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糖尿病とインスリンの深い関係 ~ インスリンが血糖値の管理人と呼ばれるワケ ~

暑中お見舞い申し上げます。

 地球温暖化の影響を骨の髄まで味わわされる酷暑が続いておりますが、お元気ですか?

 私事で恐縮ですが、オイラの部屋ではエアコンの調子が悪くて、午後11時なのに、室温34度、湿度85パーセントを記録。

 さすがに、これは人間が生存できる環境ではないと、故障続きのエアコンに見切りをつけ、楽天市場で新型エアコンを購入してしまいました。

 暑くてパソコンや読書ができないと悲鳴をあげて買ったのですが、エアコンが入って涼しくなると睡魔に襲われます。

 結局、過酷な環境でも、快適な環境でも、だらだら過ごしてしまう自分を発見するのでした。

 それはともかく、東京スカイツリーの高さがいよいよ400メートル越えを果たしたとか。

 前回貼り残した写真が何枚かあったので、在庫一掃セールで再びアップさせていただきます。

 スカイツリー本体だけではなく、まわりの風物とのコラボも面白いような気が…。

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 東京スカイツリーと北十間川

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 東京スカイツリーと商店

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 東京スカイツリーと隅田川

 …ということで、今日はまたまたお久しぶりの、「AYAちゃんの糖尿病事件簿」です。


 前回は「一日の適正エネルギー量」という話題を取り上げました。

 今日が始めての方、この記事に興味のある方は、先に「心と体」のカテゴリの中にある前回、前々回の記事をお読みいただければ幸いです。


 今日はその続きです。
 
 登場人物は、病院の院長先生と現役女子高生のAYAちゃん(松戸あや)の二人。

 AYAちゃんは、将来、看護師になることを夢見る元気な女子高生。

 血糖値の上がったお父さんを救うため、糖尿病について勉強しているという設定でしたね。
  
 今日は、「糖尿病とインスリンの深い関係」が話題になります。

 それでは…。


● AYAちゃん 「そういえばインスリンは、血糖値を下げるホルモンだって聞きましたけど」


 そう。人間の体には血糖が下がらない装置がいくつもあるんだ。人間の体にあるホルモンの多くは、血液中の糖分を上げる働きを持っている。唯一、体の血糖値を下げるホルモンがインスリンなんだ。


● AYAちゃん「えっ?インスリンだけが孤軍奮闘しているんですか?何だか気の毒ですね。体の中に援軍を派遣するような仕組みが、何でできなかったのかしら」


 それは私たちの体が、血糖値の高い状態を想定して作られていないからかもしれないね。人類が誕生してからつい最近まで、私たちの先祖は常に飢餓と戦ってきたんだよ。


● AYAちゃん「でも、藤原道長とか、糖尿で苦しんだ昔の人もいたんですよね」


 それは特権階級にあるほんの一握りの人たちで、ほとんどの人たちは贅沢な食事はおろか満足に食べられないことも多かった。狩りや採集をして食べ物を見つけていた大昔の人たちはもちろん、稲作が始まってからもたびたび飢饉に見舞われたんだ。


● AYAちゃん「そういえば江戸時代の飢饉は悲惨だって、日本史の授業で勉強したような。1日に3回食事ができるようになったのは、そんなに昔じゃないんですよね」


 そう。江戸時代あたりから、朝昼晩に食事をするようになったと言われている。それまでは1日2食だったそうだよ。明治、大正、そして昭和のはじめくらいまで、一般庶民は今みたいな高カロリーの食事を口にすることができなかった。現代人と同じグループの現生人類が現れたのは20万年くらい前だそうだけど、今みたいに好きなものが食べたいだけ食べられるようになったのは、ここ40年ぐらいじゃないかな。


● AYAちゃん「じゃ、人類は20万年も飢えに苦しんできて、ここ40年ぐらいに、急に誰でもお腹いっぱい食べられるようになったわけなのですか」


 もちろん、ダイエットだって言って、大昔と同じような食生活を送っている人もいるよ。だけどそういう人たちは自分の意思で食べないだけで、食べようと思えばいつでも好きなだけ食べられる。だけど、つい最近まで食べたくても食べるものがない時代がものすごく長く続いたんだよ。


● AYAちゃん「20万年のうちの40年というと、たったの0.02パーセントですよね。じゃ、私たちは人類の歴史で、自由に食べ物が手に入るほんのわずかな0.02パーセントの時代を生きているわけですね。幸せな時代だって感謝したいけど、お父さんみたいになっちゃう人もいるから心から喜べないわ。でも、あとの99.98パーセントの食べ物が自由に手に入らない時代の人たちの体は大丈夫だったのですか?」


 今より寿命が短かったし、病気に対する免疫力も弱かったんだろうね。だけど人類はその困難な状況の中で対応してゆくんだ。少ない食べ物の中で、たまに口にする食事のエネルギーを最小限利用し、残った分を次の食べ物を獲得するためのエネルギー源として蓄えるようになっていったんだ。その過程で、さまざまな「倹約遺伝子」を有するようになったと考えられる。


● AYAちゃん「そうか、だから私たちはちょっと食べるとすぐ太るし、いくら動いてもなかなかやせないんだ」


 その通り。人間の体は、飢餓に強いように省エネ設計になっていると言ったらいいかな。もともと少ないエネルギーでも動くようになっているのに、大量のエネルギーをどんどん摂取してしまう。


● AYAちゃん「すると体に脂肪がどんどんついてしまう」


 しかも、車や家電製品が社会に普及したことによって、私たちの生活はますます便利で楽になり、貯蔵されたエネルギーを使う場所がなくなってしまった。


● AYAちゃん「人間の体の中で、血糖値が上がる仕組みが充実しているのは、人類のたどってきたつらく厳しい過去があるからなのであった」


 なんだかドキュメンタリー番組のナレーションみたいになってきたぞ。最近は、血糖値の高い状態に危機感を募らせているけど、その当時は血糖値が低い状態にいかに対処するかが最重要課題だったんだ。血糖値が低い状態が続くと、脳は機能障害を起こして意識が朦朧となってしまう。 さらに血糖値が下がると昏睡状態になったり、悪くすれば死んでしまったりすることもあるんだ。


● AYAちゃん「飢餓の時代が長く続いていた当時は、今みたいに血糖値が高くなりすぎる状態を想定していなかったのかも」


 ホリエモンもたぶん想定外だったと思うよ。


● AYAちゃん「またわけのわからないことを。でも、いくら想定していなかったとはいえ、血糖値を下げるインスリン様がいてよかったですね」


 今の飽食の時代は、むしろインスリンが脚光を集めている。血糖値の管理人であるインスリンがいるからこそ、血液の中のブドウ糖の量が正常に保たれているんだよ。


● AYAちゃん「もし管理人がいなくなったら?」


 血糖値が高い状態が続き、以前に話したようなさまざまな合併症が起きてしまうんだ。こういう状態が糖尿病だよ。


● AYAちゃん「なるほど、糖尿病とインスリンはすごく密接な関係にあるんですね。


 だから前に言ったように、糖尿病はインスリンが不足したり、あっても働きが弱くなったりして起きる病気だといえる。ところでそんな大切なインスリンだけど、どこで作られるかわかる?


● AYAちゃん「素人がわかるわけないじゃないですか。そういえば前に先生から同じ質問をされたことがありましたね」


 ある離れ小島からインスリンは分泌されるんだよ。


● AYAちゃん「まさか。そんな遠くからどうやって私たちのところまで運んでくるんですか?」


 いや、すい臓という臓器にある島だけどね。インスリンは、ランゲルハンス島という組織から分泌されるんだよ。


● AYAちゃん「(ムカッ)島って言うから本物の離島かと思いましたよ。それが言いたくて、先日からどこにあるか聞いていたんですね。ところで、どうして島なのですか?」


 この島を発見したのは、当時まだ22歳だったドイツの病理学者ランゲルハンスという青年なんだ。彼が顕微鏡ですい臓の組織を見たとき、内分泌細胞のかたまりが散在しているのが見えた。それがちょうど、島が浮かんでいるように見えたんだね。1869年のことだよ。


● AYAちゃん「見つけたとき、おーい、島が見えたぞ~って叫んだのかしら」


 そんなことはないと思うけど、当時からすい臓が消化液を出すことは知られていたんだ。ランゲルハンスは、それとは異なる細胞の集団があるということを発見したんだね。


● AYAちゃん「ところですい臓って、どこにあるんでしたっけ」


 すい臓があるのは胃の裏側あたり。そこで食べ物を消化する酵素を分泌しているんだ。また今言ったように、その中のランゲルハンス島のベータ細胞からは血糖値を下げるホルモンを分泌するという働きもある。


● AYAちゃん「ベータ細胞っていうからには、ほかにはアルファ細胞もあるんですか?」


 なかなかいい推理だね。今言った血糖値を下げるホルモンであるインスリンのほかにも、血糖値を上げるホルモンやそれらを抑制するホルモンを分泌する細胞があるんだよ。


● AYAちゃん「それにしても、22歳の青年が糖尿病の治療に結びつくようなすごい発見がよくできましたね。私の兄貴もさほど年が変わりませんけど、いつもうだうだ過ごしてますよ。えらい違いだわ」


 ところがランゲルハンスは、この島がどういう役割をしているのかわからないまま死んでしまったんだ。


● AYAちゃん「アメリカ大陸を発見したコロンブスみたい。コロンブスは、死ぬまでアメリカ大陸を東洋のどこかと信じていたんですよね。でも歴史に名前を残した…」


 コロンブスと業績を比べることはできないけれど、歴史に名前を残したという点は間違いないね。


● AYAちゃん「しょこたんも言ってましたけど、生きた証を残すってすごいことですよ。それはともかく、インスリンと糖尿病の関係がわかったのはいつ頃なんですか?」


 すい臓の消化液以外の成分、つまりランゲルハンス島から出るホルモンで抽出液を作ることに成功したんだ。そして1921年、その抽出液をすい臓を取り出して人工的に糖尿病を起こした犬に注射する実験を行い、有効性を確認できたんだよ。ところでしょこたんって誰?


● AYAちゃん「新ブログの女王と言われてる中川翔子ですよ。それで、その液体がインスリンだったんですね」


 そう。翌年には インスリン注射が重症の糖尿病患者に行われ、奇跡的な回復を遂げることができた。


● AYAちゃん「ランゲルハンス島を発見してから、その役割を発見するまで50年以上もかかったわけですか。しかも現在まで100年も経っていないんだ」


 この実験に貢献したバンティングとマクロードは1923年のノーベル生理・医学賞を受賞しているよ。


● AYAちゃん「わぉ、ノーベル賞ですか。インスリンの発見はそれぐらいすごいことだったのですね」

( 次回はいつになるかわかりませんが、一応続く予定です )

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