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決定!私が読んで面白かった小説大賞 2010年度

こんにちは。

 最近、人の名前がすぐ出てこなかったり、当意即妙にボキャブラリーが思い浮かばなかったりすることがあるんですよ。

 そろそろオイラも老化に伴う脳の委縮がはじまったか、と自分の不幸を嘆きつつ、気がついたら涙ぐんでいたのでした。

 ところが、涙があとからあとからこみあげてくる。

 そして鼻水も。

 そして止めには、くしゃみの三連発。

 なんと、気づかないうちに、花粉症の禁断症状が現れているのでした。

 ひたひたと忍び寄るミクロの悪魔の脅威におびえる今日この頃。

 脳の活動の低下が、花粉によるものなのか、老化によるものなのかとても気になります。


 …ということで、かなり間が空いてしまいましたが、今日はいよいよ「私が、読んで面白かった小説大賞」の発表です。

 思いついたときにやっているので、第何回目か、わからなくなってしまいましたが…。

 ノミネート作品をもう一度掲載しますと、以下の通りです。

1月
 ナイチンゲールの沈黙 海藤尊
 いっしん虎徹 山本兼一
 裁判員法廷 芦辺拓
 火の路 松本清張
 雷神の筒 山本兼一


2月
 花の下にて春死なむ 北森鴻
 霧の旗 松本清張
 考古学と古代史のあいだ 白石太一郎


3月
 影の地帯 松本清張
 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹
 切羽へ 井上荒野
 サクリファイス 近藤史恵
 
4月
 Dの複合 松本清張
 白鷹伝 山本兼一
 老後がこわい 香山リカ
 シャドウ 道尾秀介
 最後のディナー 島田荘司

5月
 奇跡島の不思議 二階堂黎人
 Gボーイズ冬戦争 石田衣良
 背負い富士 山本一力
 夜のピクニック 恩田陸
 光る鶴  島田荘司


6月
 白い家の殺人 歌野晶午
 新世界より 貴志祐介
 ブゥードゥーチャイルド 歌野晶午
 果断 今野敏
 鷺と雪 北村薫

7月
 隠蔽捜査 今野敏
 利休にたずねよ 山本兼一
 非正規レジスタンス 石田衣良
 鴨川ホルモー 万城目学
 心を動かす話し方 D・カーネギー


8月
 秀吉の枷 加藤廣
 身代わり 西澤保彦
 乳と卵 川上未映子
 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
 ひとり日和 青山七重
 ソリトンの悪魔 梅原克文


9月
 密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午
 完全恋愛 牧薩次
 ポトスライムの舟 津村記久子
 時がにじむ朝 ヤン・イー
 ユージニア 恩田陸

10月
 乱反射 貫井徳郎
 狼花(新宿鮫) 大沢在昌
 制服捜査 佐々木譲
 覇王の夢 津本陽
 トルストイを語る 小西増太郎


11月
 剣と薔薇の夏 戸松淳矩


12月
 おひとりさまの老後 上野千鶴子
 密室殺人ゲーム王手飛車取り 歌野晶午
 ルパンの消息 横山秀夫


 見てお解かりの通り、オイラは結構評判になった本や芥川賞や直木賞の受賞作を読むことが多いっす。

 ちなみに、この中に、両賞の受賞作は、次の8作品も含まれているのですよ。

<直木賞受賞作>
 切羽へ 井上荒野
 鷺と雪 北村薫
 利休にたずねよ 山本兼一

<芥川賞受賞作>
 ポトスライムの舟 津村記久子
 時がにじむ朝 ヤン・イー
 乳と卵 川上未映子
 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
 ひとり日和 青山七重

 一流の選考委員が太鼓判を押した作品だから、破綻が無く、新しい文学表現の可能性が期待できるのは当然。

 ただ、オイラの選考基準は、たんに素人のオイラが読んで面白かったかどうか。

 文学賞の金看板が、果たしてランクインするのかどうか、注目が集まります。

 それから、おひとりさまの老後とか、老後に関する本も注目を集めましたね。それらを読んだのは、いずれ老後に関する本を書きたいと思ったからっす。

 原稿を書けば知識も増え、ゆくゆくは自分の老後対策にもなるのではないか、と…。

 本は実現するかどうかわかりませんが、今年は介護問題をテーマに取り組む機会も増えそうです。

 いろいろ能書きを並べていると先に進みませんので、さっそくランキングの発表に入りましょう。いつもはベスト5でお茶を濁していましたが、今年は有力作品が並んだということで10作品を取り上げました。 


 それでは、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞 2010年」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。 


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)


第十位 サクリファイス 近藤史恵
 
 物語の疾走感と読後感がすがすがしい青春ミステリ小説。
 英語力最悪のオイラは、恥ずかしながらサクリファイスの意味を失念していました。
 サクリファイスとは、犠牲という意味なのですな。読んでみて、その言葉と小説の関連性がよくわかりました。

 自転車ロードレースが舞台なのですが、一般人にはなじみの薄いプロの世界がよくわかります。しかも、自転車ロードレースの勝ち負けは、エース一人を勝たせるために、それをサポートするアシストたちの犠牲があって成しえるのですか。

 この本を読むまでは、そんな深い精神性のスポーツだとは思いませんでしたね~。

 この本の魅力は、スポーツ青春小説とミステリの融合が見事に図られている点でしょう。

 ミステリとしても良くできていますけど、ゴクゴク飲める清涼飲料みたいな雰囲気。実は、読んで一年経つとあまり内容を覚えていないっす。ズドンと心に響き、深く考えさせる小説が好みの人にはちょっと物足りないかも。 


第九位 果断 -隠蔽捜査2- 今野敏

 山本周五郎賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞した警察小説。警察小説は、新宿鮫とか、佐々木譲とか、横山秀夫とかの作品をいろいろ読みましたけど、この小説は主人公がなかなかユニークで面白かったっす。

 警察庁から大森署に左遷されたキャリアの署長が、ある意味、天然のキャラにまわりの警察関係者が振り回される姿が面白い。常識的なことを言ったりやったりしているのに、警察のなかでは変わり者的な見方をされたり。

 民間の一般企業でも、一見、合理的な経営を行っているようで、外部のさまざまなしがらみで振り回されることって結構ありますね。

 本来は、警察庁長官官房総務課長まで勤めた人物が、警視庁の署長になることはありえないらしいのですが、警察のディテイルがしっかり書き込まれているから、全然違和感なく読み進めることができます。本来、エリートは世間知らずで使えないというシチュエーションが多いのですが、世間知らずだからこそ、しがらみがなく合理的に仕事が行えるという視点が興味深かったっす。


第八位 鴨川ホルモー 万城目学

 映画化されるなど話題を呼んだ作品ですが、このわけのわからないタイトルの小説を読むのは勇気がいりました。

 鴨川のほとりのホルモン焼きの店にまつわる物語だろうか、とか思ったんですよ。でも実際、読んでみると、いい意味で裏切られましたね。

 ホルモーなる言葉は、この小説のなかだけで通用する言葉なのですな。…というより、このありえない設定を、真面目にディテイルにこだわって書き続ける力技に圧倒されました。

 京都の実際にある大学名がいくつも出てきます。また住んだ人でないとわからない京都の路地裏の雰囲気やさまざまな伝統的なお祭りも書き込まれ、京都の魅力も堪能できるところは好感が持てます。何と言っても、魅力的なキャラと台詞回し、物語のテンポがいいですね。大好きな京都で、こんな刺激的な学生時代を送ってみたかったっす。


第七位 密室殺人ゲーム王手飛車取り+密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午

 変わった趣向の連作本格推理短編集。本篇と続編の二冊ですが、合わせ技一本でランクインです。

 作者の歌野晶午には、かつて「葉桜の季節に君を想うということ」でやられた~と思いましたね。途中まで、平凡な駄作だと思って読み続けていると、途中、思ってもみなかったどんでん返しが…。

 今回のオイラのブログの前ふりにも関係しているのですが、今まで読んだことのないトリックが新鮮でした。

 トリックにこだわる作者らしく、この二冊の本も、なかなかハイレベルなトリックに驚かされます。5人のミステリーファンが、インターネットのチャット上で殺人推理ゲームを出題し合うという設定ですが、なんと出題者はホントに殺人をしちゃうのですよ。

 文章はうまいのですが、作者自身トリックを披露するためだけに作ったと思われる潔さを感じました。

 自分の考えた独創的トリックで自己実現をはかるためだけに殺人を犯すという趣向も、今の時代では荒唐無稽と感じない恐ろしさがありますね。


第六位 心を動かす話し方 D・カーネギー

 この本は、今から約四十年前に和訳された『カーネギー 話し方教室』の新装版だそうな。何で小説大賞に実用書が、と思われるかもしれませんが、まあ、推理作家協会賞にSF作品が選ばれたり、ホラーが純文学の新人賞をとったりすることもありますから、いいのではないかと…。

 実は、ノミネート作品は全部図書館で借りて読んだ本なのです。著者や出版社から見たら、オイラは天敵のような存在ですけど、借りて読んだあと、あらためて買ったのはこの本だけなのですね~。

 手元に置いて、何度も読み返したいと思うほど、有益なことが書かれているのでした。1912年、ニューヨーク市の片隅で元セールスマンのD・カーネギーが「話し方教室」を始め、そのノウハウを書きつづった本が世界的名著になって現在も多くの人たちに読み継がれているのですな。

 この本を読むと、多くの聴衆の前で、自信をもって話す才能は誰でも備わっていると感じます。ノウハウの実例集は、そんじょそこらの小説より面白い。

この著者の「道は開ける」「人を動かす」を読むと、人生観が変わりますよ。


 …ということで、ブックレビューが長くなったので、今日は1位~5位の発表ができそうにありませぬ。

 リストアップはできているのですが、まだグランプリをどちらにしようか迷っていまして…。

 そういえばまだ、芥川賞、直木賞の受賞作はひとつもランクインしていませんね。

 いよいよ次回は、グランプリ作品の発表です。

 さて皆さんは、どの作品を大賞に押しますか?

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