは少なからずありました。

 完璧なアリバイや破綻のないトリックに力点を置きすぎると面白くなくなるのがミステリー作品のつらいところ。

 トリックから作品を作ると、一般社会ではありえない設定になってしまうし。

 バランスがいいのは、古い作品ですが、島田荘司の「Yの構図」が楽しめました。  「切り裂きジャック百年の孤独」もそうでしたけど、しっかりとたトリックでありながらなおかつ読んで面白いのは簡単そうでなかなかできないですね。

 あと、三浦しをんの直木賞受賞作、「まほろ駅前多田便利軒」もなぜか記憶に残っています。

 とりたててたいしたテーマではないのですが、便利屋の実態についてよく勉強しているな、と…。

 この人は大学卒業してからすぐ作家になったらしいから、あまり実社会の経験はないんですよね。

 それでこんな社会の重箱の隅をつつくような小説を書けるのだからすごいと思いました。

 本を読むと、自分の体験できないことを味わえるわけですから、人生を何倍も楽しむことができるのかも。

 いや~、やっぱり本って楽しいもんですよね。 

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決定!私が、読んで面白かった小説大賞!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。

 暑い日が続きますね。 

 今日はいよいよ「私が、読んで面白かった小説大賞」の発表です。

 前ふりが長くなるとまた終わらなくなるので、今回はいきなり行きまっす。

 ブックレビューも書かないといけないし…。

 オイラが2007年7月から2008年6月にかけて読んだ本をもう一度書きますと、以下の通りです。
 

7月
 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 生首に聞いてみろ 法月倫太郎
 ミロクの掌 安孫子武丸

8月
 セリヌンティウスの舟 石持浅海
 カンガルー日和 村上春樹
 野ブタ。をプロデュース 白岩玄
 隠し剣孤影抄 藤沢周平
 スイス時計の謎 有栖川有栖

9月
 黒祠の島 小野不由美
 時の密室 芦辺拓
 ブルータワー 石田衣良
 信長の棺 加藤廣
 容疑者Xの献身 東野圭吾

10月
 半島を出よ(上) 村上龍
 半島を出よ(下) 村上龍


11月
 俄(にわか) (上) 司馬遼太郎
 俄(にわか) (下) 司馬遼太郎
 19歳の肖像 島田荘司
 日本殺人事件 山口雅也
 菜の花の沖 (1) 司馬遼太郎

12月
 菜の花の沖 (2) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (3) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (4) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (5) 司馬遼太郎


2008年上半期

1月
 菜の花の沖(6) 司馬遼太郎
 乱鴉の島 有栖川有栖
 顔のない敵 石持浅海
 犯人に告ぐ 雫井修介


2月
 妖怪(上) 司馬遼太郎
 妖怪(下) 司馬遼太郎
 生協の白石さん

3月
 司馬遼太郎と寺社を歩く
 風に舞い上がるビニールシート 森絵都
 殺人方程式 綾辻行人
 切り裂きジャック百年の孤独 島田荘司

4月
 スラッシャー 廃園の殺人 三津田信三
 まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん
 平将門 吉川英治
 龍臥亭幻想(上) 島田荘司

5月
 龍臥亭幻想(下) 島田荘司
 Yの構図 島田荘司
 秋汎狩り 佐伯泰英
 消えた直木賞
 吉原手引草 松井今朝子
 
6月
 山魔の如き嗤うもの  三津田信三
 天下城 (上) 佐々木譲
 天下城 (下) 佐々木譲
 贄門島 (上) 内田康夫
 贄門島 (下) 内田康夫



 このノミネート作品の中から、ベスト5が決まるのですね~

 皆さんが支持されている本が、オイラのベスト5にはあまり入っていないようなので、改めて自分が変人であるということを実感して落ち込む今日この頃。

 決して、コメントの予想からはずしてベスト5を選んだわけではありませんので念のため。

 いつも、読んだ本のノミネート作品をパソコンで打っているときに、ベスト5を先に決めてしまうのです。

 と言っても、それぞれ評判になった本ばかりでいろいろ悩みました。

しかも今回は一年分ですからさらに難しいっす。

 しかし、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。 


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)




第五位
 菜の花の沖  司馬遼太郎

 江戸時代の廻船商人で、のちに蝦夷地の開発にも尽力した高田屋嘉兵衛を主人公にした歴史小説。見なかったですが、竹中直人主演でドラマ化もされましたね。

 ホントは戦国時代や幕末に生きた武士の波乱万丈の生涯を描いた作品が好きなのですけど、波乱の生涯という点では勝るとも劣らないと思いました。子供時代の淡路島の風習なんかも面白かったです。

 江戸時代の船や航海術の薀蓄など、一級のエンタテイメントでありながら、歴史や民俗学の知識も増えると言う一粒で二度おいしい司馬作品の魅力がとくに現れている作品だと思いました。

 ただ、日本とロシアとの接触の歴史は、「余談だが…」の枠を大きく越えて、途中から小説というより延々と論文を読んでいるような気分になったかも。

 小説としての流れや完成度を度外視しても、北方領土に対する強い思いを司馬さんは伝えたかったんでしょうね。

 高田屋嘉兵衛は幕府の役人ではないし、強い権限を持っているわけではないけれど、お国のため、函館の発展のためと結果的に多くの功績を残しました。

 今の時代に、こんなグローバルな視点で企業を運営し、自分の損を承知で国のために尽くす商人は果たしているのだろうかと考えます。

 嘉兵衛が心血を注いだ高田屋はその後なくなってしまいますが、司馬作品の中で自己チューの大企業より、はるかに長く生き続けるのだろうと思いました。



第四位
 信長の棺 加藤廣

 信長や秀吉、家康にまつわる本は、星の数ほどあります。3人の新しいエピソードはもうお目にかかれないのではないか、というくらいいろんな本を読みました。

 でも、こういうちょっと変わった切り口だとついつい引き込まれてしまいますね。

「信長公記」の著者・太田牛一を主人公とした点も興味深い。

 小泉純一郎元内閣総理大臣が愛読書にもあげて話題になりましたっけ。

 この本の魅力は、本能寺の変で信長の遺体が発見されなかったというわりと有名な事実がベースになっています。

 光秀の娘婿で、これまた有名人の明智左馬助光春が数日の間現場に留まって、信長の遺体を徹底的に探し続けたけれど発見されなかったそうなんですよ。

 現代でも火災現場からは焼死体が発見されますし、確かに歴史好き、ミステリー好きのオイラでは身を乗り出すテーマ。明智光秀にとって、信長の遺体発見は最重要課題の一つだったと言うこともわかります。

 ネタバレになるから書きませんけど、本ではちゃんとミステリー的な解決がなされている。一応トリックもあるのですね。

 ただ、多少こじつけだという批判もあるようで、その点はオイラも否定はしませんけど…。

 それはともかく、オイラがすごいと思ったのは著者の加藤廣さんの年齢。

 1930年生まれですか。

 そしてこの作品によって作家デビューを飾ったときは75歳なのですね。

 歴史ミステリーは、歴史の信憑性とミステリーのプロットなどいろんな制約があって、普通の小説を書くより骨が折れるような気がします。

 オイラも努力すれば、まだまだ四半世紀以上、いろんなことで頑張れるんだと希望が湧いてきました。

 これからも頑張って作品を世に出して、多くの中高年に希望を与えてほしいと思いましたね。



第三位
 容疑者Xの献身 東野圭吾

 ご存知、ベストセラー作家東野圭吾の本格ミステリ大賞と第134回直木賞受賞作。

 何度も候補となりながら涙を呑んできた作家ですが、世情評価の高い「白夜行」でも「秘密」でもなく、この作品で受賞というのは、読んでみてなるほどと思いました。

 宮部みゆきも「火車」「模倣犯」といった代表作ではなく、従来とは少し文体・作風を変えた「理由」で受賞しましたからね。本人も書き出しは、松本清張の「真似っこ」だとどっかでコメントしていたような。

 また浅田次郎も「蒼穹の昴」ではなく、受賞作が「鉄道員」というのも、その延長線上にあるのかもしれませぬ。

 この作品は、福山雅治がドラマで演じた天才物理学者、湯川が登場しますが、なんといってもタイトルにもある「容疑者X」の存在感がすごい。

 まさに、「容疑者X」の献身。

 他人に対して、ここまで奉仕する人間がいるのかなぁという余韻のインパクトは独特でした。

 容疑者Xの心情の変化をあえて書かず、読者にゆだねる形にした点が成功したのでしょう。

 その余韻が、直木賞の選考委員にとってこの作品を選ばせたのではと感じます。

 東野圭吾のこの作品、宮部みゆきの「理由」、浅田次郎の「鉄道員」などの受賞作の共通点がこの辺りにあるような。

 作者による感動の押し付けが感じられにくい作品といいますか。

 直木賞選考委員も同業の作家。

 作家の技法によって感動させられてしまうと、作家の掌に乗せられたという抵抗感が起きるのではないか、と穿った見方もしてみたくなります。

 それはともかく、こういう面白い読後感の作品は滅多にないと思いますので、お勧めです。
 ブックレビューが長くなったので、1位と2位の発表ができそうにありませぬ。

 ベスト3なら恰好がつくのですけどね。

 決して引っ張るつもりはないのですが、ベスト2の発表は次回ということで…。

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