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高血糖をほっておくと、どんな病気が起きるの? ~ 医師と女子高生の会話から ~

 こんにちは。

 先週、都心の繁華街で、ある大衆食堂へ入ったのですよ。

 ごはんや味噌汁のほかに、おかずが三品ほどついて、500~600円のリーズナブルな価格。しかも、わりとおいしいので、昼食時になるとオヤジで溢れます。

 いつも混むので、11時半くらいに店に入り、さっそく焼き魚定食を注文しました。

 それをパクパク食べていると、オイラの前にオヤジが座り、肉豆腐定食を注文。

 フーフー、いいながらおいしそうに食べるオヤジを見て、寒い日は、肉豆腐でもよかったなと思った頃、突然、そのオヤジが手を上げました。

 先生に質問するような挙動にオイラがギョッとすると、店員のおばさんに食いかけの肉豆腐の中を箸で示します。

 その先には、なんと、季節はずれのでかい蝿が…。

 やわらかく煮込まれて、いい出し汁が出ていそう。

 そのおばさんは、ギョッとするかと思いきや、手馴れた様子で、「あ~御免ね~」と肉豆腐を下げ、「別のすぐ持ってきますから」と言いました。

 そのオヤジも手馴れた感じで、「じゃ、アジフライをもらおうかな」と冷静な顔で、漬物をボリボリと齧っている。

 やがて、オヤジの前には、アジフライのほかに、サービスの冷奴が並びます。しかも、伝票には大きくゼロの文字が書き込まれているのですよ。

 いいな~。

 オイラの皿にも、何か入っていないかニャー。ゴキブリでも入っていたら、ビフテキが食えるかも。

 …と、食い散らかした魚の骨のすきまや味噌汁、おひたし、漬物などの皿の中を確認したのですが、残念ながら猫の子一匹入っていないのでした。

 それにしても、あの店員と客の冷静さは、ちょっと怖い気が…。

 毎度のことのような雰囲気も。

 もっとも、オイラの世代は、テレビジョッキーでゴキブリを食べる少年とかいましたからね。

 食卓には普通に蝿が飛んでいたどころか、予防接種の注射針も使いまわしていた時代ですし。

 しかし、それだけ強力な免疫力を持っている世代でも、糖尿病にはかなわないのでした。


 …ということで、強引な前振りのあと、今日はまた、「AYAちゃんの糖尿病事件簿」です。


 この「糖尿病シリーズ」。

 ほぼ隔週で、お送りしています。

 前回は「血糖値とは何か」という話題を取り上げました。

 今日が始めての方、この記事に興味のある方は、先に「心と体」のカテゴリにある前回の記事をお読みいただければ幸いです。

 今日はその続きです。
 
 登場人物は、病院の院長先生と現役女子高生のAYAちゃん(松戸あや)の二人。

 AYAちゃんは、将来、看護師になることを夢見る元気な女子高生。

 血糖値の上がったお父さんを救うため、糖尿病について勉強しているという設定でしたね。
  
 前回、血糖値について勉強したAYAちゃん。

 今日は、高血糖をほっておくと、どんな病気が起きるのかが話題になります。
 
 それでは…。


2.高血糖をほっておくと、どんな病気が起きるの? ~ 動脈硬化が進んで起こる怖い合併症の数々 ~


● AYAちゃん「そうか。私はお父さんと違って大食いしませんからね。でも、自覚症状はほとんどないんですよね。だったら無理に努力しないで、ハニーブラッドのまま生きてゆくのも一つの生き方だと思うんですけど」


 何?ハニーブラッドって。ルー大柴みたな英語だね。検査結果を見て、「また、血糖値が高めだ」と落ち込むだけの影響だったら、何も言わないよ。残念ながら血糖値が高いまま放っておくと、困ったことが体に起きてくるんだ。


● AYAちゃん「甘い雰囲気に誘われて、異性が集まってきて困る、みたいな?」


 だったら良いんだけどね。血糖値が高い状態が続くと、体中の毛細血管が徐々に障害を受ける。同時に動脈硬化が進んで、いろんな合併症を引き起こすんだ。


● AYAちゃん「えっ? たとえばどんな病気ですか?」


 これから言うから、メモしてお父さんに教えてあげてね。まずは、糖尿病の三大合併症といわれる糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症…。


● AYAちゃん「ちょっと、先生。難しい病名はいいですから、放っておくと体がどうなるのかだけ教えてください」


 将来、看護師になるんだったら全部覚えないといけないんだよ。まず、糖尿病性網膜症は成人の失明原因の第1位になっている怖い病気だ。それから糖尿病性神経障害になると、末梢神経が妨げられ、全身にさまざまな症状が現れる。


● AYAちゃん「たとえば、どんな症状ですか?」


 多量の汗をかいたり、逆に汗が出なくなったりする発汗異常、また、便秘や下痢、こむらがえり、立ちくらみ。それから手足の先がしびれたり、冷えたり、痛んだりすることもある。あと、胃のもたれや吐き気を訴える人もいるよ。


● AYAちゃん「そんなにたくさんあるんですか。末梢神経って、いろんな役割があるんですね」


 そう。それから高血糖によって糖尿病性の腎症になると、腎臓の糸球体という組織が障害されるんだ。腎機能が低下すると、尿にたんばくが漏れ出したり、血圧が高くなったりする。また、体がむくんだり、だるくなったりもするね。最終的には、おしっこを作ることができなくなって「人工透析」が必要になるケースもあるんだ。


● AYAちゃん「それは大変ですね。私の友達のおじいさんが人工透析を受けているそうなんですよ。週3回クリニックに通わないといけないんだって話していました」


一回の透析治療に4~5時間もかかるから、日常生活に負担がかかるのは間違いないね。それから糖尿病になると、動脈硬化が促進されることも忘れてはいけない。


● AYAちゃん「動脈硬化になると、脳卒中や心臓病になりやすいんでしたよね」


 そう、よく覚えていたね。血糖が高い状態が続いていると、血管の内膜に傷ができやすいんだ。そこにコレステロールなどからできたドロドロのおかゆのようなかたまりがしみ込んで硬くもろくなってしまう。

 結果的に血管が狭くなったり、症状が進むと血管が詰まってしまったりする。動脈硬化が心臓の冠動脈に起こって、血流が不足するのが狭心症だよ。


● AYAちゃん「血糖値が高くて血液がドロドロだと、血液のかたまりができやすくなるんですよね。そのかたまりが脳の血管に詰まると脳こうそく…」


 その通り。血液のかたまりが心臓の冠動脈に詰まると、心筋こうそくになる。


● AYAちゃん「以前、先生から、動脈硬化を引き起こす危険因子は他にもいろいろあるって聞きましたね」


 加齢や高血圧、高脂血症、肥満、タバコなどが考えられるね。


● AYAちゃん「高脂血症って、何でしたっけ」


 コレステロールとか、中性脂肪とか言われている血液中のアブラが多すぎる病気だよ。そういえば以前、彩君がてんぷら油やサラダ油をキッチンの排水管に流して、そのあと水が流れにくくなったしまったって言っていたよね。血管も同じように、流れている血液のアブラが多すぎると、詰まりやすくなるんだ。


● AYAちゃん「先生って、私が失敗したことはよく覚えているんですよね。糖尿病は、おしっこが甘くなるというイメージしかなかったんですけど、死亡原因にも大きく影響しているんですか。知らなかったわ」


 それから、糖尿病の合併症としてよく引き合いに出されるのが「壊疽(えそ)」だね。


● AYAちゃん「壊疽って、何ですか?」


 怪我でできた傷などに細菌が感染して化膿してしまい、やがてその部分の組織の細胞が死んで腐ってしまう病気だよ。糖尿病の場合、とくに足に多いんだ。症状が悪化すると、足を切断しなければならない場合もある。


● AYAちゃん「細胞が死んで腐ってしまうなんて、痛そう」


 ところが、それほど悪い状態になっても、患者さんは痛くもかゆくもないケースが多いんだ。


● AYAちゃん「えっ?どうしてですか」


 原因は、糖尿病性の神経障害にあるんだよ。足の末梢神経が正常なら、怪我をすれば当然痛みを感じて、すぐお医者さんへ行ったり、自分で消毒して絆創膏を貼ったりするよね。

 ところが糖尿病の患者さんの中には、末梢神経の機能が低下しているから痛みを感じない人たちがいるんだ。たとえば、足の裏に画びょうが刺さったのに気づかないで、何日も歩き続けてしまうケースもある。


● AYAちゃん「考えるだけで痛そうですけど、本人は痛くないんですよね。痛みを感じないと、自分の体の異変は見て判断するしかないわけか。でも、自分の足の裏をしげしげと眺めることはあまりないような。まして靴下を履いてしまうと滅多に見ないですよ。冬の寒い日なんか、靴下を脱ぐのが面倒くさくてそのまま寝ちゃうこともありますし…」


 老婆心までに言うけど、靴下は毎日交換してよ。その患者さんの場合、熱が出て、炎症が広がり、足が二倍も腫れあがって赤く変色しているのを見てはじめて気がつくわけ。その変わりように驚いてお医者さんに駆け込む患者さんもいるんだよ。いかに人間は痛みなどの感覚に頼って生きているか、ということだね。


● AYAちゃん「普通なら、画びょうを踏んだとき飛び上がるんですけどね。ドアに手を挟んだり、包丁で指を切ったりしたときは、何で痛みなんか感じるんだろうって思いますよ。でも痛みは、人間にとってとても大事なものなんですね」


 そういえば小泉元首相は、痛みに耐えろと言ったけれど、なぜ痛みが必要なのか教えてくれなかったね。


● AYAちゃん「(改まった口調で)先生、そんなくだらない冗談を言っている場合じゃないです。私のお父さんの血糖値が高いんですよ!今度、暇なときに再検査に行こうって言ってるけど、至急、行かせなければ。会社を休ませてでも、病院へ連行するぞ!」


 また極端だね。彩君があんまり楽観的だから、ちょっと言いすぎちゃったみたいだけど…。そこまですることはないよ。


● AYAちゃん「いえいえ、昨日の夜も、結構夜食をバクバク食べていましたからね。この前の検査のときより、血糖値はもっと上がっていると思いますよ。体の改革の痛みに耐えて、頑張ってもらわねば」


 怖い…。目が据わってる。


● AYAちゃん「どげんかせんといかん!!!」


 ひぃ~宮崎県の知事みたい。


  (再来週に続きます)

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