「病の基本としくみ」が海外翻訳出版されました~♪ with糖尿病にはどんな種類があるの?

 こんにちは。

 暑いですね~。

 ここまで書いて、一瞬、記憶が飛んでしまうくらい暑いです。

 早く書かないと、今日のネタを忘れてしまいそうなので、早速行かねば。

 二年前、「病の基本としくみ」が出版されたときは、皆様に大変お世話になり、どうもありがとうございました。

  遅ればせながら先月、「病の基本としくみ」が台湾と香港で、翻訳出版されたということが判明いたしましたぁぁぁ~

  本のタイトルは、「人体疾病学習大百科」となっていますが、内容は日本語を忠実に中国語に翻訳していただいているようです。

 台湾の方たちからは、今回の大震災でももっとも多くの義援金を送っていただいたそうですね。本の翻訳出版ともども、とても感謝しております。

 この本が少しでも、健康のお役にたっていただければうれしいです。

 ちなみに、売っている台湾の書店のホームページはこちら

http://www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010508249

http://www.iread.com.tw/ProdDetails.aspx?prodid=B000160323

http://www.kingstone.com.tw/book/book_page.asp?kmcode=2014290249399

http://shopping.pchome.com.tw/?mod=item&func=exhibit&IT_NO=DJAO1A-A56584369&SR_NO=DJAO1A&ROWNO=3

 翻訳ソフトを使えば意味は大体つかめるのですが、購入の仕方がよくわかりませぬ。

 オイラの名前の一部の漢字は、中国語にはないようですが…。

それはともかく、書店ごとに本の値段が違うのですね。本の紹介の仕方も、日本とは若干違う点があってなかなか興味深いです。

 
 さらに…

「病の基本としくみ」続編の出版が決定しましたぁぁぁぁぁぁ~

 前回は、病気のメカニズムがコンセプトでしたが、今回は、予防と治療にウェートを置いた本になりそう。

 ほかにも、時期は未定ですが、ビジネス関連の本の出版が決っておりまして、今年は暑くて忙しい夏になりそうです。


…ということで、今日は、海外翻訳出版と続編の出版を記念しまして、久々に、「AYAちゃんの糖尿病事件簿」を復活してみようか、と…。

 調べてみたら、このネタは10ヶ月ぶりなのですか。

 書いた本人が内容を忘れているのだから、前回の続きからでは支離滅裂になりますね。前回と重複するところがありますが、切りのいいところから行きまっす。

 登場人物は、病院の院長先生と現役女子高生のAYAちゃん(松戸あや)の二人。

 AYAちゃんは、将来、看護師になることを夢見る元気な女子高生。

 血糖値の上がったお父さんを救うため、糖尿病について勉強しているという設定でしたね。

 今回は、糖尿病にはどんな種類があるのかが話題になります。

 それでは…。


糖尿病にはどんな種類があるの?
 ~ 血糖値が高くなる仕組みによって、4つのタイプに分けられる ~



 まず、「1型糖尿病」と呼ばれるタイプ。これはさっき言ったすい臓のベータ細胞が破壊されて起きる病気だよ。結果としてインスリンの分泌量が少なくなってしまうんだ。


● AYAちゃん「えっ?どうして破壊されてしまうんですか?」


 たとえば、風邪や風疹、おたふくかぜなどのウィルスに感染して、自己免疫反応が起きるケースが考えられるね。ちなみに自己免疫反応というのは、本来自分の体を守る免疫の仕組みに異常が起こり、自分の体を攻撃してしまう反応だよ。


● AYAちゃん「それじゃ、この病気のタイプは、うちのお父さんみたいにカロリーの摂りすぎで高血糖になったわけじゃないのですね」


 そう。おたふくかぜや風疹などのウィルスが原因になる場合が多い。だから子供でも若者でも病気にかかるんだ。10歳ぐらいで発症することが多いから、以前は「若年性糖尿病」と言われたこともある。でも中年以降に発症することもあるから、「1型糖尿病」と呼ばれるようになったんだけど…。ただ、日本ではこのタイプはごく少数だよ。


● AYAちゃん「なるほど。うちのお父さんが気をつけなければいけないのはどのタイプなのですか?」


 それは「2型糖尿病」だね。日本でもっとも多いタイプだよ。40歳以上に多く見られて、食べ過ぎや運動不足、加齢や肥満などさまざまな要因が加わって発症するんだ。


● AYAちゃん「まさにビンゴですよ。うちのお父さんはほとんど当てはまります。ジムに通っているって言っても、最近はトレーニングの合間に休んでいる時間のほうが長いみたいだし…」


 それから忘れてはいけないのは、遺伝的な体質だね。AYAちゃんのおじいさんやおばあさん、お父さんの兄弟で糖尿病の人はいるかな。


● AYAちゃん「えっ?そういえば、おばあちゃんの親戚に糖尿病の人がいますよ」


 そうなの。2型糖尿病になる人の多くは、もともとインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの効き目が悪かったりというような遺伝的な体質があるんだよ。だから気をつけるに越したことはないよ。


● AYAちゃん「(ガーン。先生の白衣をつかみながら)それじゃ、うちのお父さんは糖尿病になりやすい体質なのに、私がカロリーの高い料理をたっぷり食べさせてしまったということですか。どうしよう。お父さんが糖尿病になったら私の責任だわ」


 ちょっと、血相変えて白衣をつかまないでよ。まだお父さんは「境界型」だし、これから食べすぎや運動不足を改善していけば発症を防ぐこともできるんだよ。


● AYAちゃん「あっ、そういえば、糖尿病の人はお母さんのほうの親戚だから、お父さんとは血のつながりがないんでした。


 ふう。まったく、人騒がせな…。


● AYAちゃん「あっ、でも。(再び、先生の白衣をつかむ彩ちゃん)そうしたら私が糖尿病になりやすい体質なんじゃないですか。わっ、それなのに、こんなカロリーの高いケーキを食べてしまった」


 自分で勝手にケーキを作ったくせに。何度も言っているように、糖尿病になりやすい体質でも気をつければ健康に暮らすことができるんだよ。たとえ糖尿病になったとしても、節制していれば健康な人と変わらない生活ができる。だけど日本ではここ40年で、2型糖尿病が急増しているんだ。それ以前では、遺伝的な体質を持っている人でも糖尿病を発症する例は少なかった。


● AYAちゃん「えっ?昔の人は根性があったから病気にならなかったんですか?」


 またわけのわからないことを。前にも話したんだけどな。根性はともかく日本がまだ豊かでなかった時代、多くの人たちは質素な食事を摂り、体もよく動かしていた。好きなものを自由に食べられるようになったのは最近だよ。車や家電製品も普及して、あまり体を動かさなくていい便利な時代になったんだね。


● AYAちゃん「そうか。だから「ALWAYS 3丁目の夕日」っていう映画がヒットしたみたいに、血糖値の心配が少ない貧しかった時代をみんな懐かしんでいるんですね」


 血糖値までは考えていないと思うけど…。


● AYAちゃん「ところでさっき先生は、2型糖尿病って、インスリンの分泌量が少なくなるほかに効き目が悪くなるっておっしゃっていましたよね。具体的にはどうなるんですか?」


 大騒ぎしたわりには大事なことをよく覚えていたね。すい臓のベータ細胞から分泌されたインスリンは、筋肉や肝臓、脂肪組織などに運ばれる。それらの細胞の表面には、インスリンを受け取る「受容体」と言われる部分があるんだよ。


● AYAちゃん「何ですか? 受容体って」


 細胞の表面にあるキャッチャーミットと言ったらいいかな。ここにインスリンが結合することによって、血液中のブドウ糖がエネルギーとして利用されるんだ。


● AYAちゃん「昔、遊園地に、鬼の的にボールを当てるとガォーって叫び声があがるゲームがありましたよね。それでインスリンの効き目が悪くなるとどうなるんですか?」


 インスリンはちゃんと分泌されているのに、血糖値が下がらないんだ。細胞にブドウ糖が入るための扉が開かないと言ったらいいかな。


● AYAちゃん「えーっ!? ボールがちゃんと的に当たっているのに、鬼がガォーっていうリアクションをしないと遊園地に苦情が来ますよ」


 困った状態だよね。食べすぎや運動不足などさまざまな誘因があると、細胞のキャッチャーミットである受容体に異常が起こる。結果的にインスリンの効きが悪くなるんだ。このような状態を難しい言葉で「インスリン抵抗性」と言うんだけど。


● AYAちゃん「そうか。糖尿病にならないためには、大切なすい臓のベータ細胞や細胞のキャッチャーミットがおかしくならないように気をつけないといけないんだ」


 そう。早く血糖値を正常に戻す必要があるね。それから糖尿病の別のタイプとして、ほかの病気が原因となって発病するものがある。


● AYAちゃん「具体的にはどんな病気なんですか?」


 たとえば、すい臓やホルモンの病気によって血糖値が高くなり、糖尿病が起きるんだ。だから「2次性糖尿病」とも言われている。


● AYAちゃん「すい臓の病気というとガン?」
 

それもあるね。すい臓がんは、60歳以上の男性に多いんだ。症状がほとんどないから早期発見が難しいんだけど、糖尿病の症状が出て、調べてみたらガンだったというケースもあるよ。


● AYAちゃん「糖尿病とガンのコラボは困りますよ」


 確かに。それから膵炎が原因になって糖尿病になることもあるんだ。膵炎はアルコールを大量に飲みすぎるなどが原因ですい臓に慢性的な炎症が起こり、すい臓の細胞が徐々に破壊されてゆく病気だよ。


● AYAちゃん「アルコールはカロリーも高いんですよね。お父さんの心配な糖尿病のタイプにも影響するんでしたよね」


 そう。アルコールの大量摂取は、さっき話した「2型糖尿病」、そしてこの「2次性糖尿病」、どちらのルートからも糖尿病に直結するんだよ。


● AYAちゃん「入り口が同じで、どちらのルートを選んでも糖尿病がゴールなら、最初から行かないのが賢者の選択だわ。ところでさっきの話に戻りますけど、ホルモンの病気って、どんなものがあるんですか?」


 たとえば、「クッシング症候群」や「褐色細胞腫」などの副腎の病気が多いね。


● AYAちゃん「難しい病名ですね。副腎って、腎臓と関係があるんですよね」


 左右の腎臓の上に帽子が乗るような形であるから副腎と呼ばれるんだけど、直接腎臓と繋がっているわけじゃないんだ。副腎は、脳にある下垂体や首のところにある甲状腺とともにホルモンを分泌する器官で、内臓の働きを調整する役目を果たしている。これらの器官がダメージを受けると、血糖値が高くなることがあるね。


● AYAちゃん「でも、2型糖尿病みたいに、インスリンの分泌が少なくなったり、細胞のキャッチャーミットに異常が起こったりするわけじゃないんですね」

 
( 次回はいつになるかわかりませんが、一応続く予定です )

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決定!私が読んで面白かった小説大賞 2010年度

こんにちは。

 最近、人の名前がすぐ出てこなかったり、当意即妙にボキャブラリーが思い浮かばなかったりすることがあるんですよ。

 そろそろオイラも老化に伴う脳の委縮がはじまったか、と自分の不幸を嘆きつつ、気がついたら涙ぐんでいたのでした。

 ところが、涙があとからあとからこみあげてくる。

 そして鼻水も。

 そして止めには、くしゃみの三連発。

 なんと、気づかないうちに、花粉症の禁断症状が現れているのでした。

 ひたひたと忍び寄るミクロの悪魔の脅威におびえる今日この頃。

 脳の活動の低下が、花粉によるものなのか、老化によるものなのかとても気になります。


 …ということで、かなり間が空いてしまいましたが、今日はいよいよ「私が、読んで面白かった小説大賞」の発表です。

 思いついたときにやっているので、第何回目か、わからなくなってしまいましたが…。

 ノミネート作品をもう一度掲載しますと、以下の通りです。

1月
 ナイチンゲールの沈黙 海藤尊
 いっしん虎徹 山本兼一
 裁判員法廷 芦辺拓
 火の路 松本清張
 雷神の筒 山本兼一


2月
 花の下にて春死なむ 北森鴻
 霧の旗 松本清張
 考古学と古代史のあいだ 白石太一郎


3月
 影の地帯 松本清張
 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹
 切羽へ 井上荒野
 サクリファイス 近藤史恵
 
4月
 Dの複合 松本清張
 白鷹伝 山本兼一
 老後がこわい 香山リカ
 シャドウ 道尾秀介
 最後のディナー 島田荘司

5月
 奇跡島の不思議 二階堂黎人
 Gボーイズ冬戦争 石田衣良
 背負い富士 山本一力
 夜のピクニック 恩田陸
 光る鶴  島田荘司


6月
 白い家の殺人 歌野晶午
 新世界より 貴志祐介
 ブゥードゥーチャイルド 歌野晶午
 果断 今野敏
 鷺と雪 北村薫

7月
 隠蔽捜査 今野敏
 利休にたずねよ 山本兼一
 非正規レジスタンス 石田衣良
 鴨川ホルモー 万城目学
 心を動かす話し方 D・カーネギー


8月
 秀吉の枷 加藤廣
 身代わり 西澤保彦
 乳と卵 川上未映子
 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
 ひとり日和 青山七重
 ソリトンの悪魔 梅原克文


9月
 密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午
 完全恋愛 牧薩次
 ポトスライムの舟 津村記久子
 時がにじむ朝 ヤン・イー
 ユージニア 恩田陸

10月
 乱反射 貫井徳郎
 狼花(新宿鮫) 大沢在昌
 制服捜査 佐々木譲
 覇王の夢 津本陽
 トルストイを語る 小西増太郎


11月
 剣と薔薇の夏 戸松淳矩


12月
 おひとりさまの老後 上野千鶴子
 密室殺人ゲーム王手飛車取り 歌野晶午
 ルパンの消息 横山秀夫


 見てお解かりの通り、オイラは結構評判になった本や芥川賞や直木賞の受賞作を読むことが多いっす。

 ちなみに、この中に、両賞の受賞作は、次の8作品も含まれているのですよ。

<直木賞受賞作>
 切羽へ 井上荒野
 鷺と雪 北村薫
 利休にたずねよ 山本兼一

<芥川賞受賞作>
 ポトスライムの舟 津村記久子
 時がにじむ朝 ヤン・イー
 乳と卵 川上未映子
 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
 ひとり日和 青山七重

 一流の選考委員が太鼓判を押した作品だから、破綻が無く、新しい文学表現の可能性が期待できるのは当然。

 ただ、オイラの選考基準は、たんに素人のオイラが読んで面白かったかどうか。

 文学賞の金看板が、果たしてランクインするのかどうか、注目が集まります。

 それから、おひとりさまの老後とか、老後に関する本も注目を集めましたね。それらを読んだのは、いずれ老後に関する本を書きたいと思ったからっす。

 原稿を書けば知識も増え、ゆくゆくは自分の老後対策にもなるのではないか、と…。

 本は実現するかどうかわかりませんが、今年は介護問題をテーマに取り組む機会も増えそうです。

 いろいろ能書きを並べていると先に進みませんので、さっそくランキングの発表に入りましょう。いつもはベスト5でお茶を濁していましたが、今年は有力作品が並んだということで10作品を取り上げました。 


 それでは、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞 2010年」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。 


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)


第十位 サクリファイス 近藤史恵
 
 物語の疾走感と読後感がすがすがしい青春ミステリ小説。
 英語力最悪のオイラは、恥ずかしながらサクリファイスの意味を失念していました。
 サクリファイスとは、犠牲という意味なのですな。読んでみて、その言葉と小説の関連性がよくわかりました。

 自転車ロードレースが舞台なのですが、一般人にはなじみの薄いプロの世界がよくわかります。しかも、自転車ロードレースの勝ち負けは、エース一人を勝たせるために、それをサポートするアシストたちの犠牲があって成しえるのですか。

 この本を読むまでは、そんな深い精神性のスポーツだとは思いませんでしたね~。

 この本の魅力は、スポーツ青春小説とミステリの融合が見事に図られている点でしょう。

 ミステリとしても良くできていますけど、ゴクゴク飲める清涼飲料みたいな雰囲気。実は、読んで一年経つとあまり内容を覚えていないっす。ズドンと心に響き、深く考えさせる小説が好みの人にはちょっと物足りないかも。 


第九位 果断 -隠蔽捜査2- 今野敏

 山本周五郎賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞した警察小説。警察小説は、新宿鮫とか、佐々木譲とか、横山秀夫とかの作品をいろいろ読みましたけど、この小説は主人公がなかなかユニークで面白かったっす。

 警察庁から大森署に左遷されたキャリアの署長が、ある意味、天然のキャラにまわりの警察関係者が振り回される姿が面白い。常識的なことを言ったりやったりしているのに、警察のなかでは変わり者的な見方をされたり。

 民間の一般企業でも、一見、合理的な経営を行っているようで、外部のさまざまなしがらみで振り回されることって結構ありますね。

 本来は、警察庁長官官房総務課長まで勤めた人物が、警視庁の署長になることはありえないらしいのですが、警察のディテイルがしっかり書き込まれているから、全然違和感なく読み進めることができます。本来、エリートは世間知らずで使えないというシチュエーションが多いのですが、世間知らずだからこそ、しがらみがなく合理的に仕事が行えるという視点が興味深かったっす。


第八位 鴨川ホルモー 万城目学

 映画化されるなど話題を呼んだ作品ですが、このわけのわからないタイトルの小説を読むのは勇気がいりました。

 鴨川のほとりのホルモン焼きの店にまつわる物語だろうか、とか思ったんですよ。でも実際、読んでみると、いい意味で裏切られましたね。

 ホルモーなる言葉は、この小説のなかだけで通用する言葉なのですな。…というより、このありえない設定を、真面目にディテイルにこだわって書き続ける力技に圧倒されました。

 京都の実際にある大学名がいくつも出てきます。また住んだ人でないとわからない京都の路地裏の雰囲気やさまざまな伝統的なお祭りも書き込まれ、京都の魅力も堪能できるところは好感が持てます。何と言っても、魅力的なキャラと台詞回し、物語のテンポがいいですね。大好きな京都で、こんな刺激的な学生時代を送ってみたかったっす。


第七位 密室殺人ゲーム王手飛車取り+密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午

 変わった趣向の連作本格推理短編集。本篇と続編の二冊ですが、合わせ技一本でランクインです。

 作者の歌野晶午には、かつて「葉桜の季節に君を想うということ」でやられた~と思いましたね。途中まで、平凡な駄作だと思って読み続けていると、途中、思ってもみなかったどんでん返しが…。

 今回のオイラのブログの前ふりにも関係しているのですが、今まで読んだことのないトリックが新鮮でした。

 トリックにこだわる作者らしく、この二冊の本も、なかなかハイレベルなトリックに驚かされます。5人のミステリーファンが、インターネットのチャット上で殺人推理ゲームを出題し合うという設定ですが、なんと出題者はホントに殺人をしちゃうのですよ。

 文章はうまいのですが、作者自身トリックを披露するためだけに作ったと思われる潔さを感じました。

 自分の考えた独創的トリックで自己実現をはかるためだけに殺人を犯すという趣向も、今の時代では荒唐無稽と感じない恐ろしさがありますね。


第六位 心を動かす話し方 D・カーネギー

 この本は、今から約四十年前に和訳された『カーネギー 話し方教室』の新装版だそうな。何で小説大賞に実用書が、と思われるかもしれませんが、まあ、推理作家協会賞にSF作品が選ばれたり、ホラーが純文学の新人賞をとったりすることもありますから、いいのではないかと…。

 実は、ノミネート作品は全部図書館で借りて読んだ本なのです。著者や出版社から見たら、オイラは天敵のような存在ですけど、借りて読んだあと、あらためて買ったのはこの本だけなのですね~。

 手元に置いて、何度も読み返したいと思うほど、有益なことが書かれているのでした。1912年、ニューヨーク市の片隅で元セールスマンのD・カーネギーが「話し方教室」を始め、そのノウハウを書きつづった本が世界的名著になって現在も多くの人たちに読み継がれているのですな。

 この本を読むと、多くの聴衆の前で、自信をもって話す才能は誰でも備わっていると感じます。ノウハウの実例集は、そんじょそこらの小説より面白い。

この著者の「道は開ける」「人を動かす」を読むと、人生観が変わりますよ。


 …ということで、ブックレビューが長くなったので、今日は1位~5位の発表ができそうにありませぬ。

 リストアップはできているのですが、まだグランプリをどちらにしようか迷っていまして…。

 そういえばまだ、芥川賞、直木賞の受賞作はひとつもランクインしていませんね。

 いよいよ次回は、グランプリ作品の発表です。

 さて皆さんは、どの作品を大賞に押しますか?

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輝く!私が、読んで面白かった小説大賞 ノミネート作品発表! 2010年度

 ご無沙汰しております。

 ここいらで、一発更新しておかないと、また延々と停滞しそう。

 …ということで、お散歩ネタを探してみたのです。ゴチャゴチャしたマイドキュメントを引っ掻き回していたら、去年の夏に書いた未発表のネタを見つけました。

 それは、「暑かったぞ!熊谷をゆく」。

 しかし、いくらなんでも、現在の酷寒の時期に、気温40度の酷暑ネタではヤバイかと…。

 寒い日には、熱々の鍋みたいなイメージもいいとは思ったのですが、こればかりは人造人間キカイダーの不完全な良心回路が働いたのでした。

 ところで、流行に鈍感なオイラが、流行の最前線を行っているテリトリーがあることを発見いたしました。

 それは、花粉症の症状。

 花粉はあまり飛んでいないらしいのですが、すでに鼻水や目のかゆみの諸症状が出ておりまする。

 さすが、血液検査で花粉症の最高賞を受賞しただけのことはあると。

 ビジベンは何か持っていると言われ続けてきましたが、重度の花粉症も持っていたのですね。

 今年の花粉飛散量はメガトン級だそうな。

 果たして、生きて春を越えられるか、すごく不安です。

 
 そんなわけで迷った末、今日はホントに久々の「私が、読んで面白かった小説大賞 2010年度ノミネート作品」の発表です。

 前回、前々回と、芥川賞と直木賞の発表の後に行っているのですが、マスコミからはまったく何の反応もありませぬ。

 毎回、自分だけが勝手に盛り上がっている小説大賞。

タイトル通り、たんに私が読んで面白かったかどうかだけで選ばれるランキングっす。

 素人だけが許される特権を最大限に活用し、今年はどの作品が選ばれるのか、自分だけが注目しております。

 さて、能書きはこのくらいにして、オイラが去年どんな本を読んだか。

 読んだ小説は、しめて53冊。

 このほかにもビジネス書や家庭医学書を結構読んでいるので、相変わらず、かなりの活字中毒ですな。

 でも、昔は月に10冊くらい小説を読んでいる時期もありましたからね。 

 最近は、まとまった時間がとれないので、電車の中や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いです。

 読みなれているからスピードは早いと思いますが、歳を経るに従って読解力が落ちているのがわかります。

 ミステリーでも、昔は犯人を当てるためにいろいろ考えながら読みましたが、最近は登場人物の名前を覚えるのがやっと…。

 最後に真犯人がわかっても、そんな人いたっけ? …とか。

 それはともかく、去年読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


1月
 ナイチンゲールの沈黙 海藤尊
 いっしん虎徹 山本兼一
 裁判員法廷 芦辺拓
 火の路 松本清張
 雷神の筒 山本兼一


2月
 花の下にて春死なむ 北森鴻
 霧の旗 松本清張
 考古学と古代史のあいだ 白石太一郎


3月
 影の地帯 松本清張
 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹
 切羽へ 井上荒野
 サクリファイス 近藤史恵
 
4月
 Dの複合 松本清張
 白鷹伝 山本兼一
 老後がこわい 香山リカ
 シャドウ 道尾秀介
 最後のディナー 島田荘司

5月
 奇跡島の不思議 二階堂黎人
 Gボーイズ冬戦争 石田衣良
 背負い富士 山本一力
 夜のピクニック 恩田陸
 光る鶴  島田荘司


6月
 白い家の殺人 歌野晶午
 新世界より 貴志祐介
 ブゥードゥーチャイルド 歌野晶午
 果断 今野敏
 鷺と雪 北村薫

7月
 隠蔽捜査 今野敏
 利休にたずねよ 山本兼一
 非正規レジスタンス 石田衣良
 鴨川ホルモー 万城目学
 心を動かす話し方 D・カーネギー


8月
 秀吉の枷 加藤廣
 身代わり 西澤保彦
 乳と卵 川上未映子
 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
 ひとり日和 青山七重
 ソリトンの悪魔 梅原克文


9月
 密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午
 完全恋愛 牧薩次
 ポトスライムの舟 津村記久子
 時がにじむ朝 ヤン・イー
 ユージニア 恩田陸

10月
 乱反射 貫井徳郎
 狼花(新宿鮫) 大沢在昌
 制服捜査 佐々木譲
 覇王の夢 津本陽
 トルストイを語る 小西増太郎


11月
 剣と薔薇の夏 戸松淳矩


12月
 おひとりさまの老後 上野千鶴子
 密室殺人ゲーム王手飛車取り 歌野晶午
 ルパンの消息 横山秀夫



 ミステリーや歴史物は毎年読んでいるのですが、純文学の芥川賞受賞作も去年は結構読んでいるのですな。

 それにしても、ずっといいペースで来て、11月はたった一冊?
 
 実は、「剣とバラの夏」という作品は、文庫本で上中下に分かれて三冊もあるのでした。

 しかも、細かい字がぎっしりで、かなり読むのに骨が折れたのですね~。

 推理作家協会長編賞受賞作ということで読み始めたのですが。

 ただ、読む努力が「私が面白かった小説大賞」にまったく反映されないところがこの賞の味噌かも。


 うぬぬ、この中からベスト5を選ぶのですか。

 ざっと眺めてみて、完全自己チューでオイラが面白かった本5冊を選ぶのはちょっと難しいかも。

 困ったニャー。

 完全自己チューですから、例によって万人に受ける作品と言うより、えっ?何これ?という作品になりそう。

 …と思ったら、今年はわりと前評判の高かった作品が選ばれそう。

 万人受けする、と言いますか。

 ランキングは、じっくり一人になって考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?

 

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よくわかる最新「病」の基本としくみ、好評発売中!! with 日本橋、池袋、新宿、五反田 お買い物ツアー

 こんにちは。

 いよいよ、オイラの書いた本が出版されましたぁぁぁぁぁぁ~!!

 タイトルは、よくわかる最新「病」の基本としくみ 病気のメカニズムを図解で学ぶ! 病気の不思議』。

Photo_2 

 本のキャッチフレーズをそのまま引用させてもらいますと…

「病気のメカニズムを豊富なイラストと表で解説した入門書。ポピュラーな疾病を身体の部位ごとにまとめ、その疾患がどのようにして罹患し、発症し、どんな症状が出るかというメカニズムと治療法をやさしく解説」…なのですね~。


 図解入門シリーズの中の一冊ですので、他のシリーズ同様、表紙には監修の先生の名前だけですが、一応、文章部分はオイラが書かせていただきました。

 実は、発売されたのが先月の中旬。

 なかなか忙しくて、プログの紹介記事を書いている時間がなく、今までずれこんでしまったのですね~。

 ホントは、今回のお買い物ツアーが書きたかっただけなのですが…。

 それはともかく、発売早々、大変好評をいただておりまして、お買い求めいただいた方たちにあらためてお礼申し上げる次第です。

 …ということで、ここのところずっとお散歩ネタでしたが、今日は番外編。

 「よくわかる最新「病」の基本としくみ。 お買い物ツアー~♪ in日本橋、池袋、新宿、五反田編」のネタで、お茶を濁そうか、と…。

 いろいろな書店をまわり、新しいコンセプトの大規模書店と昔ながらの書店をいろいろ比べてみるのも楽しかったですよ。

 今度の本は、探してみると結構、街の比較的小規模の書店でも見つけられますし。

 さて、まずオイラが向かったのは、東京・日本橋。

 とすれば、かつて? 書店として日本最大の床面積を誇ったという八重洲ブックセンターに足が向きます。

 地下一階の家庭医学書売り場へ行くと、おお、一番目立つ場所に平積みで置かれているじゃありませんか。

八重洲ブックセンター


 さっそく、一冊目、ゲットン!!!

 今日はかなり忙しく歩き回らねばなりませんから、その感動の余韻に浸っているまもなく、本をユニクロの大型バックに収めると次の目的地へ向かいます。

 日本橋といえば、最近ビルが建て直されてきれいになった丸善を忘れてはなりませぬ。

丸善


 丸善と言えば、梶井基次郎の名作「檸檬」に登場する書店としても有名でしたね。

 舞台は確か、京都の書店でしたが、店頭の積み上げられた画集の上に、時限爆弾に見立てたレモンを置いて立ち去るラストシーンが印象的でした。

 うう、平積みで置かれた「病」の基本としくみの本の上に、レモンを置いて立ち去るという魅惑的な悪魔のささやきが…。

 でも、そんなことしたら、迷惑条例に違反して捕まるかも。

 その葛藤に悩みながら売り場へ向かうと、平積みではありませんでしたぁぁぁぁぁ~

 家庭医学の売り場はそれほど広くないので、結果的に平積みのスペースも限られるのですな。

 ゆえに、レモンを置くことはできませぬ。

 軽犯罪に手を染めになくてよかったとほっとしつつ、丸善で二冊目、ゲットン!!!

 ちょっと歩くけれど、人形町まで行き、よく立ち読みさせていただいているPISMOという本屋さんにも寄ってみました。

PISMO


 こちらは売り場面積がそれほどないから、おそらくないだろうなと思ったのですが、あ~るじゃありませんか。

 …ということで、三冊目もゲットン!!!


 よし、次は池袋へ行くぞ~

 前回のお買い物ツアーでも紹介しましたが、池袋には都内屈指の書店があるんですよ。

 それは、西武南口そばのジュンク堂池袋本店。

 かなりの規模のビル全体が本の売り場になっていて、木製の温かみのある本棚とゆったりとしたフロアの雰囲気がいい味を出しています。

 二階の家庭医学書のコーナーには、当然のごとく一番目立つ場所に、本の表紙を見せる形で十冊ほど並べられていました。

ジュンク堂


 この書店は、入り口の広い空間を除けば、売り場に平積みをしない方針みたい。

 っていうか、平積みをする台自体ありませんでしたが。

 最近の書店の傾向として、ゆっくり座って本を選べるように、売り場に椅子が置いてあります。

 せっかくだから読んでいこうかと思いましたが、時間がないので本を一冊手に取ると一階のレジに。

 四冊目、ゲットン!!!

 ビル全部が売り場だから、レジを一か所に集中できるのですな。レジがたくさんあるから、それほど並ばずに本を購入できるのでした。

 駅のそばの西武百貨店の中にある書店、リブロで、五冊目をゲットン

リブロ


 そして、いよいよ書店の激戦区と呼ばれる新宿へ上陸。

 ジュンク堂新宿店は、池袋本店で買いましたからバスして、地下道を通って紀伊国屋の本店に向かいます。

 一階で在庫の検索をすると、おお、四階の医学書コーナーと六階の家庭医学書コーナーの二箇所にそれぞれ置かれているらしい。

 うぉぉぉぉぉぉぉ~、一番槍の功名を立てるまでじゃぁぁぁぁ~と四階まで階段を駆け上がったのでした。

 若い頃から、新宿の紀伊国屋書店へ行くと、無性に階段を駆け上がりたくなるオイラ。

 どちらの売り場でも、目立つように表紙を正面に向けて置かれていました。

紀伊国屋


 ここで、六冊目ゲットン!!

 いつもは渋谷へ行くのですが、渋谷にも紀伊国屋はありますし、これから行く五反田にもいくつか書店がありますので、今回はスルーさせていただこうか、と…。

 五反田の駅ビルは最近新しくなって、お洒落な書店、ブックファーストが入っておりました。

 なんとなく、女性が多いような。

 さっそくここで、七冊目をゲットンしましたが、ここへ来て疲労がピークに。

 うう、まだあと一冊ゲットンするのじゃ~。

 五反田の駅前からビジネス街をテクテク歩き、ここから近くの書店をローラー作戦で攻略してゆきます。

 駅前の書店を二つほど回ったのですが、売り切れたのか、最初からなかったのか見当たらなくて、大崎広小路の駅のそばにあるあおい書店まで足を伸ばしました。

あおい書店


 以前、何冊か買ったことのある書店でしたが、売っていましたぁぁぁぁぁ~

 こちらのレジのおばさんが、大量の本を抱えてフラフラになっていたオイラのために、本をひとつの大きなビニール袋にまとめてくれたので助かりました。

 感謝をこめて、八冊目、ゲットン!!!

 やったぁぁぁぁ~、ノルマ達成!!


 …ということで、本日の戦利品。

本日の戦利品

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私が、読んで面白かった小説大賞 グランプリ発表!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。  

 ずっと発表を引っ張り続けていたら、とうとう北京オリンピックが開幕してしまいました。

 ゆっくりテレビ観戦をするためにも、「私が、読んで面白かった小説大賞」のグランプリを発表しなければと考える今日この頃。  

 私が2007年下半期~2008年上半期の間に読んだノミネート作品は全部で50冊。

 それはこちら。  

 その中で、ベスト5のうち、3~5位は以下のように決定したのでした。

 第五位 菜の花の沖  司馬遼太郎

 第四位 信長の棺 加藤廣

 第三位 容疑者Xの献身 東野圭吾  

 さて今日は、第二位からの発表です。  

 それでは…。 第二位 天下城  佐々木譲

 

 図書館ではじめて目にした本。

 オイラの場合、「城」の名がついていると条件反射で目が行ってしまいます。

 この作品の第二位は、さすが自己チューランキングと言われても仕方ないでしょうね。

 おそらく、ほかの人が選んだらベスト5には入らないかも。

 でも佐々木譲は、「エトロフ発緊急電」や「ベルリン飛行指令」などで知られる冒険小説作家。両方とも長い作品でしたけど、重厚で壮大なテーマと細部にわたる臨場感で一気に読むことができました。

 どちらも戦時中の日本を舞台にした作品だったので、戦国時代の歴史小説はちょっと意外でした。

 城をテーマにした作品は、城ヲタクとして評価がどうしても辛くなるのです。

 が、しかし、さすが第一級のエンタテイメント作家の作品だけあって楽しく読むことができました。オイラの知っている限り、それほど話題にならなかったのは、主人公が名もない石積み職人だからでしょうか。

 でも、実際城を作るのは武士ではなく、これら名もない職人衆ですからね。視点が変わって、オイラには新鮮に映りました。そういえば、以前読んだ「火天の城」も安土城を作った大工の棟梁が主人公だったような。

「火天の城」を書いた作者も相当築城技法について勉強したそうで、その蘊蓄がまた面白かったのですが、この「天下城」も当時の石積みの技法が語られています。

 佐々木譲は「技術系の人にも読んで欲しい」と言っているくらいだから相当自信を持って書いたのだと思いました。

 主人公は武士を捨て、近江の石積職人集団として日本一だった穴太衆(あのうしゅう)に身を投じる戸波市郎太。

 武田の金山で奴隷にされたり、朝倉氏の館や堺へ行ったり、若き日の信長に出会ったり、城にまつわる場所にこう都合よく行けるのかなと読みながら思いました。

 戸波市郎太って、作者が創作した架空の人物なのですね。

 戦国大名といったスーパースターならともかく、一般庶民を主人公にする場合は、劇的な出会いを創作しなければ小説として読者を最後までつなぎとめるのは難しいのでしょう。  天下城として登場する安土城は、まさに独創の城。自分の経験から行っても変わった城にうつります。

 この城こそ再建して、信長の天才性をあらためて感じたいと思いました。

 …ということで、いよいよ一位の発表っす。  並み居る強豪を抑えて、グランプリに輝いたのは…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

ハッスル!「老健」- 介護老人保健施設のすべてがわかる本 -  ビジベン著

 

 あれっ? おかしいぞ。どっかで見たような本がいきなり出てしまい…。

 ウィルスに感染したのかしらん。

 ずっこけて、またパソコンの角に頭をぶつけた方もいらっしゃるかもしませんね。

 申し訳ございません。

 実は前回味をしめ、これがやりたくて今回も引っ張ったのでした。

 でも、この本。福祉施設の方たちからはドキュメンタリータッチでなかなか面白いともお褒めの言葉を頂戴しているのです。オイラのエピソードもいろいろ書いてありますし…。

 そんなことより、今度こそグランプリ作品を発表しないといけないのでした。

 一流作家の書いた有名な作品にオイラが優劣をつけるなんて、そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせオイラは素人だし、法律に違反するわけでもないから、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、はーい、おっぱっぴーと言っていた小島よしおみたいに一発屋で終わることを覚悟しつつ、清水の舞台から飛び降りた気分になって、ビジベンが選ぶ「私が、面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…( ← 再びドラムの音?)

 犯人に告ぐ 雫井修介氏に決定いたしましたぁぁぁぁぁぁ~

第一位 犯人に告ぐ 雫井修介

 

 今回はあまり、意外な一位ではなかったかも。

 第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位、「このミステリーがすごい!」第8位…。

 映画にもなったりして、十分読者からの支持を集めている作品ですからね。

 皆様の予想に反する結果となって、とても心苦しいのですが…。今回はちょっとまとも過ぎたのではないか、と反省しています。

 でも、単純に面白いというだけの基準なら、この一年で読んだ本の中で一番楽しめました。

 最初の30分で、一気に引き込まれましたね。これはもう、グランプリ間違いなし、と…。

 最近は、ミステリーを読んでも、ワクワク興奮する機会が激減してしまったような。

 子供の頃読んだ、ポプラ社のルパン全集。ジュール・ベルヌのSF。偕成社から出ていた子供向きの歴史小説。十代から二十代の初めにかけて読んだ横溝正史の推理小説。  読む本、読む本、みんな面白かったけれど、最近、没頭して読めるような面白いミステリーに出会えるのは、年に一冊あるかどうかでしょうか。

 耳年増というか、本年増になったのかも。

 昔は、内田康夫の浅見光彦シリーズが好きで、かなり面白く読めたのですが、最近は物足りなくなってしまいましたし…。

 そんなオイラでも、この作品は一味違うと思いました。

 連続誘拐殺人事件に際して、現職の刑事がテレビに出演して公開捜査をするという設定が秀逸。

 視聴率をとりたいテレビ局とのやりとりも臨場感たっぷり。

 犯人を追い詰めて取り逃がすシーンなど、自分のよく知っている場所が事件現場なだけに結構手に汗握るシーンの連続でした。

 前半の緊迫感に比べて、後半がややストーリーのテンポが早くなって、臨場感が薄れるという批判もあるみたいですが、全体としてはよくまとまっている。

 警察小説というと、第一人者の横山秀夫の職人のような精密な作品が目に浮かびます。

 この作品も臨場感と緊迫感あふれるシーンが満載ですが、結構ユーモアのある個所もあって好感が持てました。

 チョンボなんとか、というリアルでいたら困るような刑事も、実際にはいるのかも。

 エリートや変人の刑事、サラリーマン化した刑事などバラエティに富んだ登場人物を眺めるだけでも楽しめますよ。

   …ということで、今回はわりと無難な結果になってしまったと思われる「私が面白かった小説大賞」。

 子供時代から好きだった本格ミステリーが入らなかったのは寂しい限り。

 個人的には、本格ミステリーで、独創的なトリックと意外な犯人で驚かされたいのだけれど…。

 今回ノミネートされた中にも、本格ミステリーは少なからずありました。

 完璧なアリバイや破綻のないトリックに力点を置きすぎると面白くなくなるのがミステリー作品のつらいところ。

 トリックから作品を作ると、一般社会ではありえない設定になってしまうし。

 バランスがいいのは、古い作品ですが、島田荘司の「Yの構図」が楽しめました。  「切り裂きジャック百年の孤独」もそうでしたけど、しっかりとたトリックでありながらなおかつ読んで面白いのは簡単そうでなかなかできないですね。

 あと、三浦しをんの直木賞受賞作、「まほろ駅前多田便利軒」もなぜか記憶に残っています。

 とりたててたいしたテーマではないのですが、便利屋の実態についてよく勉強しているな、と…。

 この人は大学卒業してからすぐ作家になったらしいから、あまり実社会の経験はないんですよね。

 それでこんな社会の重箱の隅をつつくような小説を書けるのだからすごいと思いました。

 本を読むと、自分の体験できないことを味わえるわけですから、人生を何倍も楽しむことができるのかも。

 いや~、やっぱり本って楽しいもんですよね。 

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決定!私が、読んで面白かった小説大賞!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。

 暑い日が続きますね。 

 今日はいよいよ「私が、読んで面白かった小説大賞」の発表です。

 前ふりが長くなるとまた終わらなくなるので、今回はいきなり行きまっす。

 ブックレビューも書かないといけないし…。

 オイラが2007年7月から2008年6月にかけて読んだ本をもう一度書きますと、以下の通りです。
 

7月
 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 生首に聞いてみろ 法月倫太郎
 ミロクの掌 安孫子武丸

8月
 セリヌンティウスの舟 石持浅海
 カンガルー日和 村上春樹
 野ブタ。をプロデュース 白岩玄
 隠し剣孤影抄 藤沢周平
 スイス時計の謎 有栖川有栖

9月
 黒祠の島 小野不由美
 時の密室 芦辺拓
 ブルータワー 石田衣良
 信長の棺 加藤廣
 容疑者Xの献身 東野圭吾

10月
 半島を出よ(上) 村上龍
 半島を出よ(下) 村上龍


11月
 俄(にわか) (上) 司馬遼太郎
 俄(にわか) (下) 司馬遼太郎
 19歳の肖像 島田荘司
 日本殺人事件 山口雅也
 菜の花の沖 (1) 司馬遼太郎

12月
 菜の花の沖 (2) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (3) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (4) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (5) 司馬遼太郎


2008年上半期

1月
 菜の花の沖(6) 司馬遼太郎
 乱鴉の島 有栖川有栖
 顔のない敵 石持浅海
 犯人に告ぐ 雫井修介


2月
 妖怪(上) 司馬遼太郎
 妖怪(下) 司馬遼太郎
 生協の白石さん

3月
 司馬遼太郎と寺社を歩く
 風に舞い上がるビニールシート 森絵都
 殺人方程式 綾辻行人
 切り裂きジャック百年の孤独 島田荘司

4月
 スラッシャー 廃園の殺人 三津田信三
 まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん
 平将門 吉川英治
 龍臥亭幻想(上) 島田荘司

5月
 龍臥亭幻想(下) 島田荘司
 Yの構図 島田荘司
 秋汎狩り 佐伯泰英
 消えた直木賞
 吉原手引草 松井今朝子
 
6月
 山魔の如き嗤うもの  三津田信三
 天下城 (上) 佐々木譲
 天下城 (下) 佐々木譲
 贄門島 (上) 内田康夫
 贄門島 (下) 内田康夫



 このノミネート作品の中から、ベスト5が決まるのですね~

 皆さんが支持されている本が、オイラのベスト5にはあまり入っていないようなので、改めて自分が変人であるということを実感して落ち込む今日この頃。

 決して、コメントの予想からはずしてベスト5を選んだわけではありませんので念のため。

 いつも、読んだ本のノミネート作品をパソコンで打っているときに、ベスト5を先に決めてしまうのです。

 と言っても、それぞれ評判になった本ばかりでいろいろ悩みました。

しかも今回は一年分ですからさらに難しいっす。

 しかし、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。 


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)




第五位
 菜の花の沖  司馬遼太郎

 江戸時代の廻船商人で、のちに蝦夷地の開発にも尽力した高田屋嘉兵衛を主人公にした歴史小説。見なかったですが、竹中直人主演でドラマ化もされましたね。

 ホントは戦国時代や幕末に生きた武士の波乱万丈の生涯を描いた作品が好きなのですけど、波乱の生涯という点では勝るとも劣らないと思いました。子供時代の淡路島の風習なんかも面白かったです。

 江戸時代の船や航海術の薀蓄など、一級のエンタテイメントでありながら、歴史や民俗学の知識も増えると言う一粒で二度おいしい司馬作品の魅力がとくに現れている作品だと思いました。

 ただ、日本とロシアとの接触の歴史は、「余談だが…」の枠を大きく越えて、途中から小説というより延々と論文を読んでいるような気分になったかも。

 小説としての流れや完成度を度外視しても、北方領土に対する強い思いを司馬さんは伝えたかったんでしょうね。

 高田屋嘉兵衛は幕府の役人ではないし、強い権限を持っているわけではないけれど、お国のため、函館の発展のためと結果的に多くの功績を残しました。

 今の時代に、こんなグローバルな視点で企業を運営し、自分の損を承知で国のために尽くす商人は果たしているのだろうかと考えます。

 嘉兵衛が心血を注いだ高田屋はその後なくなってしまいますが、司馬作品の中で自己チューの大企業より、はるかに長く生き続けるのだろうと思いました。



第四位
 信長の棺 加藤廣

 信長や秀吉、家康にまつわる本は、星の数ほどあります。3人の新しいエピソードはもうお目にかかれないのではないか、というくらいいろんな本を読みました。

 でも、こういうちょっと変わった切り口だとついつい引き込まれてしまいますね。

「信長公記」の著者・太田牛一を主人公とした点も興味深い。

 小泉純一郎元内閣総理大臣が愛読書にもあげて話題になりましたっけ。

 この本の魅力は、本能寺の変で信長の遺体が発見されなかったというわりと有名な事実がベースになっています。

 光秀の娘婿で、これまた有名人の明智左馬助光春が数日の間現場に留まって、信長の遺体を徹底的に探し続けたけれど発見されなかったそうなんですよ。

 現代でも火災現場からは焼死体が発見されますし、確かに歴史好き、ミステリー好きのオイラでは身を乗り出すテーマ。明智光秀にとって、信長の遺体発見は最重要課題の一つだったと言うこともわかります。

 ネタバレになるから書きませんけど、本ではちゃんとミステリー的な解決がなされている。一応トリックもあるのですね。

 ただ、多少こじつけだという批判もあるようで、その点はオイラも否定はしませんけど…。

 それはともかく、オイラがすごいと思ったのは著者の加藤廣さんの年齢。

 1930年生まれですか。

 そしてこの作品によって作家デビューを飾ったときは75歳なのですね。

 歴史ミステリーは、歴史の信憑性とミステリーのプロットなどいろんな制約があって、普通の小説を書くより骨が折れるような気がします。

 オイラも努力すれば、まだまだ四半世紀以上、いろんなことで頑張れるんだと希望が湧いてきました。

 これからも頑張って作品を世に出して、多くの中高年に希望を与えてほしいと思いましたね。



第三位
 容疑者Xの献身 東野圭吾

 ご存知、ベストセラー作家東野圭吾の本格ミステリ大賞と第134回直木賞受賞作。

 何度も候補となりながら涙を呑んできた作家ですが、世情評価の高い「白夜行」でも「秘密」でもなく、この作品で受賞というのは、読んでみてなるほどと思いました。

 宮部みゆきも「火車」「模倣犯」といった代表作ではなく、従来とは少し文体・作風を変えた「理由」で受賞しましたからね。本人も書き出しは、松本清張の「真似っこ」だとどっかでコメントしていたような。

 また浅田次郎も「蒼穹の昴」ではなく、受賞作が「鉄道員」というのも、その延長線上にあるのかもしれませぬ。

 この作品は、福山雅治がドラマで演じた天才物理学者、湯川が登場しますが、なんといってもタイトルにもある「容疑者X」の存在感がすごい。

 まさに、「容疑者X」の献身。

 他人に対して、ここまで奉仕する人間がいるのかなぁという余韻のインパクトは独特でした。

 容疑者Xの心情の変化をあえて書かず、読者にゆだねる形にした点が成功したのでしょう。

 その余韻が、直木賞の選考委員にとってこの作品を選ばせたのではと感じます。

 東野圭吾のこの作品、宮部みゆきの「理由」、浅田次郎の「鉄道員」などの受賞作の共通点がこの辺りにあるような。

 作者による感動の押し付けが感じられにくい作品といいますか。

 直木賞選考委員も同業の作家。

 作家の技法によって感動させられてしまうと、作家の掌に乗せられたという抵抗感が起きるのではないか、と穿った見方もしてみたくなります。

 それはともかく、こういう面白い読後感の作品は滅多にないと思いますので、お勧めです。
 ブックレビューが長くなったので、1位と2位の発表ができそうにありませぬ。

 ベスト3なら恰好がつくのですけどね。

 決して引っ張るつもりはないのですが、ベスト2の発表は次回ということで…。

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輝く!私が、読んで面白かった小説大賞 ノミネート作品発表!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。

 ホント、暑いっすね。

 ところで先日、押入れをひっくり返して、70年代の地層から五分袖のトレーナーの発掘に成功したって書きました。

 同時にとんでもない遺物が出てきたんですよ。

 それは、オイラの高校時代の学生証。

Ts363597

 モノクロ写真が時代を感じさせます。

 当時は体重50キロちょっとでしたから、かなり頬がこけているような。 

 それはともかく、学生証って普通、卒業証書と引き換えに学校に返却するんですよね。

 もしかして、オイラは高校を卒業していなかったのではと不安になり、卒業証書を探してしまいました。

 おかげさまで高校を卒業していたのは間違いなかったですけど…。

 返却し忘れたオイラに瑕疵があるのはもちろんですが、当時の高校の先生もゆるい人が多かったのを思い出しました。

 修学旅行の引率はだるいから中止しようとか、担任の先生が言ってたのを覚えています。

 学生が修学旅行に行きたいと言い張って、アンケートをすることになったのです。

 結局希望者多数で修学旅行へ行ったのですが、先生方はみんなしぶしぶついて行くという感じでしたね。

 そのゆるい教育が、現在のオイラのルーツになっているのかも。

 やっぱり、教育は大事ですな。

 さて、今日は毎年恒例となりました、私が、読んで面白かった小説大賞 2008年上半期の発表です。

 いつも芥川賞と直木賞の発表の後に行っているのですが、マスコミからはまったく何の反応もありませぬ。

 毎回、自分だけが勝手に盛り上がっている小説大賞。ちなみに昨年度(2007年下半期)のベスト5は以下の作品でした。


第五位
 アキハバラ@DEEP 石田衣良
 扉は閉ざされたまま 石持浅海

第四位
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司

第三位
 花まんま 朱川湊人

第二位
 新史太閤記 司馬遼太郎

第一位
 電車男 中野独人



 前回は、国民的大作家や直木賞受賞のベストセラー作家の作品を差し置き、「電車男」がグランプリに輝いたのでした。
 
 上記を見ていただくとお分かりの通り、たんに私が読んで面白かったかどうかだけで選ばれるランキング。

 素人だけが許される特権を最大限に生かして、今年はどの作品が選ばれるのか、自分だけが注目しております。

 さて、能書きはこのくらいにして、本日は「ビジベンは、こんな本を読んできた。2008年上半期 輝く!私が読んで面白かった小説大賞」ノミネート作品発表。

 上半期があるなら、当然、下半期もあるはずですが、それはまた、いずれ。

 まずは、オイラが今年の1~6月までに読んだ本。

 読んだ小説は、以下のとおり、しめて25冊。

 ちなみに、去年は、29冊。おととしは22冊。その前は34冊でした。

 去年より忙しかったのかな、と考えたのですが、ひとつの作品を上下2冊にカウントしている分が4作品もありますからね。

 冊数で仕事の繁忙を決めるのは難しいのでした。

 このほかにもビジネス書や家庭医学書を結構読んでいるので、相変わらず、かなりの活字中毒ですな。

 でも、昔は月に10冊くらい小説を読んでいる時期もありましたからね。 

 最近は、まとまった時間がとれないので、電車の中や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いです。

 読みなれているからスピードは早いと思いますが、歳を経るに従って読解力が落ちているのがわかります。

 ミステリーでも、昔は犯人を当てるためにいろいろ考えながら読みましたが、最近は登場人物の名前を覚えるのがやっと…。

 最後に真犯人がわかっても、そんな人いたっけ? …とか。

 それはともかく、今年の上半期に読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


2008年上半期

1月
 菜の花の沖(6) 司馬遼太郎
 乱鴉の島 有栖川有栖
 顔のない敵 石持浅海
 犯人に告ぐ 雫井修介


2月
 妖怪(上) 司馬遼太郎
 妖怪(下) 司馬遼太郎
 生協の白石さん

3月
 司馬遼太郎と寺社を歩く
 風に舞い上がるビニールシート 森絵都
 殺人方程式 綾辻行人
 切り裂きジャック百年の孤独 島田荘司

4月
 スラッシャー 廃園の殺人 三津田信三
 まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん
 平将門 吉川英治
 龍臥亭幻想(上) 島田荘司

5月
 龍臥亭幻想(下) 島田荘司
 Yの構図 島田荘司
 秋汎狩り 佐伯泰英
 消えた直木賞
 吉原手引草 松井今朝子
 
6月
 山魔の如き嗤うもの  三津田信三
 天下城 (上) 佐々木譲
 天下城 (下) 佐々木譲
 贄門島 (上) 内田康夫
 贄門島 (下) 内田康夫



 うぬぬ、この中からベスト5を選ぶのですか。

 ざっと眺めてみて、完全自己チューでオイラが面白かった本を5冊選ぶのはちょっと難しいかも。

 文句なしに第一位に輝く作品はあるのですけどね。あと、他の人はいざ知らず、オイラが読んで面白いというヲタク的なジャンルの本が一作品。

 それだけ書くとどの作品かわかってしまいそうですが…。

 ほかは文学的な価値はあっても、たんに面白かった本という基準では推しにくいかも。

 やっぱり、オイラが読んで面白かった小説大賞の価値を維持できる作品のレベルを維持する必要はある。

 …なんて、直木賞を「該当なし」と決めるような選考委員の気分を味わってみたいのでした。

 困ったニャー。

 …と思ったら、去年の下半期の面白かった小説大賞の発表をし忘れていたのでした。

 ちょうど良かったと、今回は去年の下半期と今年の上半期、トータル1年分から大賞作品を選ぶことにしたのでした。

 うう、すごいハイレベルな戦いになりそうじゃ。

 でも、完全自己チューですから、例によって万人に受ける作品と言うより、えっ?何これ?という作品になりそうですが…。

 去年のグランプリは「電車男」だし…。

 それはともかく、去年の下半期にオイラが読んだ作品は以下の通りっす。


2007年下半期

7月
 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 生首に聞いてみろ 法月倫太郎
 ミロクの掌 安孫子武丸

8月
 セリヌンティウスの舟 石持浅海
 カンガルー日和 村上春樹
 野ブタ。をプロデュース 白岩玄
 隠し剣孤影抄 藤沢周平
 スイス時計の謎 有栖川有栖

9月
 黒祠の島 小野不由美
 時の密室 芦辺拓
 ブルータワー 石田衣良
 信長の棺 加藤廣
 容疑者Xの献身 東野圭吾

10月
 半島を出よ(上) 村上龍
 半島を出よ(下) 村上龍


11月
 俄(にわか) (上) 司馬遼太郎
 俄(にわか) (下) 司馬遼太郎
 19歳の肖像 島田荘司
 日本殺人事件 山口雅也
 菜の花の沖 (1) 司馬遼太郎

12月
 菜の花の沖 (2) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (3) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (4) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (5) 司馬遼太郎



 去年の下半期は、25冊ですか。

 相変わらず、司馬遼太郎の本が多いですな。

 例年通り、歴史物、おもに司馬遼太郎の作品とミステリーを交互に読み、箸休めとしてジャンルを問わずベストセラーや話題になった作品を濫読する傾向にあるみたい。

 「菜の花の沖」を読んでしまったので、残る大作は、「翔ぶが如く」くらいになってしまったのは寂しい限りです。

 オイラの人生に大きな影響を与えた大作家ですからね。とくに「項羽と劉邦」「坂の上の雲」には、生きるヒントが凝縮して含まれているような気がしました。

 成功して栄華を極めてから、生き方を誤って新聞紙上を賑わしている有名人が多々いますけど、その転落の理由が司馬作品の中の登場人物にすべて入っているような。

 歴史は繰り返すといいますか、人間の本質だけは発展しないのだなとつくづく思います。


 それはともかく、この50冊の中から、ベスト5を選ぶんすか。

 ベストセラーや評判になった本ばかりの珠玉の50冊。

 自分で言っておきながら、難しいっすよ。

 じっくり一人になって考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?

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発表! 私が、去年読んで面白かった小説大賞 2007年上半期

 こんばんは。

 今日はいよいよ、「輝く!私が、去年読んで面白かった小説大賞」のネタです。

 去年も年初に同じネタをやったのですが、ずっと引っ張り続け、結局発表が一月の下旬にずれ込んでしまったのでした。

 発表したときは、今更、という空気が流れていたような気が…。

 今年は、そんな愚を犯してはなりませぬ。

 人は経験によって成長しないといけませんからね。

 …ということで、今日はベスト5から一気に大賞受賞作までの発表をいたしまする。

 ちなみにオイラが今年の上半期に読んだ候補作をもう一度あげますと、以下のとおりです。


1月

 学生街の殺人 東野圭吾
 司馬遼太郎が考えたこと 1 司馬遼太郎
 逃げ水 (上) 子母沢寛
 逃げ水 (下) 子母沢寛 
 城の作り方辞典 三浦正年

2月

 壁・旅芝居殺人事件 皆川博子
 司馬遼太郎が考えたこと 2 司馬遼太郎
 沈黙の教室 折原一

3月

 秘剣・雪割り 佐伯泰英
 ホック氏の異郷の冒険 加納一朗
 覇王の家 (上) 司馬遼太郎
 覇王の家 (下) 司馬遼太郎

4月

 陰魔羅鬼の瑕 (上) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (中) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (下) 京極夏彦
 花まんま 朱川湊人
 新史太閤記 (上) 司馬遼太郎

5月

 新史太閤記 (下) 司馬遼太郎
 灰色のピーターパン 石田衣良
 司馬遼太郎が考えたこと 3 司馬遼太郎
 顔 松本清張

6月

 電車男 中野独人
 県庁の星 桂望美
 新宿鮫 灰夜 大沢在昌
 TUGUMI 吉本ばなな
 今夜宇宙の片隅で 三谷幸喜
 司馬遼太郎が考えたこと 4 司馬遼太郎
 司馬遼太郎と城を歩く
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司



 この中から、今年の上半期読んだ中で一番面白かった一冊を選ぶのですか。

 毎年思うのですが、それぞれ評判になった本ばかりですから難しいっす。

 しかし、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞2007 上半期」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。

 毎年、ブックレビューを長々と書いているのですが、年間ベスト5もあるし、今回はさらっと書きたいと思います。


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

 
 ちなみに第五位は二作入りました。

第五位
 アキハバラ@DEEP 石田衣良


 石田衣良の作品は、池袋ウエストゲートパークシリーズを始めとして、読みやすくて好きなのですが、この作品も期待にたがわぬ面白さでした。ヲタクたちがオリジナル商品を開発してベンチャー企業を立ち上げ、それを乗っ取ろうとするどこかで見たような巨大企業の創業者とバトルを繰り広げるありがちなお話。

 でも、ヲタクの人物描写のディティールを見事に書き分ける筆力は相変わらず魅力がありますね。


 扉は閉ざされたまま 石持浅海

 「このミステリーがすごい」の2位に入ったということで読んだ作品。ランキングに注目していると、こんな興味深い作品と出会えるのですね。いわゆる「刑事コロンボ」みたいな犯人がわかっている倒叙推理小説。犯人が頭を絞って作り上げた完全犯罪を一見普通の若い女性が論理的に追い詰めてゆく頭脳戦が楽しめます。

 この本を契機に、この作者の作品を続けて2冊読みましたが、この作品が一番傑作みたい。


第四位

 上高地の切り裂きジャック 島田荘司


 島田荘司といえば、「占星術殺人事件」以来、独創的なトリックと奇想天外な場面設定で知られる本格推理作家ですね。ただ、あまりにそれらを追い続けるあまり、トリックがご都合主義的だなんて、批評家から言われたりする。でも、オイラはエンタテイメントとして、これほど面白い一応本格推理を書く作家は知りませぬ。よくこんな奇抜なトリックを思いつくなと、いつも思ってしまいます。

 この本は中篇集なので表題作のほか、中編2作があるのですが、とくに「山手の幽霊」はあまりにも奇抜なトリックとシチュエーションに驚きます。でもなぜか、納得させられてしまうところはさすが。


第三位

 花まんま 朱川湊人


 この本も、直木賞受賞作品ということで読んだ作品。短編集なのですが、昭和の時代の子供の目を通して、不思議な出来事が淡々と語られていくのはどの作品も共通していますね。高橋克彦や誰だか忘れましたが、子供時代の事件をノスタルジックに描写した直木賞受賞作がほかにもありましたね。

 ホラーをベースにした高橋克彦の作品のほうがインパクトはありましたが、やはり「昭和」「子供」「ノスタルジー」というアイテムは直木賞の選考委員には受けがいいのか、と…。
 でも、一作ならともかく、これだけレベルの高い作品を揃えられるのはかなりの技量だとお見受けしました。



第二位

 新史太閤記 司馬遼太郎


 司馬遼太郎のファンなのに、今までこんなメジャーな作品を読んでいなかったのは、今更「太閤記」なんて、と思っていたからかもしれませぬ。オイラが太閤記を最初に読んだのは、確か小学校4年生。柴田錬三郎が子供向きに書いた「豊臣秀吉」でした。これまで、どんだけ~豊臣秀吉について書かれた小説を読んだかわからないぐらい。

 でも、さすがは司馬遼太郎ですね。これだけアカデミックで論理的に秀吉をとらえた小説はありませぬ。
 まず尾張人と三河人の気質の違い。どうして尾張人が商人的な性格を持ちえたかという点をじっくりと説明してくれます。そこから秀吉は、いかに商人的な感覚で天下取りをして行ったかという過程が論理的に展開されるのですね。説得力あるし、なるへそ~と目からウロコをボトボト落としながら読みましたね。

 それに対して、三河人は極端な農民型の発想っすか。司馬遼太郎の秀吉ひいき、家康嫌いはよく知っているのですが、オイラのDNAはどっぷり三河人。
 ごもっとも、と言いつつも複雑な心境になる今日この頃でした。



 そして、並み居る強豪を抑えて、グランプリに輝いたのは…


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)















 世界一やさしい脳卒中にならないための本 ビジベン

97847797008351

 あれっ? おかしいぞ。どっかで見たような画像がいきなり出てしまい…。

 パソコンが壊れたのかしらん。


 ずっこけて、パソコンの角に頭をぶつけた方もいらっしゃるかもしませんね。

 申し訳ございません。

 個人的な趣味で、一度やってみたかっただけです。

 新年早々、悪い冗談につきあわせてしまいました。

 それでは、今度こそ。

 一流作家の書いた有名な作品にオイラが優劣をつけるなんて、そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせオイラは素人だし、法律に違反するわけでもないから、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、はーい、おっぱっぴーという不遜な気持ちと清水の舞台から飛び降りた気分になって、ビジベンが選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞2007年 上半期」は…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← 再びドラムの音?)

「電車男」 中野独人さんに決定いたしましたぁぁぁぁぁぁぁぁ~


えええ~? 電車男が1位?

 また、大穴狙いっすか?と言われそう。

 確かに仰るとおりですが、でも個人的に去年の上半期に読んだ本の中では一番面白かったです。

 図書館でベストセラーになった本ということで、特別なコーナーができていたんですよ。一応、売れた本には目を通すことにしているので、多少抵抗はあったのですが借りて読んでみることにしました。

 そしたら読み始めて、5分ではまってしまいましたね。

 ご存知のように、2ちゃんねるの書き込みからの引用という形態。一般的に小説は作者の頭の中から生まれるフィクションの世界なのですが、どうしても作者の意図がところどころ垣間見えてしまう。

 もちろん編集の段階で手が入っているのでしょうけど、いろんな人が勝手に書き込んでいながら、見事にひとつのラブストーリーとなっているところに驚きました。

 しかも、実際の小説より臨場感たっぷり。作者の意図みたいな部分がないからでしょうか。

 キターとか、戦場の場面と勘違いしているような独特の書き込みも、新鮮で面白い。世の中、殺伐としているシーンが多いけれど、人の幸せを心の底から喜んで祝福できる人がこんなに多いのか、ということがわかっただけでもジーンときてしまいますた。

 「2ch文学の誕生」なんて誰か書いていたのを思い出しますが、まったく新しい表現形態が生まれたことが画期的なのかも。

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輝く!私が今年読んで面白かった小説大賞、ノミネート作品発表! 2007年上半期

 こんにちは。

 さて、気がついてみると、もう年末。

 今年もあとわずかですね。

 ぐるっとパスで、調子こいて秋から冬にかけ都内をぐるぐるまわっていたら、年末に仕事がたまってしまいました。

 昨日から、のども痛いし…。

 夏場、遊びほうけて冬になって青くなる、キリギリスの気持ちが実感できる今日この頃。

 今日から大晦日まで、お正月も若干仕事をしなければなりませぬ。

 もっとも以前、銀行に勤めていた頃は、初詣の人たちにまじって帰宅するなんてこともありましたから、あまり苦にはなりませんが…。


 それはともかく、最近、ホントに月日の経つのが早いと実感しています。

 つい最近まで、自分が若い若いと思っていたのですが、お馬鹿なことをしたら月に変わってお仕置きされる年代になってしまいました。

 外見の変化に精神年齢が追いつきませぬ。

 だらだら日を送っていて、気がついたら棺桶に片足を突っ込んでいた、では目も当てられませんからね。

 そこで、6年前から手帳にその日にあった出来事を簡単に書くことにしたのです。

 昨日より今日は成長していたい、と誰でも思うものですが、そうは問屋が卸しませぬ。

 だから、1年前よりは少なくとも、成長していたいものだ、と…。


 オイラの手帳利用法の唯一のオリジナルといえば、読書目録みたいなものを書いていることでしょうか。

 手帳に日記を書き始めたと同時に続けているのですが、これがなかなかいいです。

 子供の頃から本を読むのが好きだったので、生まれてからどれほど本を読んだかわからない。

 数年前、一度読んだ本を買ってしまったことがあって、これはいかんと本の名前を手帳に控えることにしたのですよ。

 せっかくだから、読んで面白かったかどうか、五つ星で評価することにしたんです。

 これも文学賞の選考委員になったような気分になって楽しめる。

 本は面白いんだけど、作家の性格が嫌いだから三ツ星だな、みたいな。


 …ということで、今日は、毎年恒例となりましたオイラが今年読んだ本の中で、面白いと思った小説ネタで行こうか、と…。


 題して、「私が面白かった小説大賞 2007」。


 小島よしおも流行語大賞を受賞しましたが、オイラはそんなの関係ねぇ~くて、単に個人的な趣味の面白かったかどうかだけで選んでいますので念のため。

 ちなみに去年のベスト5は以下の作品でした。


 ● 終戦のローレライ 福井晴敏

 ● 深重の海  津本陽

 ● 鳥類学者のファンタジア  奥泉光

 ● 四日間の奇蹟  浅倉卓弥

 ● 対岸の彼女  角田光代



 能書きはこのくらいにして、本日は「ビジベンは、こんな本を読んできた。2007年上半期 輝く私が読んで面白かった小説大賞 ノミネート作品発表」です。

 上半期があるなら、当然、下半期もあります。それはまた、いずれ。


 まずは、オイラが今年の1~6月までに読んだ本。

 読んだ小説は、以下のとおり、しめて29冊。

 ちなみに、去年は、22冊。おととしは34冊でした。

 去年よりは暇だったけれど、おととしよりは忙しかったのかな、といろいろ考えたのですが、その理由はわかりませぬ。

 もっとも、真田太平記や終戦のローレライのような文庫本のシリーズを読むと、どうしても多くなるのですが…。

 このほかにもビジネス書を結構読んでいるので、かなりの活字中毒かも。 

 まとまった時間がとれないので、電車や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いですね。

 それと、読みなれているからスピードも早いような気がします。

 図書館で借りた本がほとんどですが、なぜか日本人作家の本が多いのが特徴。

 前にも書いたことがありますが、最近、外人の登場人物の名前が覚えられなくて…。

 外人のプロレスラーの名前は、すぐ覚えられるのですが…。

 それはともかく、今年の上半期に読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


1月

 学生街の殺人 東野圭吾
 司馬遼太郎が考えたこと 1 司馬遼太郎
 逃げ水 (上) 子母沢寛
 逃げ水 (下) 子母沢寛 
 城の作り方辞典 三浦正年

2月

 壁・旅芝居殺人事件 皆川博子
 司馬遼太郎が考えたこと 2 司馬遼太郎
 沈黙の教室 折原一

3月

 秘剣・雪割り 佐伯泰英
 ホック氏の異郷の冒険 加納一朗
 覇王の家 (上) 司馬遼太郎
 覇王の家 (下) 司馬遼太郎

4月

 陰魔羅鬼の瑕 (上) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (中) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (下) 京極夏彦
 花まんま 朱川湊人
 新史太閤記 (上) 司馬遼太郎

5月

 新史太閤記 (下) 司馬遼太郎
 灰色のピーターパン 石田衣良
 司馬遼太郎が考えたこと 3 司馬遼太郎
 顔 松本清張

6月

 電車男 中野独人
 県庁の星 桂望美
 新宿鮫 灰夜 大沢在昌
 TUGUMI 吉本ばなな
 今夜宇宙の片隅で 三谷幸喜
 司馬遼太郎が考えたこと 4 司馬遼太郎
 司馬遼太郎と城を歩く
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司



 こうしてあらためて見ると、相変わらず濫読かも。

 どちらかというと、歴史物とミステリーが好きなので、そのふたつのジャンルを中心に読み、箸休めとしてジャンルを問わずベストセラー作品を濫読する傾向にあるみたい。

 今年は、小説とは言えないと思いますが、城についての本も読めたのはなんだか得した気分ですね。


 それにしても、司馬遼太郎の本がやっぱし多い。

 小学生時代から毎年、必ず司馬遼太郎の本を読んでいるのに、まだ完読できないのですから、その著作量は膨大なのですね。

 以前にも書いたと思いますが、司馬史観という独特のアカデミックな内容はもちろん、オイラが惹かれるのはその文体。

 初期の頃は、他の多くの歴史小説のように読みづらい部分もあったのですが、脂が乗っている時期に書かれたものは、どれも記述が平易ですね。

 センテンスが短く、余計な文章の装飾がない。

 反面、司馬遼太郎の小説を読んでいると、関が原で大軍が戦塵をまじえる大迫力のシーンがリアルにイメージできる。

 行間で、ビジュアルを表現できる稀有な作家だと思いました。

 それから、「ここで余談だが…」という書き出しから始まるアカデミックな記述。

 オイラの知り合いの社長さんたちで司馬遼太郎のファンは多いのですが、中でも「余談」が面白いという意見をよく聞きます。

 むしろ、余談が面白いから読むという人もいました。小説というエンタテイメントの面白さとともに、余談でアカデミックな知識も仕入れることができる。

 一粒で二度おいしいのも、大きな魅力ですね。

 でも、最近は主だった作品は皆読んでしまったので、老後の楽しみが損なわれたのではないかと考える今日この頃です。


 その視点でいろいろな小説を読むと、現在のベストセラー作家の佐伯泰英の本はエンタテイメントの占める比率が高い。

 新聞や雑誌の書評を読むと、仕事に疲れたサラリーマンのおとうさんが、読書中は仕事を忘れられるという癒し効果を追い求めて買っているのだと書かれていました。

 確かに、オイラも銀行員時代、電車の中で頭をクールダウンしたいという意味で、内田康夫のミステリーをよく読みました。

 忙しくてなかなか遊びに行けないから、本の中で旅行ができて、なおかつミステリーの楽しさを味わえる、みたいな。

 これもまた、一粒で二度おいしい魅力でしょうか。 


 それはともかく、この中から、ベスト5を選ぶんすか。

 自分で言っておきながら、難しいっすよ。

 今日一晩、考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?


 最後になりましたが、今年はいろいろお世話になり、ありがとうございました。来年もまたよろしくお願い申し上げます。

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自分が、去年読んで面白かった小説 グランプリ作品発表!

  こんにちは。

 今日は長くなりそうなので、前ふりなしで行きまっす。

 さて、さんざん引っ張った読書ネタ。

 とうとう今日、大賞を発表して決着がつきまする。

 ところでおととしは、ベスト10だけ選んで、大賞受賞作は選べなかったんですよ。

 昨日発表された直木賞みたいに、該当作なしというのではなく、どんぐりの背比べで選べなかったというか。

 今年は、ベストワン作品を自分の頭の中の満場一致で決定することができました~♪

 それは、最後に発表いたします。

 その前に、前回書けなかったベスト5作品のブックレビューから。

● 終戦のローレライ  福井晴敏著

 昨年ベスト10入りした「亡国のイージス」に続き、今年もベスト5入りです。長大な小説なのに、長さを感じない。

 こちらのほうが好きだという人もまわりに多かったような気がします。

 前作同様、次から次へとトラブルが発生し、それを一つひとつ乗り越えながら、若き主人公が成長してゆく過程がまた共感を呼ぶのかも。

 時代はタイトル通り、第二次世界大戦の終結間際。ドイツの降伏後,秘密兵器ローレライを搭載して,潜水艦が日本まで回航されてくる。

 その秘密兵器の「ローレライ」とは何なのか、が前半の大きな山場。突拍子もないものなのですが、その背景や経緯がしっかり書き込まれているので、リアル感が損なわれることはありませぬ。
 
 ある雑誌で作者へのインタビューを見たのですが、最初から映画化を想定して書かれたものだとか。

 テーマを潜水艦モノということで依頼したのは映画監督だそうですね~。

 潜水艦なら、セットもそれほどお金がかからないですから。

 そんなセコイ舞台裏があったとは思えないほど、この物語は雄大でプロットや伏線も複雑に富んでいて、ストーリテラーとしての作者の才能が感じられます。

 それにしても、当時の潜水艦での生活は大変だったのでしょうね。狭いし、息苦しいし、臭いもきつそう。

 読んでいて息苦しさを覚えてくるくらいだから、このリアル感は半端ではない。

 誰でも、戦争末期の潜水艦での生活を経験できる。

 本を読むだけで、普通ではとても味わえない経験ができるなんて、いゃ~読書ってホントにいいもんですね~。


● 四日間の奇蹟  浅倉卓弥著

 この本を図書館で手に取ったとき、まったく期待していなかったんですよ。ほかに借りたい本が全部借りられていて、仕方なくこれを選んだのでした。

 ところがどっこい、読み始めて数分で、あれれ、これは面白いじゃんと、オイラの借りたかった本を借りていった人に感謝したぐらい。

 あらすじをそのまま引用すると、脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。

 ちなみに、第1回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だそうですね。

 宣伝文には、審査員から「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化、とありました。

 装飾された宣伝文には、一応興味を惹かれますが、それを真に受けて喜んで読むほど若くはない。

 今まで何度も期待を裏切られた悲しい過去があるからです。

 しかし、この作品に限っては、なるほど~確かにおっしゃる通りと納得できました。

 最初の数ページを読んだだけで、この人、文章がうまいなとまず驚き。そして、出だしのインパクトと思わせぶりな伏線の張り方に次を読みたいという興味をそそられる。

 新人というより、どこぞの文学賞の審査員の作家先生よりもうまいと思われる文章力。

 ただ、ミステリーではないし、プロットも、実はどこかで読んだような印象をうける。

 この作者のその後の作品の評価もあまり聞かないし…。

 それでも、オイラはこの作品の中に他の作家の作品とは比べ物にならない魅力を発見しました。

 それは、「 」の中。

 登場人物の台詞回しのうまさですね~。

 とくに、主人公の相手役?を演じる岩村真理子の台詞がとてつもなく長いんですよ。

 もう、一人でしゃべりまくるというか。

 それでも、この人物の魅力が伝わってくる。

 読んでいて、となりでペラペラしゃべっているような臨場感を味わえます。

 ファンタジーのシーンとかもあって、読後感は最高でした。

 まだ読んでいない人は読んで損はないと思いますよ。


● 対岸の彼女  角田光代著
 
 こちらの作品はブログでの中でも取り上げましたね。
オイラが気に入った箇所は、普通の文学的な部分ではなく、ビジネスの現場の臨場感でした。
 
 とくに、女性社長の率いる旅行代理店が、新規事業としてハウスクリーニングを手がけるリアル感にはびっくりしたな~もう。

 スモールビジネスの現場にいるオイラからしても、全然違和感がない。

 ハウスクリーニングの研修風景、新規事業立ち上げの問題点、チラシのポスティングの反応率。

 現実に、企業が経験のない分野で新規事業を立ち上げたら、こういうシュミレーションで事が進むだろうと思うのです。

 たとえば最初は、知り合いが顧客になってくれるのだけれど、注文は3件でストップ。そこから、まったく仕事のない長~い空白期間。

 チラシをポスティングしても、まったく効果なし。

 それでもコツコツ宣伝していると、あきらめかけた頃に、電話で見積り依頼が入る。

 しかし相見積りで、すぐには決まらない。

 最初の仕事が決まったとき、感動して涙を流す主人公にジーンときました。

 だけど、そのまま事業が軌道に乗るわけではなく、過酷な試練が待ち受けて…。

 もちろん、作者が現場の人たちに密着して取材したからだと思いますが、作家自身にバックグラウンドがなければ、ここまでリアルに書けないかも。

 その意味では突っ込みを入れられない作品でした。

 世間的には、30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵という二人の主人公がビジネスの現場では社長と社員と立場は逆転する。

 でも、屈託なく明るい葵社長の性格と生き方に共感できましたね。
 

● 深重の海  津本陽著

 一転、こちらはこれぞ直木賞~という心にずんと響く極太の長編大作。

 こちらも宣伝の文章を引用されていただくと…

 明治11年12月24日夕刻、熊野灘の沖に現われた1頭の巨大な鯨に、300人もの男たちが銛を手に、小舟を操って立ち向かっていった。これが“背美流れ”と云われた大遭難の発端であり、慶長以来400年もつづいた古式捕鯨の組織“鯨方”壊滅の始まりでもあった。

 文明開化という時代のさ中で滅びていった人びとの絶叫と、燦爛たる愛とをドラマチックに描いた感動の長編。

 すごいっす。男の世界っす。

 軽く生きている人たちを描いた小説の後に、命をかけて巨大な鯨に挑んでゆく男たちの姿を読むと、どちらが幸せなのだろうかと考えてしまいます。

 いわゆる大きな目標に向かって、村の人たち全員が一丸となって助け合いながら生きているという感じ。

 昭和の時代も、もう少し豊かになりたいというひとつの目標に向かって、多くの人たちは生き生きと生きていたような。

 この本の中で、鯨を捕まえるのが多くの人たちの分業に支えられているということを知りました。

 一頭捕まえるだけでひとつの村が潤うという男たちの使命感というか。

 太く短い人生でも、目標が明確で迷いのない人生を送ることの素晴らしさを感じさせてくれる一冊でした。


● 鳥類学者のファンタジア  奥泉光著

 いわゆるタイムトラベルものですが、同時に場所も移動してしまうという力技がすごい。

 しかも、タイムトラベルを司っているのは猫ちゃんとは。

 普通なら、荒唐無稽なストーリーになっているのでしょうが、この作品を魅力あるものにしているのは、主人公の三十路のジャズ・ピアニスト、フォギーこと池永希梨子の存在かも。

 彼女は、国分寺のライブの夜に不思議な女性に遭遇する。幽霊のように思えた彼女は「ピュタゴラスの天体」「オルフェウスの音階」という謎の言葉を残して霧の中に姿を消す。

 自分とよく似た容貌とピアノ弾きの手を持つその女性は大戦中にベルリンで亡くなったという祖母の曾根崎霧子ではないのか。

 フォギーは後輩の佐和子と祖母のことを調べ出す。ベルリン留学中の霧子の周りにはナチスの影が差していた。父の三回忌で訪れた山形の実家の倉で祖母が父に贈ったオルゴールを発見したフォギーは時空を跳んで、戦時下のベルリンへ行く羽目になる。

 ストーリーを追ってゆくと、フォギーの身にはとんでもないことが起こったことになりますよね。

 同じタイムトラベルものの戦国自衛隊だったら、元の世界に戻ろうと焦燥し、絶望感すら漂っていました。

 ところが彼女はあわてない。

 いずれ戻れるだろうと、流れに身をゆだね、あまり深く考えずに新しい生活を送る。

 本の中では、目が離れていていつもボーッとしている顔をした性格に描かれています。そこがまたほのぼのとしていてとてもいい。

 なんとなく、平原綾香をイメージしてしまいました。

 音楽家という共通点もありますし。

 戦時下のドイツとタイムトラベルという設定なのに、この作品はゆったりゆっくりのんびりとストーリーが進む。

 それでも飽きないのは、フォギーの自虐的で客観的な一人称の描き方かも。

 作品全体を通じて、ジャズをはじめとする音楽の薀蓄で満たされているのも、センスのよさを感じさせます。

 音楽のことがわからなくても、楽しめるところがまたいいですね。

 お急がしの現代人にとって、何が起こっても、自分を客観的にほのぼのと眺められるフォギーの生き方は参考になると思いました。

 また傍から見ても、魅力的ですよ。


 …ということで、以上ベスト5のご紹介が終わりました。

 この中から、グランプリの一冊を選ぶのですか。

 そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせ素人だし、法律に違反するわけでもないから、いっちょやってやろうかなどと不遜な気持ちになる今日この頃。

 それでは、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが選ぶ「私が今年読んで面白かった小説大賞2006」は…

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

 
 浅倉卓弥さんの四日間の奇蹟に決定いたしました~♪

 グランプリを取っても何も出ませんし、かえって評価が下がったどうしてくれると言われても責任を負いかねますので念のため。

 理由ですか。

 やっぱし、読む前と読んだあとのいい意味でのギャップが大きかったです、この作品は。

 オイラ的には、医療に対するディティールがしっかり書き込まれていたのもポイントが高かったですね。

 プロットやネタが、既存の有名作家の作品に似ているという批判も多々あるみたいですが、登場人物の台詞回しのうまさと魅力は、日本の作家の中でも最高水準だと思いました。

 あとで聞いたら、執筆に一年以上を費やしたらしい。

 実際の執筆の倍の時間を推敲作業に費やしたとか。

 当時、素人だからできたのでしょうね。職業作家になると、ひとつの作品に7ヶ月間もかかりきりで推敲などできないでしょうから。

 作家が骨身を削った完成度の高い作品を、ポップコーンをつまみながら寝転がって堪能できるのが読書のいいところ。

 いや~、読書って、ホントに楽しいもんですね~。

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