よくわかる最新「病」の基本としくみ、好評発売中!! with 日本橋、池袋、新宿、五反田 お買い物ツアー

 こんにちは。

 いよいよ、オイラの書いた本が出版されましたぁぁぁぁぁぁ~!!

 タイトルは、よくわかる最新「病」の基本としくみ 病気のメカニズムを図解で学ぶ! 病気の不思議』。

Photo_2 

 本のキャッチフレーズをそのまま引用させてもらいますと…

「病気のメカニズムを豊富なイラストと表で解説した入門書。ポピュラーな疾病を身体の部位ごとにまとめ、その疾患がどのようにして罹患し、発症し、どんな症状が出るかというメカニズムと治療法をやさしく解説」…なのですね~。


 図解入門シリーズの中の一冊ですので、他のシリーズ同様、表紙には監修の先生の名前だけですが、一応、文章部分はオイラが書かせていただきました。

 実は、発売されたのが先月の中旬。

 なかなか忙しくて、プログの紹介記事を書いている時間がなく、今までずれこんでしまったのですね~。

 ホントは、今回のお買い物ツアーが書きたかっただけなのですが…。

 それはともかく、発売早々、大変好評をいただておりまして、お買い求めいただいた方たちにあらためてお礼申し上げる次第です。

 …ということで、ここのところずっとお散歩ネタでしたが、今日は番外編。

 「よくわかる最新「病」の基本としくみ。 お買い物ツアー~♪ in日本橋、池袋、新宿、五反田編」のネタで、お茶を濁そうか、と…。

 いろいろな書店をまわり、新しいコンセプトの大規模書店と昔ながらの書店をいろいろ比べてみるのも楽しかったですよ。

 今度の本は、探してみると結構、街の比較的小規模の書店でも見つけられますし。

 さて、まずオイラが向かったのは、東京・日本橋。

 とすれば、かつて? 書店として日本最大の床面積を誇ったという八重洲ブックセンターに足が向きます。

 地下一階の家庭医学書売り場へ行くと、おお、一番目立つ場所に平積みで置かれているじゃありませんか。

八重洲ブックセンター


 さっそく、一冊目、ゲットン!!!

 今日はかなり忙しく歩き回らねばなりませんから、その感動の余韻に浸っているまもなく、本をユニクロの大型バックに収めると次の目的地へ向かいます。

 日本橋といえば、最近ビルが建て直されてきれいになった丸善を忘れてはなりませぬ。

丸善


 丸善と言えば、梶井基次郎の名作「檸檬」に登場する書店としても有名でしたね。

 舞台は確か、京都の書店でしたが、店頭の積み上げられた画集の上に、時限爆弾に見立てたレモンを置いて立ち去るラストシーンが印象的でした。

 うう、平積みで置かれた「病」の基本としくみの本の上に、レモンを置いて立ち去るという魅惑的な悪魔のささやきが…。

 でも、そんなことしたら、迷惑条例に違反して捕まるかも。

 その葛藤に悩みながら売り場へ向かうと、平積みではありませんでしたぁぁぁぁぁ~

 家庭医学の売り場はそれほど広くないので、結果的に平積みのスペースも限られるのですな。

 ゆえに、レモンを置くことはできませぬ。

 軽犯罪に手を染めになくてよかったとほっとしつつ、丸善で二冊目、ゲットン!!!

 ちょっと歩くけれど、人形町まで行き、よく立ち読みさせていただいているPISMOという本屋さんにも寄ってみました。

PISMO


 こちらは売り場面積がそれほどないから、おそらくないだろうなと思ったのですが、あ~るじゃありませんか。

 …ということで、三冊目もゲットン!!!


 よし、次は池袋へ行くぞ~

 前回のお買い物ツアーでも紹介しましたが、池袋には都内屈指の書店があるんですよ。

 それは、西武南口そばのジュンク堂池袋本店。

 かなりの規模のビル全体が本の売り場になっていて、木製の温かみのある本棚とゆったりとしたフロアの雰囲気がいい味を出しています。

 二階の家庭医学書のコーナーには、当然のごとく一番目立つ場所に、本の表紙を見せる形で十冊ほど並べられていました。

ジュンク堂


 この書店は、入り口の広い空間を除けば、売り場に平積みをしない方針みたい。

 っていうか、平積みをする台自体ありませんでしたが。

 最近の書店の傾向として、ゆっくり座って本を選べるように、売り場に椅子が置いてあります。

 せっかくだから読んでいこうかと思いましたが、時間がないので本を一冊手に取ると一階のレジに。

 四冊目、ゲットン!!!

 ビル全部が売り場だから、レジを一か所に集中できるのですな。レジがたくさんあるから、それほど並ばずに本を購入できるのでした。

 駅のそばの西武百貨店の中にある書店、リブロで、五冊目をゲットン

リブロ


 そして、いよいよ書店の激戦区と呼ばれる新宿へ上陸。

 ジュンク堂新宿店は、池袋本店で買いましたからバスして、地下道を通って紀伊国屋の本店に向かいます。

 一階で在庫の検索をすると、おお、四階の医学書コーナーと六階の家庭医学書コーナーの二箇所にそれぞれ置かれているらしい。

 うぉぉぉぉぉぉぉ~、一番槍の功名を立てるまでじゃぁぁぁぁ~と四階まで階段を駆け上がったのでした。

 若い頃から、新宿の紀伊国屋書店へ行くと、無性に階段を駆け上がりたくなるオイラ。

 どちらの売り場でも、目立つように表紙を正面に向けて置かれていました。

紀伊国屋


 ここで、六冊目ゲットン!!

 いつもは渋谷へ行くのですが、渋谷にも紀伊国屋はありますし、これから行く五反田にもいくつか書店がありますので、今回はスルーさせていただこうか、と…。

 五反田の駅ビルは最近新しくなって、お洒落な書店、ブックファーストが入っておりました。

 なんとなく、女性が多いような。

 さっそくここで、七冊目をゲットンしましたが、ここへ来て疲労がピークに。

 うう、まだあと一冊ゲットンするのじゃ~。

 五反田の駅前からビジネス街をテクテク歩き、ここから近くの書店をローラー作戦で攻略してゆきます。

 駅前の書店を二つほど回ったのですが、売り切れたのか、最初からなかったのか見当たらなくて、大崎広小路の駅のそばにあるあおい書店まで足を伸ばしました。

あおい書店


 以前、何冊か買ったことのある書店でしたが、売っていましたぁぁぁぁぁ~

 こちらのレジのおばさんが、大量の本を抱えてフラフラになっていたオイラのために、本をひとつの大きなビニール袋にまとめてくれたので助かりました。

 感謝をこめて、八冊目、ゲットン!!!

 やったぁぁぁぁ~、ノルマ達成!!


 …ということで、本日の戦利品。

本日の戦利品

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私が、読んで面白かった小説大賞 グランプリ発表!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。  

 ずっと発表を引っ張り続けていたら、とうとう北京オリンピックが開幕してしまいました。

 ゆっくりテレビ観戦をするためにも、「私が、読んで面白かった小説大賞」のグランプリを発表しなければと考える今日この頃。  

 私が2007年下半期~2008年上半期の間に読んだノミネート作品は全部で50冊。

 それはこちら。  

 その中で、ベスト5のうち、3~5位は以下のように決定したのでした。

 第五位 菜の花の沖  司馬遼太郎

 第四位 信長の棺 加藤廣

 第三位 容疑者Xの献身 東野圭吾  

 さて今日は、第二位からの発表です。  

 それでは…。 第二位 天下城  佐々木譲

 

 図書館ではじめて目にした本。

 オイラの場合、「城」の名がついていると条件反射で目が行ってしまいます。

 この作品の第二位は、さすが自己チューランキングと言われても仕方ないでしょうね。

 おそらく、ほかの人が選んだらベスト5には入らないかも。

 でも佐々木譲は、「エトロフ発緊急電」や「ベルリン飛行指令」などで知られる冒険小説作家。両方とも長い作品でしたけど、重厚で壮大なテーマと細部にわたる臨場感で一気に読むことができました。

 どちらも戦時中の日本を舞台にした作品だったので、戦国時代の歴史小説はちょっと意外でした。

 城をテーマにした作品は、城ヲタクとして評価がどうしても辛くなるのです。

 が、しかし、さすが第一級のエンタテイメント作家の作品だけあって楽しく読むことができました。オイラの知っている限り、それほど話題にならなかったのは、主人公が名もない石積み職人だからでしょうか。

 でも、実際城を作るのは武士ではなく、これら名もない職人衆ですからね。視点が変わって、オイラには新鮮に映りました。そういえば、以前読んだ「火天の城」も安土城を作った大工の棟梁が主人公だったような。

「火天の城」を書いた作者も相当築城技法について勉強したそうで、その蘊蓄がまた面白かったのですが、この「天下城」も当時の石積みの技法が語られています。

 佐々木譲は「技術系の人にも読んで欲しい」と言っているくらいだから相当自信を持って書いたのだと思いました。

 主人公は武士を捨て、近江の石積職人集団として日本一だった穴太衆(あのうしゅう)に身を投じる戸波市郎太。

 武田の金山で奴隷にされたり、朝倉氏の館や堺へ行ったり、若き日の信長に出会ったり、城にまつわる場所にこう都合よく行けるのかなと読みながら思いました。

 戸波市郎太って、作者が創作した架空の人物なのですね。

 戦国大名といったスーパースターならともかく、一般庶民を主人公にする場合は、劇的な出会いを創作しなければ小説として読者を最後までつなぎとめるのは難しいのでしょう。  天下城として登場する安土城は、まさに独創の城。自分の経験から行っても変わった城にうつります。

 この城こそ再建して、信長の天才性をあらためて感じたいと思いました。

 …ということで、いよいよ一位の発表っす。  並み居る強豪を抑えて、グランプリに輝いたのは…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

ハッスル!「老健」- 介護老人保健施設のすべてがわかる本 -  ビジベン著

 

 あれっ? おかしいぞ。どっかで見たような本がいきなり出てしまい…。

 ウィルスに感染したのかしらん。

 ずっこけて、またパソコンの角に頭をぶつけた方もいらっしゃるかもしませんね。

 申し訳ございません。

 実は前回味をしめ、これがやりたくて今回も引っ張ったのでした。

 でも、この本。福祉施設の方たちからはドキュメンタリータッチでなかなか面白いともお褒めの言葉を頂戴しているのです。オイラのエピソードもいろいろ書いてありますし…。

 そんなことより、今度こそグランプリ作品を発表しないといけないのでした。

 一流作家の書いた有名な作品にオイラが優劣をつけるなんて、そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせオイラは素人だし、法律に違反するわけでもないから、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、はーい、おっぱっぴーと言っていた小島よしおみたいに一発屋で終わることを覚悟しつつ、清水の舞台から飛び降りた気分になって、ビジベンが選ぶ「私が、面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…( ← 再びドラムの音?)

 犯人に告ぐ 雫井修介氏に決定いたしましたぁぁぁぁぁぁ~

第一位 犯人に告ぐ 雫井修介

 

 今回はあまり、意外な一位ではなかったかも。

 第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位、「このミステリーがすごい!」第8位…。

 映画にもなったりして、十分読者からの支持を集めている作品ですからね。

 皆様の予想に反する結果となって、とても心苦しいのですが…。今回はちょっとまとも過ぎたのではないか、と反省しています。

 でも、単純に面白いというだけの基準なら、この一年で読んだ本の中で一番楽しめました。

 最初の30分で、一気に引き込まれましたね。これはもう、グランプリ間違いなし、と…。

 最近は、ミステリーを読んでも、ワクワク興奮する機会が激減してしまったような。

 子供の頃読んだ、ポプラ社のルパン全集。ジュール・ベルヌのSF。偕成社から出ていた子供向きの歴史小説。十代から二十代の初めにかけて読んだ横溝正史の推理小説。  読む本、読む本、みんな面白かったけれど、最近、没頭して読めるような面白いミステリーに出会えるのは、年に一冊あるかどうかでしょうか。

 耳年増というか、本年増になったのかも。

 昔は、内田康夫の浅見光彦シリーズが好きで、かなり面白く読めたのですが、最近は物足りなくなってしまいましたし…。

 そんなオイラでも、この作品は一味違うと思いました。

 連続誘拐殺人事件に際して、現職の刑事がテレビに出演して公開捜査をするという設定が秀逸。

 視聴率をとりたいテレビ局とのやりとりも臨場感たっぷり。

 犯人を追い詰めて取り逃がすシーンなど、自分のよく知っている場所が事件現場なだけに結構手に汗握るシーンの連続でした。

 前半の緊迫感に比べて、後半がややストーリーのテンポが早くなって、臨場感が薄れるという批判もあるみたいですが、全体としてはよくまとまっている。

 警察小説というと、第一人者の横山秀夫の職人のような精密な作品が目に浮かびます。

 この作品も臨場感と緊迫感あふれるシーンが満載ですが、結構ユーモアのある個所もあって好感が持てました。

 チョンボなんとか、というリアルでいたら困るような刑事も、実際にはいるのかも。

 エリートや変人の刑事、サラリーマン化した刑事などバラエティに富んだ登場人物を眺めるだけでも楽しめますよ。

   …ということで、今回はわりと無難な結果になってしまったと思われる「私が面白かった小説大賞」。

 子供時代から好きだった本格ミステリーが入らなかったのは寂しい限り。

 個人的には、本格ミステリーで、独創的なトリックと意外な犯人で驚かされたいのだけれど…。

 今回ノミネートされた中にも、本格ミステリーは少なからずありました。

 完璧なアリバイや破綻のないトリックに力点を置きすぎると面白くなくなるのがミステリー作品のつらいところ。

 トリックから作品を作ると、一般社会ではありえない設定になってしまうし。

 バランスがいいのは、古い作品ですが、島田荘司の「Yの構図」が楽しめました。  「切り裂きジャック百年の孤独」もそうでしたけど、しっかりとたトリックでありながらなおかつ読んで面白いのは簡単そうでなかなかできないですね。

 あと、三浦しをんの直木賞受賞作、「まほろ駅前多田便利軒」もなぜか記憶に残っています。

 とりたててたいしたテーマではないのですが、便利屋の実態についてよく勉強しているな、と…。

 この人は大学卒業してからすぐ作家になったらしいから、あまり実社会の経験はないんですよね。

 それでこんな社会の重箱の隅をつつくような小説を書けるのだからすごいと思いました。

 本を読むと、自分の体験できないことを味わえるわけですから、人生を何倍も楽しむことができるのかも。

 いや~、やっぱり本って楽しいもんですよね。 

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決定!私が、読んで面白かった小説大賞!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。

 暑い日が続きますね。 

 今日はいよいよ「私が、読んで面白かった小説大賞」の発表です。

 前ふりが長くなるとまた終わらなくなるので、今回はいきなり行きまっす。

 ブックレビューも書かないといけないし…。

 オイラが2007年7月から2008年6月にかけて読んだ本をもう一度書きますと、以下の通りです。
 

7月
 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 生首に聞いてみろ 法月倫太郎
 ミロクの掌 安孫子武丸

8月
 セリヌンティウスの舟 石持浅海
 カンガルー日和 村上春樹
 野ブタ。をプロデュース 白岩玄
 隠し剣孤影抄 藤沢周平
 スイス時計の謎 有栖川有栖

9月
 黒祠の島 小野不由美
 時の密室 芦辺拓
 ブルータワー 石田衣良
 信長の棺 加藤廣
 容疑者Xの献身 東野圭吾

10月
 半島を出よ(上) 村上龍
 半島を出よ(下) 村上龍


11月
 俄(にわか) (上) 司馬遼太郎
 俄(にわか) (下) 司馬遼太郎
 19歳の肖像 島田荘司
 日本殺人事件 山口雅也
 菜の花の沖 (1) 司馬遼太郎

12月
 菜の花の沖 (2) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (3) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (4) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (5) 司馬遼太郎


2008年上半期

1月
 菜の花の沖(6) 司馬遼太郎
 乱鴉の島 有栖川有栖
 顔のない敵 石持浅海
 犯人に告ぐ 雫井修介


2月
 妖怪(上) 司馬遼太郎
 妖怪(下) 司馬遼太郎
 生協の白石さん

3月
 司馬遼太郎と寺社を歩く
 風に舞い上がるビニールシート 森絵都
 殺人方程式 綾辻行人
 切り裂きジャック百年の孤独 島田荘司

4月
 スラッシャー 廃園の殺人 三津田信三
 まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん
 平将門 吉川英治
 龍臥亭幻想(上) 島田荘司

5月
 龍臥亭幻想(下) 島田荘司
 Yの構図 島田荘司
 秋汎狩り 佐伯泰英
 消えた直木賞
 吉原手引草 松井今朝子
 
6月
 山魔の如き嗤うもの  三津田信三
 天下城 (上) 佐々木譲
 天下城 (下) 佐々木譲
 贄門島 (上) 内田康夫
 贄門島 (下) 内田康夫



 このノミネート作品の中から、ベスト5が決まるのですね~

 皆さんが支持されている本が、オイラのベスト5にはあまり入っていないようなので、改めて自分が変人であるということを実感して落ち込む今日この頃。

 決して、コメントの予想からはずしてベスト5を選んだわけではありませんので念のため。

 いつも、読んだ本のノミネート作品をパソコンで打っているときに、ベスト5を先に決めてしまうのです。

 と言っても、それぞれ評判になった本ばかりでいろいろ悩みました。

しかも今回は一年分ですからさらに難しいっす。

 しかし、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞 2007年下半期~2008年上半期」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。 


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)




第五位
 菜の花の沖  司馬遼太郎

 江戸時代の廻船商人で、のちに蝦夷地の開発にも尽力した高田屋嘉兵衛を主人公にした歴史小説。見なかったですが、竹中直人主演でドラマ化もされましたね。

 ホントは戦国時代や幕末に生きた武士の波乱万丈の生涯を描いた作品が好きなのですけど、波乱の生涯という点では勝るとも劣らないと思いました。子供時代の淡路島の風習なんかも面白かったです。

 江戸時代の船や航海術の薀蓄など、一級のエンタテイメントでありながら、歴史や民俗学の知識も増えると言う一粒で二度おいしい司馬作品の魅力がとくに現れている作品だと思いました。

 ただ、日本とロシアとの接触の歴史は、「余談だが…」の枠を大きく越えて、途中から小説というより延々と論文を読んでいるような気分になったかも。

 小説としての流れや完成度を度外視しても、北方領土に対する強い思いを司馬さんは伝えたかったんでしょうね。

 高田屋嘉兵衛は幕府の役人ではないし、強い権限を持っているわけではないけれど、お国のため、函館の発展のためと結果的に多くの功績を残しました。

 今の時代に、こんなグローバルな視点で企業を運営し、自分の損を承知で国のために尽くす商人は果たしているのだろうかと考えます。

 嘉兵衛が心血を注いだ高田屋はその後なくなってしまいますが、司馬作品の中で自己チューの大企業より、はるかに長く生き続けるのだろうと思いました。



第四位
 信長の棺 加藤廣

 信長や秀吉、家康にまつわる本は、星の数ほどあります。3人の新しいエピソードはもうお目にかかれないのではないか、というくらいいろんな本を読みました。

 でも、こういうちょっと変わった切り口だとついつい引き込まれてしまいますね。

「信長公記」の著者・太田牛一を主人公とした点も興味深い。

 小泉純一郎元内閣総理大臣が愛読書にもあげて話題になりましたっけ。

 この本の魅力は、本能寺の変で信長の遺体が発見されなかったというわりと有名な事実がベースになっています。

 光秀の娘婿で、これまた有名人の明智左馬助光春が数日の間現場に留まって、信長の遺体を徹底的に探し続けたけれど発見されなかったそうなんですよ。

 現代でも火災現場からは焼死体が発見されますし、確かに歴史好き、ミステリー好きのオイラでは身を乗り出すテーマ。明智光秀にとって、信長の遺体発見は最重要課題の一つだったと言うこともわかります。

 ネタバレになるから書きませんけど、本ではちゃんとミステリー的な解決がなされている。一応トリックもあるのですね。

 ただ、多少こじつけだという批判もあるようで、その点はオイラも否定はしませんけど…。

 それはともかく、オイラがすごいと思ったのは著者の加藤廣さんの年齢。

 1930年生まれですか。

 そしてこの作品によって作家デビューを飾ったときは75歳なのですね。

 歴史ミステリーは、歴史の信憑性とミステリーのプロットなどいろんな制約があって、普通の小説を書くより骨が折れるような気がします。

 オイラも努力すれば、まだまだ四半世紀以上、いろんなことで頑張れるんだと希望が湧いてきました。

 これからも頑張って作品を世に出して、多くの中高年に希望を与えてほしいと思いましたね。



第三位
 容疑者Xの献身 東野圭吾

 ご存知、ベストセラー作家東野圭吾の本格ミステリ大賞と第134回直木賞受賞作。

 何度も候補となりながら涙を呑んできた作家ですが、世情評価の高い「白夜行」でも「秘密」でもなく、この作品で受賞というのは、読んでみてなるほどと思いました。

 宮部みゆきも「火車」「模倣犯」といった代表作ではなく、従来とは少し文体・作風を変えた「理由」で受賞しましたからね。本人も書き出しは、松本清張の「真似っこ」だとどっかでコメントしていたような。

 また浅田次郎も「蒼穹の昴」ではなく、受賞作が「鉄道員」というのも、その延長線上にあるのかもしれませぬ。

 この作品は、福山雅治がドラマで演じた天才物理学者、湯川が登場しますが、なんといってもタイトルにもある「容疑者X」の存在感がすごい。

 まさに、「容疑者X」の献身。

 他人に対して、ここまで奉仕する人間がいるのかなぁという余韻のインパクトは独特でした。

 容疑者Xの心情の変化をあえて書かず、読者にゆだねる形にした点が成功したのでしょう。

 その余韻が、直木賞の選考委員にとってこの作品を選ばせたのではと感じます。

 東野圭吾のこの作品、宮部みゆきの「理由」、浅田次郎の「鉄道員」などの受賞作の共通点がこの辺りにあるような。

 作者による感動の押し付けが感じられにくい作品といいますか。

 直木賞選考委員も同業の作家。

 作家の技法によって感動させられてしまうと、作家の掌に乗せられたという抵抗感が起きるのではないか、と穿った見方もしてみたくなります。

 それはともかく、こういう面白い読後感の作品は滅多にないと思いますので、お勧めです。
 ブックレビューが長くなったので、1位と2位の発表ができそうにありませぬ。

 ベスト3なら恰好がつくのですけどね。

 決して引っ張るつもりはないのですが、ベスト2の発表は次回ということで…。

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輝く!私が、読んで面白かった小説大賞 ノミネート作品発表!!(2007年下半期~2008年上半期)

 こんにちは。

 ホント、暑いっすね。

 ところで先日、押入れをひっくり返して、70年代の地層から五分袖のトレーナーの発掘に成功したって書きました。

 同時にとんでもない遺物が出てきたんですよ。

 それは、オイラの高校時代の学生証。

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 モノクロ写真が時代を感じさせます。

 当時は体重50キロちょっとでしたから、かなり頬がこけているような。 

 それはともかく、学生証って普通、卒業証書と引き換えに学校に返却するんですよね。

 もしかして、オイラは高校を卒業していなかったのではと不安になり、卒業証書を探してしまいました。

 おかげさまで高校を卒業していたのは間違いなかったですけど…。

 返却し忘れたオイラに瑕疵があるのはもちろんですが、当時の高校の先生もゆるい人が多かったのを思い出しました。

 修学旅行の引率はだるいから中止しようとか、担任の先生が言ってたのを覚えています。

 学生が修学旅行に行きたいと言い張って、アンケートをすることになったのです。

 結局希望者多数で修学旅行へ行ったのですが、先生方はみんなしぶしぶついて行くという感じでしたね。

 そのゆるい教育が、現在のオイラのルーツになっているのかも。

 やっぱり、教育は大事ですな。

 さて、今日は毎年恒例となりました、私が、読んで面白かった小説大賞 2008年上半期の発表です。

 いつも芥川賞と直木賞の発表の後に行っているのですが、マスコミからはまったく何の反応もありませぬ。

 毎回、自分だけが勝手に盛り上がっている小説大賞。ちなみに昨年度(2007年下半期)のベスト5は以下の作品でした。


第五位
 アキハバラ@DEEP 石田衣良
 扉は閉ざされたまま 石持浅海

第四位
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司

第三位
 花まんま 朱川湊人

第二位
 新史太閤記 司馬遼太郎

第一位
 電車男 中野独人



 前回は、国民的大作家や直木賞受賞のベストセラー作家の作品を差し置き、「電車男」がグランプリに輝いたのでした。
 
 上記を見ていただくとお分かりの通り、たんに私が読んで面白かったかどうかだけで選ばれるランキング。

 素人だけが許される特権を最大限に生かして、今年はどの作品が選ばれるのか、自分だけが注目しております。

 さて、能書きはこのくらいにして、本日は「ビジベンは、こんな本を読んできた。2008年上半期 輝く!私が読んで面白かった小説大賞」ノミネート作品発表。

 上半期があるなら、当然、下半期もあるはずですが、それはまた、いずれ。

 まずは、オイラが今年の1~6月までに読んだ本。

 読んだ小説は、以下のとおり、しめて25冊。

 ちなみに、去年は、29冊。おととしは22冊。その前は34冊でした。

 去年より忙しかったのかな、と考えたのですが、ひとつの作品を上下2冊にカウントしている分が4作品もありますからね。

 冊数で仕事の繁忙を決めるのは難しいのでした。

 このほかにもビジネス書や家庭医学書を結構読んでいるので、相変わらず、かなりの活字中毒ですな。

 でも、昔は月に10冊くらい小説を読んでいる時期もありましたからね。 

 最近は、まとまった時間がとれないので、電車の中や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いです。

 読みなれているからスピードは早いと思いますが、歳を経るに従って読解力が落ちているのがわかります。

 ミステリーでも、昔は犯人を当てるためにいろいろ考えながら読みましたが、最近は登場人物の名前を覚えるのがやっと…。

 最後に真犯人がわかっても、そんな人いたっけ? …とか。

 それはともかく、今年の上半期に読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


2008年上半期

1月
 菜の花の沖(6) 司馬遼太郎
 乱鴉の島 有栖川有栖
 顔のない敵 石持浅海
 犯人に告ぐ 雫井修介


2月
 妖怪(上) 司馬遼太郎
 妖怪(下) 司馬遼太郎
 生協の白石さん

3月
 司馬遼太郎と寺社を歩く
 風に舞い上がるビニールシート 森絵都
 殺人方程式 綾辻行人
 切り裂きジャック百年の孤独 島田荘司

4月
 スラッシャー 廃園の殺人 三津田信三
 まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん
 平将門 吉川英治
 龍臥亭幻想(上) 島田荘司

5月
 龍臥亭幻想(下) 島田荘司
 Yの構図 島田荘司
 秋汎狩り 佐伯泰英
 消えた直木賞
 吉原手引草 松井今朝子
 
6月
 山魔の如き嗤うもの  三津田信三
 天下城 (上) 佐々木譲
 天下城 (下) 佐々木譲
 贄門島 (上) 内田康夫
 贄門島 (下) 内田康夫



 うぬぬ、この中からベスト5を選ぶのですか。

 ざっと眺めてみて、完全自己チューでオイラが面白かった本を5冊選ぶのはちょっと難しいかも。

 文句なしに第一位に輝く作品はあるのですけどね。あと、他の人はいざ知らず、オイラが読んで面白いというヲタク的なジャンルの本が一作品。

 それだけ書くとどの作品かわかってしまいそうですが…。

 ほかは文学的な価値はあっても、たんに面白かった本という基準では推しにくいかも。

 やっぱり、オイラが読んで面白かった小説大賞の価値を維持できる作品のレベルを維持する必要はある。

 …なんて、直木賞を「該当なし」と決めるような選考委員の気分を味わってみたいのでした。

 困ったニャー。

 …と思ったら、去年の下半期の面白かった小説大賞の発表をし忘れていたのでした。

 ちょうど良かったと、今回は去年の下半期と今年の上半期、トータル1年分から大賞作品を選ぶことにしたのでした。

 うう、すごいハイレベルな戦いになりそうじゃ。

 でも、完全自己チューですから、例によって万人に受ける作品と言うより、えっ?何これ?という作品になりそうですが…。

 去年のグランプリは「電車男」だし…。

 それはともかく、去年の下半期にオイラが読んだ作品は以下の通りっす。


2007年下半期

7月
 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 生首に聞いてみろ 法月倫太郎
 ミロクの掌 安孫子武丸

8月
 セリヌンティウスの舟 石持浅海
 カンガルー日和 村上春樹
 野ブタ。をプロデュース 白岩玄
 隠し剣孤影抄 藤沢周平
 スイス時計の謎 有栖川有栖

9月
 黒祠の島 小野不由美
 時の密室 芦辺拓
 ブルータワー 石田衣良
 信長の棺 加藤廣
 容疑者Xの献身 東野圭吾

10月
 半島を出よ(上) 村上龍
 半島を出よ(下) 村上龍


11月
 俄(にわか) (上) 司馬遼太郎
 俄(にわか) (下) 司馬遼太郎
 19歳の肖像 島田荘司
 日本殺人事件 山口雅也
 菜の花の沖 (1) 司馬遼太郎

12月
 菜の花の沖 (2) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (3) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (4) 司馬遼太郎
 菜の花の沖 (5) 司馬遼太郎



 去年の下半期は、25冊ですか。

 相変わらず、司馬遼太郎の本が多いですな。

 例年通り、歴史物、おもに司馬遼太郎の作品とミステリーを交互に読み、箸休めとしてジャンルを問わずベストセラーや話題になった作品を濫読する傾向にあるみたい。

 「菜の花の沖」を読んでしまったので、残る大作は、「翔ぶが如く」くらいになってしまったのは寂しい限りです。

 オイラの人生に大きな影響を与えた大作家ですからね。とくに「項羽と劉邦」「坂の上の雲」には、生きるヒントが凝縮して含まれているような気がしました。

 成功して栄華を極めてから、生き方を誤って新聞紙上を賑わしている有名人が多々いますけど、その転落の理由が司馬作品の中の登場人物にすべて入っているような。

 歴史は繰り返すといいますか、人間の本質だけは発展しないのだなとつくづく思います。


 それはともかく、この50冊の中から、ベスト5を選ぶんすか。

 ベストセラーや評判になった本ばかりの珠玉の50冊。

 自分で言っておきながら、難しいっすよ。

 じっくり一人になって考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?

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発表! 私が、去年読んで面白かった小説大賞 2007年上半期

 こんばんは。

 今日はいよいよ、「輝く!私が、去年読んで面白かった小説大賞」のネタです。

 去年も年初に同じネタをやったのですが、ずっと引っ張り続け、結局発表が一月の下旬にずれ込んでしまったのでした。

 発表したときは、今更、という空気が流れていたような気が…。

 今年は、そんな愚を犯してはなりませぬ。

 人は経験によって成長しないといけませんからね。

 …ということで、今日はベスト5から一気に大賞受賞作までの発表をいたしまする。

 ちなみにオイラが今年の上半期に読んだ候補作をもう一度あげますと、以下のとおりです。


1月

 学生街の殺人 東野圭吾
 司馬遼太郎が考えたこと 1 司馬遼太郎
 逃げ水 (上) 子母沢寛
 逃げ水 (下) 子母沢寛 
 城の作り方辞典 三浦正年

2月

 壁・旅芝居殺人事件 皆川博子
 司馬遼太郎が考えたこと 2 司馬遼太郎
 沈黙の教室 折原一

3月

 秘剣・雪割り 佐伯泰英
 ホック氏の異郷の冒険 加納一朗
 覇王の家 (上) 司馬遼太郎
 覇王の家 (下) 司馬遼太郎

4月

 陰魔羅鬼の瑕 (上) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (中) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (下) 京極夏彦
 花まんま 朱川湊人
 新史太閤記 (上) 司馬遼太郎

5月

 新史太閤記 (下) 司馬遼太郎
 灰色のピーターパン 石田衣良
 司馬遼太郎が考えたこと 3 司馬遼太郎
 顔 松本清張

6月

 電車男 中野独人
 県庁の星 桂望美
 新宿鮫 灰夜 大沢在昌
 TUGUMI 吉本ばなな
 今夜宇宙の片隅で 三谷幸喜
 司馬遼太郎が考えたこと 4 司馬遼太郎
 司馬遼太郎と城を歩く
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司



 この中から、今年の上半期読んだ中で一番面白かった一冊を選ぶのですか。

 毎年思うのですが、それぞれ評判になった本ばかりですから難しいっす。

 しかし、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが完全自己チューで選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞2007 上半期」は以下のように決定しましたぁぁぁぁぁぁぁ~。

 毎年、ブックレビューを長々と書いているのですが、年間ベスト5もあるし、今回はさらっと書きたいと思います。


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

 
 ちなみに第五位は二作入りました。

第五位
 アキハバラ@DEEP 石田衣良


 石田衣良の作品は、池袋ウエストゲートパークシリーズを始めとして、読みやすくて好きなのですが、この作品も期待にたがわぬ面白さでした。ヲタクたちがオリジナル商品を開発してベンチャー企業を立ち上げ、それを乗っ取ろうとするどこかで見たような巨大企業の創業者とバトルを繰り広げるありがちなお話。

 でも、ヲタクの人物描写のディティールを見事に書き分ける筆力は相変わらず魅力がありますね。


 扉は閉ざされたまま 石持浅海

 「このミステリーがすごい」の2位に入ったということで読んだ作品。ランキングに注目していると、こんな興味深い作品と出会えるのですね。いわゆる「刑事コロンボ」みたいな犯人がわかっている倒叙推理小説。犯人が頭を絞って作り上げた完全犯罪を一見普通の若い女性が論理的に追い詰めてゆく頭脳戦が楽しめます。

 この本を契機に、この作者の作品を続けて2冊読みましたが、この作品が一番傑作みたい。


第四位

 上高地の切り裂きジャック 島田荘司


 島田荘司といえば、「占星術殺人事件」以来、独創的なトリックと奇想天外な場面設定で知られる本格推理作家ですね。ただ、あまりにそれらを追い続けるあまり、トリックがご都合主義的だなんて、批評家から言われたりする。でも、オイラはエンタテイメントとして、これほど面白い一応本格推理を書く作家は知りませぬ。よくこんな奇抜なトリックを思いつくなと、いつも思ってしまいます。

 この本は中篇集なので表題作のほか、中編2作があるのですが、とくに「山手の幽霊」はあまりにも奇抜なトリックとシチュエーションに驚きます。でもなぜか、納得させられてしまうところはさすが。


第三位

 花まんま 朱川湊人


 この本も、直木賞受賞作品ということで読んだ作品。短編集なのですが、昭和の時代の子供の目を通して、不思議な出来事が淡々と語られていくのはどの作品も共通していますね。高橋克彦や誰だか忘れましたが、子供時代の事件をノスタルジックに描写した直木賞受賞作がほかにもありましたね。

 ホラーをベースにした高橋克彦の作品のほうがインパクトはありましたが、やはり「昭和」「子供」「ノスタルジー」というアイテムは直木賞の選考委員には受けがいいのか、と…。
 でも、一作ならともかく、これだけレベルの高い作品を揃えられるのはかなりの技量だとお見受けしました。



第二位

 新史太閤記 司馬遼太郎


 司馬遼太郎のファンなのに、今までこんなメジャーな作品を読んでいなかったのは、今更「太閤記」なんて、と思っていたからかもしれませぬ。オイラが太閤記を最初に読んだのは、確か小学校4年生。柴田錬三郎が子供向きに書いた「豊臣秀吉」でした。これまで、どんだけ~豊臣秀吉について書かれた小説を読んだかわからないぐらい。

 でも、さすがは司馬遼太郎ですね。これだけアカデミックで論理的に秀吉をとらえた小説はありませぬ。
 まず尾張人と三河人の気質の違い。どうして尾張人が商人的な性格を持ちえたかという点をじっくりと説明してくれます。そこから秀吉は、いかに商人的な感覚で天下取りをして行ったかという過程が論理的に展開されるのですね。説得力あるし、なるへそ~と目からウロコをボトボト落としながら読みましたね。

 それに対して、三河人は極端な農民型の発想っすか。司馬遼太郎の秀吉ひいき、家康嫌いはよく知っているのですが、オイラのDNAはどっぷり三河人。
 ごもっとも、と言いつつも複雑な心境になる今日この頃でした。



 そして、並み居る強豪を抑えて、グランプリに輝いたのは…


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)















 世界一やさしい脳卒中にならないための本 ビジベン

97847797008351

 あれっ? おかしいぞ。どっかで見たような画像がいきなり出てしまい…。

 パソコンが壊れたのかしらん。


 ずっこけて、パソコンの角に頭をぶつけた方もいらっしゃるかもしませんね。

 申し訳ございません。

 個人的な趣味で、一度やってみたかっただけです。

 新年早々、悪い冗談につきあわせてしまいました。

 それでは、今度こそ。

 一流作家の書いた有名な作品にオイラが優劣をつけるなんて、そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせオイラは素人だし、法律に違反するわけでもないから、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、はーい、おっぱっぴーという不遜な気持ちと清水の舞台から飛び降りた気分になって、ビジベンが選ぶ「私が、去年読んで面白かった小説大賞2007年 上半期」は…

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← 再びドラムの音?)

「電車男」 中野独人さんに決定いたしましたぁぁぁぁぁぁぁぁ~


えええ~? 電車男が1位?

 また、大穴狙いっすか?と言われそう。

 確かに仰るとおりですが、でも個人的に去年の上半期に読んだ本の中では一番面白かったです。

 図書館でベストセラーになった本ということで、特別なコーナーができていたんですよ。一応、売れた本には目を通すことにしているので、多少抵抗はあったのですが借りて読んでみることにしました。

 そしたら読み始めて、5分ではまってしまいましたね。

 ご存知のように、2ちゃんねるの書き込みからの引用という形態。一般的に小説は作者の頭の中から生まれるフィクションの世界なのですが、どうしても作者の意図がところどころ垣間見えてしまう。

 もちろん編集の段階で手が入っているのでしょうけど、いろんな人が勝手に書き込んでいながら、見事にひとつのラブストーリーとなっているところに驚きました。

 しかも、実際の小説より臨場感たっぷり。作者の意図みたいな部分がないからでしょうか。

 キターとか、戦場の場面と勘違いしているような独特の書き込みも、新鮮で面白い。世の中、殺伐としているシーンが多いけれど、人の幸せを心の底から喜んで祝福できる人がこんなに多いのか、ということがわかっただけでもジーンときてしまいますた。

 「2ch文学の誕生」なんて誰か書いていたのを思い出しますが、まったく新しい表現形態が生まれたことが画期的なのかも。

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輝く!私が今年読んで面白かった小説大賞、ノミネート作品発表! 2007年上半期

 こんにちは。

 さて、気がついてみると、もう年末。

 今年もあとわずかですね。

 ぐるっとパスで、調子こいて秋から冬にかけ都内をぐるぐるまわっていたら、年末に仕事がたまってしまいました。

 昨日から、のども痛いし…。

 夏場、遊びほうけて冬になって青くなる、キリギリスの気持ちが実感できる今日この頃。

 今日から大晦日まで、お正月も若干仕事をしなければなりませぬ。

 もっとも以前、銀行に勤めていた頃は、初詣の人たちにまじって帰宅するなんてこともありましたから、あまり苦にはなりませんが…。


 それはともかく、最近、ホントに月日の経つのが早いと実感しています。

 つい最近まで、自分が若い若いと思っていたのですが、お馬鹿なことをしたら月に変わってお仕置きされる年代になってしまいました。

 外見の変化に精神年齢が追いつきませぬ。

 だらだら日を送っていて、気がついたら棺桶に片足を突っ込んでいた、では目も当てられませんからね。

 そこで、6年前から手帳にその日にあった出来事を簡単に書くことにしたのです。

 昨日より今日は成長していたい、と誰でも思うものですが、そうは問屋が卸しませぬ。

 だから、1年前よりは少なくとも、成長していたいものだ、と…。


 オイラの手帳利用法の唯一のオリジナルといえば、読書目録みたいなものを書いていることでしょうか。

 手帳に日記を書き始めたと同時に続けているのですが、これがなかなかいいです。

 子供の頃から本を読むのが好きだったので、生まれてからどれほど本を読んだかわからない。

 数年前、一度読んだ本を買ってしまったことがあって、これはいかんと本の名前を手帳に控えることにしたのですよ。

 せっかくだから、読んで面白かったかどうか、五つ星で評価することにしたんです。

 これも文学賞の選考委員になったような気分になって楽しめる。

 本は面白いんだけど、作家の性格が嫌いだから三ツ星だな、みたいな。


 …ということで、今日は、毎年恒例となりましたオイラが今年読んだ本の中で、面白いと思った小説ネタで行こうか、と…。


 題して、「私が面白かった小説大賞 2007」。


 小島よしおも流行語大賞を受賞しましたが、オイラはそんなの関係ねぇ~くて、単に個人的な趣味の面白かったかどうかだけで選んでいますので念のため。

 ちなみに去年のベスト5は以下の作品でした。


 ● 終戦のローレライ 福井晴敏

 ● 深重の海  津本陽

 ● 鳥類学者のファンタジア  奥泉光

 ● 四日間の奇蹟  浅倉卓弥

 ● 対岸の彼女  角田光代



 能書きはこのくらいにして、本日は「ビジベンは、こんな本を読んできた。2007年上半期 輝く私が読んで面白かった小説大賞 ノミネート作品発表」です。

 上半期があるなら、当然、下半期もあります。それはまた、いずれ。


 まずは、オイラが今年の1~6月までに読んだ本。

 読んだ小説は、以下のとおり、しめて29冊。

 ちなみに、去年は、22冊。おととしは34冊でした。

 去年よりは暇だったけれど、おととしよりは忙しかったのかな、といろいろ考えたのですが、その理由はわかりませぬ。

 もっとも、真田太平記や終戦のローレライのような文庫本のシリーズを読むと、どうしても多くなるのですが…。

 このほかにもビジネス書を結構読んでいるので、かなりの活字中毒かも。 

 まとまった時間がとれないので、電車や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いですね。

 それと、読みなれているからスピードも早いような気がします。

 図書館で借りた本がほとんどですが、なぜか日本人作家の本が多いのが特徴。

 前にも書いたことがありますが、最近、外人の登場人物の名前が覚えられなくて…。

 外人のプロレスラーの名前は、すぐ覚えられるのですが…。

 それはともかく、今年の上半期に読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


1月

 学生街の殺人 東野圭吾
 司馬遼太郎が考えたこと 1 司馬遼太郎
 逃げ水 (上) 子母沢寛
 逃げ水 (下) 子母沢寛 
 城の作り方辞典 三浦正年

2月

 壁・旅芝居殺人事件 皆川博子
 司馬遼太郎が考えたこと 2 司馬遼太郎
 沈黙の教室 折原一

3月

 秘剣・雪割り 佐伯泰英
 ホック氏の異郷の冒険 加納一朗
 覇王の家 (上) 司馬遼太郎
 覇王の家 (下) 司馬遼太郎

4月

 陰魔羅鬼の瑕 (上) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (中) 京極夏彦
 陰魔羅鬼の瑕 (下) 京極夏彦
 花まんま 朱川湊人
 新史太閤記 (上) 司馬遼太郎

5月

 新史太閤記 (下) 司馬遼太郎
 灰色のピーターパン 石田衣良
 司馬遼太郎が考えたこと 3 司馬遼太郎
 顔 松本清張

6月

 電車男 中野独人
 県庁の星 桂望美
 新宿鮫 灰夜 大沢在昌
 TUGUMI 吉本ばなな
 今夜宇宙の片隅で 三谷幸喜
 司馬遼太郎が考えたこと 4 司馬遼太郎
 司馬遼太郎と城を歩く
 上高地の切り裂きジャック 島田荘司



 こうしてあらためて見ると、相変わらず濫読かも。

 どちらかというと、歴史物とミステリーが好きなので、そのふたつのジャンルを中心に読み、箸休めとしてジャンルを問わずベストセラー作品を濫読する傾向にあるみたい。

 今年は、小説とは言えないと思いますが、城についての本も読めたのはなんだか得した気分ですね。


 それにしても、司馬遼太郎の本がやっぱし多い。

 小学生時代から毎年、必ず司馬遼太郎の本を読んでいるのに、まだ完読できないのですから、その著作量は膨大なのですね。

 以前にも書いたと思いますが、司馬史観という独特のアカデミックな内容はもちろん、オイラが惹かれるのはその文体。

 初期の頃は、他の多くの歴史小説のように読みづらい部分もあったのですが、脂が乗っている時期に書かれたものは、どれも記述が平易ですね。

 センテンスが短く、余計な文章の装飾がない。

 反面、司馬遼太郎の小説を読んでいると、関が原で大軍が戦塵をまじえる大迫力のシーンがリアルにイメージできる。

 行間で、ビジュアルを表現できる稀有な作家だと思いました。

 それから、「ここで余談だが…」という書き出しから始まるアカデミックな記述。

 オイラの知り合いの社長さんたちで司馬遼太郎のファンは多いのですが、中でも「余談」が面白いという意見をよく聞きます。

 むしろ、余談が面白いから読むという人もいました。小説というエンタテイメントの面白さとともに、余談でアカデミックな知識も仕入れることができる。

 一粒で二度おいしいのも、大きな魅力ですね。

 でも、最近は主だった作品は皆読んでしまったので、老後の楽しみが損なわれたのではないかと考える今日この頃です。


 その視点でいろいろな小説を読むと、現在のベストセラー作家の佐伯泰英の本はエンタテイメントの占める比率が高い。

 新聞や雑誌の書評を読むと、仕事に疲れたサラリーマンのおとうさんが、読書中は仕事を忘れられるという癒し効果を追い求めて買っているのだと書かれていました。

 確かに、オイラも銀行員時代、電車の中で頭をクールダウンしたいという意味で、内田康夫のミステリーをよく読みました。

 忙しくてなかなか遊びに行けないから、本の中で旅行ができて、なおかつミステリーの楽しさを味わえる、みたいな。

 これもまた、一粒で二度おいしい魅力でしょうか。 


 それはともかく、この中から、ベスト5を選ぶんすか。

 自分で言っておきながら、難しいっすよ。

 今日一晩、考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?


 最後になりましたが、今年はいろいろお世話になり、ありがとうございました。来年もまたよろしくお願い申し上げます。

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自分が、去年読んで面白かった小説 グランプリ作品発表!

  こんにちは。

 今日は長くなりそうなので、前ふりなしで行きまっす。

 さて、さんざん引っ張った読書ネタ。

 とうとう今日、大賞を発表して決着がつきまする。

 ところでおととしは、ベスト10だけ選んで、大賞受賞作は選べなかったんですよ。

 昨日発表された直木賞みたいに、該当作なしというのではなく、どんぐりの背比べで選べなかったというか。

 今年は、ベストワン作品を自分の頭の中の満場一致で決定することができました~♪

 それは、最後に発表いたします。

 その前に、前回書けなかったベスト5作品のブックレビューから。

● 終戦のローレライ  福井晴敏著

 昨年ベスト10入りした「亡国のイージス」に続き、今年もベスト5入りです。長大な小説なのに、長さを感じない。

 こちらのほうが好きだという人もまわりに多かったような気がします。

 前作同様、次から次へとトラブルが発生し、それを一つひとつ乗り越えながら、若き主人公が成長してゆく過程がまた共感を呼ぶのかも。

 時代はタイトル通り、第二次世界大戦の終結間際。ドイツの降伏後,秘密兵器ローレライを搭載して,潜水艦が日本まで回航されてくる。

 その秘密兵器の「ローレライ」とは何なのか、が前半の大きな山場。突拍子もないものなのですが、その背景や経緯がしっかり書き込まれているので、リアル感が損なわれることはありませぬ。
 
 ある雑誌で作者へのインタビューを見たのですが、最初から映画化を想定して書かれたものだとか。

 テーマを潜水艦モノということで依頼したのは映画監督だそうですね~。

 潜水艦なら、セットもそれほどお金がかからないですから。

 そんなセコイ舞台裏があったとは思えないほど、この物語は雄大でプロットや伏線も複雑に富んでいて、ストーリテラーとしての作者の才能が感じられます。

 それにしても、当時の潜水艦での生活は大変だったのでしょうね。狭いし、息苦しいし、臭いもきつそう。

 読んでいて息苦しさを覚えてくるくらいだから、このリアル感は半端ではない。

 誰でも、戦争末期の潜水艦での生活を経験できる。

 本を読むだけで、普通ではとても味わえない経験ができるなんて、いゃ~読書ってホントにいいもんですね~。


● 四日間の奇蹟  浅倉卓弥著

 この本を図書館で手に取ったとき、まったく期待していなかったんですよ。ほかに借りたい本が全部借りられていて、仕方なくこれを選んだのでした。

 ところがどっこい、読み始めて数分で、あれれ、これは面白いじゃんと、オイラの借りたかった本を借りていった人に感謝したぐらい。

 あらすじをそのまま引用すると、脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。

 ちなみに、第1回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だそうですね。

 宣伝文には、審査員から「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化、とありました。

 装飾された宣伝文には、一応興味を惹かれますが、それを真に受けて喜んで読むほど若くはない。

 今まで何度も期待を裏切られた悲しい過去があるからです。

 しかし、この作品に限っては、なるほど~確かにおっしゃる通りと納得できました。

 最初の数ページを読んだだけで、この人、文章がうまいなとまず驚き。そして、出だしのインパクトと思わせぶりな伏線の張り方に次を読みたいという興味をそそられる。

 新人というより、どこぞの文学賞の審査員の作家先生よりもうまいと思われる文章力。

 ただ、ミステリーではないし、プロットも、実はどこかで読んだような印象をうける。

 この作者のその後の作品の評価もあまり聞かないし…。

 それでも、オイラはこの作品の中に他の作家の作品とは比べ物にならない魅力を発見しました。

 それは、「 」の中。

 登場人物の台詞回しのうまさですね~。

 とくに、主人公の相手役?を演じる岩村真理子の台詞がとてつもなく長いんですよ。

 もう、一人でしゃべりまくるというか。

 それでも、この人物の魅力が伝わってくる。

 読んでいて、となりでペラペラしゃべっているような臨場感を味わえます。

 ファンタジーのシーンとかもあって、読後感は最高でした。

 まだ読んでいない人は読んで損はないと思いますよ。


● 対岸の彼女  角田光代著
 
 こちらの作品はブログでの中でも取り上げましたね。
オイラが気に入った箇所は、普通の文学的な部分ではなく、ビジネスの現場の臨場感でした。
 
 とくに、女性社長の率いる旅行代理店が、新規事業としてハウスクリーニングを手がけるリアル感にはびっくりしたな~もう。

 スモールビジネスの現場にいるオイラからしても、全然違和感がない。

 ハウスクリーニングの研修風景、新規事業立ち上げの問題点、チラシのポスティングの反応率。

 現実に、企業が経験のない分野で新規事業を立ち上げたら、こういうシュミレーションで事が進むだろうと思うのです。

 たとえば最初は、知り合いが顧客になってくれるのだけれど、注文は3件でストップ。そこから、まったく仕事のない長~い空白期間。

 チラシをポスティングしても、まったく効果なし。

 それでもコツコツ宣伝していると、あきらめかけた頃に、電話で見積り依頼が入る。

 しかし相見積りで、すぐには決まらない。

 最初の仕事が決まったとき、感動して涙を流す主人公にジーンときました。

 だけど、そのまま事業が軌道に乗るわけではなく、過酷な試練が待ち受けて…。

 もちろん、作者が現場の人たちに密着して取材したからだと思いますが、作家自身にバックグラウンドがなければ、ここまでリアルに書けないかも。

 その意味では突っ込みを入れられない作品でした。

 世間的には、30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵という二人の主人公がビジネスの現場では社長と社員と立場は逆転する。

 でも、屈託なく明るい葵社長の性格と生き方に共感できましたね。
 

● 深重の海  津本陽著

 一転、こちらはこれぞ直木賞~という心にずんと響く極太の長編大作。

 こちらも宣伝の文章を引用されていただくと…

 明治11年12月24日夕刻、熊野灘の沖に現われた1頭の巨大な鯨に、300人もの男たちが銛を手に、小舟を操って立ち向かっていった。これが“背美流れ”と云われた大遭難の発端であり、慶長以来400年もつづいた古式捕鯨の組織“鯨方”壊滅の始まりでもあった。

 文明開化という時代のさ中で滅びていった人びとの絶叫と、燦爛たる愛とをドラマチックに描いた感動の長編。

 すごいっす。男の世界っす。

 軽く生きている人たちを描いた小説の後に、命をかけて巨大な鯨に挑んでゆく男たちの姿を読むと、どちらが幸せなのだろうかと考えてしまいます。

 いわゆる大きな目標に向かって、村の人たち全員が一丸となって助け合いながら生きているという感じ。

 昭和の時代も、もう少し豊かになりたいというひとつの目標に向かって、多くの人たちは生き生きと生きていたような。

 この本の中で、鯨を捕まえるのが多くの人たちの分業に支えられているということを知りました。

 一頭捕まえるだけでひとつの村が潤うという男たちの使命感というか。

 太く短い人生でも、目標が明確で迷いのない人生を送ることの素晴らしさを感じさせてくれる一冊でした。


● 鳥類学者のファンタジア  奥泉光著

 いわゆるタイムトラベルものですが、同時に場所も移動してしまうという力技がすごい。

 しかも、タイムトラベルを司っているのは猫ちゃんとは。

 普通なら、荒唐無稽なストーリーになっているのでしょうが、この作品を魅力あるものにしているのは、主人公の三十路のジャズ・ピアニスト、フォギーこと池永希梨子の存在かも。

 彼女は、国分寺のライブの夜に不思議な女性に遭遇する。幽霊のように思えた彼女は「ピュタゴラスの天体」「オルフェウスの音階」という謎の言葉を残して霧の中に姿を消す。

 自分とよく似た容貌とピアノ弾きの手を持つその女性は大戦中にベルリンで亡くなったという祖母の曾根崎霧子ではないのか。

 フォギーは後輩の佐和子と祖母のことを調べ出す。ベルリン留学中の霧子の周りにはナチスの影が差していた。父の三回忌で訪れた山形の実家の倉で祖母が父に贈ったオルゴールを発見したフォギーは時空を跳んで、戦時下のベルリンへ行く羽目になる。

 ストーリーを追ってゆくと、フォギーの身にはとんでもないことが起こったことになりますよね。

 同じタイムトラベルものの戦国自衛隊だったら、元の世界に戻ろうと焦燥し、絶望感すら漂っていました。

 ところが彼女はあわてない。

 いずれ戻れるだろうと、流れに身をゆだね、あまり深く考えずに新しい生活を送る。

 本の中では、目が離れていていつもボーッとしている顔をした性格に描かれています。そこがまたほのぼのとしていてとてもいい。

 なんとなく、平原綾香をイメージしてしまいました。

 音楽家という共通点もありますし。

 戦時下のドイツとタイムトラベルという設定なのに、この作品はゆったりゆっくりのんびりとストーリーが進む。

 それでも飽きないのは、フォギーの自虐的で客観的な一人称の描き方かも。

 作品全体を通じて、ジャズをはじめとする音楽の薀蓄で満たされているのも、センスのよさを感じさせます。

 音楽のことがわからなくても、楽しめるところがまたいいですね。

 お急がしの現代人にとって、何が起こっても、自分を客観的にほのぼのと眺められるフォギーの生き方は参考になると思いました。

 また傍から見ても、魅力的ですよ。


 …ということで、以上ベスト5のご紹介が終わりました。

 この中から、グランプリの一冊を選ぶのですか。

 そんなことして果たしていいのだろうかと思いつつ、どーせ素人だし、法律に違反するわけでもないから、いっちょやってやろうかなどと不遜な気持ちになる今日この頃。

 それでは、清水の舞台から飛び降りる気持ちになって、ビジベンが選ぶ「私が今年読んで面白かった小説大賞2006」は…

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ… ( ← ドラムの音?)

 
 浅倉卓弥さんの四日間の奇蹟に決定いたしました~♪

 グランプリを取っても何も出ませんし、かえって評価が下がったどうしてくれると言われても責任を負いかねますので念のため。

 理由ですか。

 やっぱし、読む前と読んだあとのいい意味でのギャップが大きかったです、この作品は。

 オイラ的には、医療に対するディティールがしっかり書き込まれていたのもポイントが高かったですね。

 プロットやネタが、既存の有名作家の作品に似ているという批判も多々あるみたいですが、登場人物の台詞回しのうまさと魅力は、日本の作家の中でも最高水準だと思いました。

 あとで聞いたら、執筆に一年以上を費やしたらしい。

 実際の執筆の倍の時間を推敲作業に費やしたとか。

 当時、素人だからできたのでしょうね。職業作家になると、ひとつの作品に7ヶ月間もかかりきりで推敲などできないでしょうから。

 作家が骨身を削った完成度の高い作品を、ポップコーンをつまみながら寝転がって堪能できるのが読書のいいところ。

 いや~、読書って、ホントに楽しいもんですね~。

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自分が、去年読んで面白かった小説ベスト5

 こんにちは。

 今年の冬はそれほど寒くないなと思ったら、ここに来て朝晩はグッと冷え込んできましたね。

 でも、子供の頃の記憶からすると、東京はもっと寒かったような。

 正月過ぎてから小学校に登校するとき、皆、吐く息が白くなっていたり、水溜りが凍っていたりして、よく転びました。

 去年の暮れから今年にかけて、氷はおろか、吐く息が白くなることもなかったです。

 ユニクロのエアテックコートだって、一度も着ていないのですよ。

 あれだけ苦労して覚えたヨン様巻きだって、もう忘れそうだし…。

 やはり、地球温暖化が確実に進んでいるのだと実感される今日この頃。

 おととしだったか、雪女の伝説は、東北の寒村ではなく、東京の青梅市が舞台だと聞いて驚いたのも、記憶に新しいところです。

 江戸時代は、青梅にも雪女が現れるくらい寒かったのですね。

 あと、何十年かしたら、冬に蚊取り線香やごきぶりホイホイのお世話にならなければいけないかも、と思ったのでした。


 さて、昨年、ノミネートまでしておきながら、発表がそのままになっていた「私が面白かった小説ベスト5 ( 2006年 )」。

 そろそろ書きませんと、読んだ本の中身を忘れてしまう。

 と言っても、ずいぶん前でしたから、何を読んだのかさえ忘れているのでした。

 ちなみにオイラが去年読んだ本をもう一度あげますと、以下のとおりです。


 1月
  龍臥亭事件(下)  島田荘司
  真田太平記 11  池波正太郎
  真田太平記 12  池波正太郎
  弥勒  篠田節子


 2月
  影武者徳川家康  隆慶一郎
  雨月荘事件  和久峻三
  エトロフ発緊急電  佐々木譲
  絆  小杉健治


 3月
  マレー鉄道の謎  有栖川有栖
  終戦のローレライ  福井晴敏


 4月
  生きる  乙川優三郎
  山妣  坂東真砂子


 5月
  石の中の蜘蛛  浅暮三文
  四日間の奇蹟  浅倉卓弥
  片想い  東野圭吾


 6月
  孤島パズル  有栖川有栖
  いま、会いにゆきます  市川拓司
  ネバーランド  恩田睦
  反自殺クラブ  石田衣良


 7月
  渇きの町  北方謙三
  背いて故郷  志水辰夫
  胡蝶の夢 (4)  司馬遼太郎


 8月
  大誘拐  天藤真
  天山を越えて  胡桃沢耕史
  対岸の彼女  角田光代


 9月
  深重の海  津本陽
  天使のナイフ  薬丸岳
  鳥類学者のファンタジア  奥泉光


 10月
  古代天皇の秘密  高木彬光
  暗黒館の殺人(上)  綾辻行人
  暗黒館の殺人(下)  綾辻行人


 11月
  自家製文章読本  井上ひさし
  真説宮本武蔵  司馬遼太郎
  千曲川のスケッチ  島崎藤村
  ダヴィンチ・コード(上)  ダン・ブラウン
  ダヴィンチ・コード(下)  ダン・ブラウン

 
 12月
  幕末  司馬遼太郎
  傷ついた野獣  伴野朗
  私家版日本語文法 井上ひさし



 うぬぬ、この中から5冊というのはホントに難しいっす。

 世界的ベストセラーをはじめ、巨匠や直木賞、推理作家協会賞受賞作が目白押しですからね。

 プロだったら、こんな神をも恐れぬ所業はできないかも。

 やはり素人はいいと思いました。
 
 それはともかく、上記の本の中から独断と偏見で、オイラが去年読んで面白かったベスト5を選ぶと次のようになります。

 ちなみに読んだ順番ですよ。


● 終戦のローレライ  福井晴敏

● 四日間の奇蹟  浅倉卓弥

● 対岸の彼女  角田光代

● 深重の海  津本陽

● 鳥類学者のファンタジア  奥泉光



 もちろん、去年ブログで取り上げたダヴィンチ・コードは期待にたがわぬ面白さだったのですが、それ以上に上記の5作品が面白かったというか、印象に残ったというか。

 ほかにも、去年読んだ中で、上記の作品に勝るとも劣らないくらい面白い作品はありました。

 たとえば、「雨月荘事件  和久峻三著」は、新しい試みのミステリー作品として素晴らしかったです。

 裁判記録ファイルそのものを、元裁判官が講師を務める「市民セミナー」の講義にそって読み進めるという魅力的な趣向。日本のミステリーでは例を見ない形式だそうな。

 読者は実際に裁判を傍聴し、参加しているような気分になる。

 もうすぐ陪審員制度がはじまるみたいだから、その前に全国民はこの本を必読のこと、なんて法律が改正されたりして。

 そのときの購入費は、もちろん公費でお願いしたいところですが…。

 実際の裁判と同じように、公判調書には起訴状、公判調書、証拠等関係カード、実況検分調書、証人尋問調書、逮捕状、弁解録取書、勾留状、供述調書、解剖結果報告書、鑑定書、被告人供述調書等、必要な書類がすべて収められ、しかも最後のどんでん返し部分は袋とじ。

 ちなみに、この本が日本推理作家協会賞受賞作なのは異論のないところです。

 リアルミステリーの好きな方は是非どうぞ。

 それから、「山妣  坂東真砂子著」も、一風変わった独自の世界を持っている小説でした。

 明治末期、東京からやって来た旅芸人が静かな越後の山村に嵐を巻き起こした。その男の肉体に隠された秘密、そして地主の若夫婦との間に芽生えた密やかな三角関係が、伝説の中から山妣の姿を浮かび上がらせる。明らかになっていく山妣の凄絶な過去。そして熊狩りの日、山神の叫ぶ声が響き、白雪を朱に染める惨劇の幕が開いた―。

 …と紹介文にある。

 書評を読むと、ホラー・伝奇小説の枠を破ったとあるけれど、確かにそのジャンルには収まらない。

 それほど怖くはないし、伝奇というほど古めかしくはない。生きるということの悲しさみたいなものを痛切に感じさせてくれる小説と感じましたね。

 正直言うと、この小説のテーマがよくわからないのですよ。

 ひと言でいうと、心の奥の部分に溜まるものがあって、それがなかなか取れなくて妙にセンチメンタルな気分になる。

 ただ悪い気分ではありませんので、念のため。

 ちなみに直木賞受賞作なのでした。

 それからもう一冊。

 「天山を越えて   胡桃沢 耕史著」

 こちらも推理作家協会賞受賞作だけあって、ミステリーの枠組みを備えています。

 最後でそれがわかるのですが、それを書くとネタばれになるのでこの辺で。

 でもこの作品は、ミステリーというより冒険ものですね。

 特に旧満州からモンゴルや旧ソビエトと接する中国奥地までらくだに乗って延々と苦しい旅をするシーンのリアル感はなかなかです。

 著者自身も、戦争中は中国で苦しい思いをしたようなので、その小さなエピソード一つひとつに惹きつけられました。

 「アラビアのロレンス」の映画の砂漠のシーンだけ忘れられないように、天山の砂漠のシーンはきっとこれからも頭に残りそうです。

 …と言いながら、ベスト5以外の作品に触れていたら、長くなりすぎてしまいました。

 これからベスト5の感想と、この中から、「私が、今年読んで面白かった小説大賞2006」を発表していたら、とんでもなく長くなりそう。

 なので、去年の総決算は、また次回に発表いたします。

 さて、皆さんだったら、どの作品を大賞に選びますか?

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私が、去年読んで面白かった小説大賞ノミネート作品発表!

 あけましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いいたします。

 さて、今年最初のブログですが、去年の今頃の時期は、「私が、今年読んで面白かった小説ベスト10」のネタを書いたのでした。


 ちなみに去年のベスト10は

 ● この国のかたち 司馬遼太郎著

 ● 空中ブランコ 奥田英朗著

 ● クライマーズハイ 横山秀夫著

 ● 亡国のイージス 福井晴敏著

 ● 真田太平記 池波正太郎著

 ● 世界の中心で、愛をさけぶ 片山 恭一

 ● 歳月(上・下) 司馬遼太郎

 ● 火天の城 山本兼一

 ● ワイルド・ソウル 垣根 涼介

 ● 邂逅の森 熊谷達也

         (順不同)

 …でした。

 ランキングをつけようと思ったのですが、ジャンルが違うし、エンタテイメントか学術的興味か、など視点の置き方によってなかなか順位がつけられない。そこで、アトランダムに10作品を選ばせていただきました~。
  

 ちなみに、おととし読んだ本を調べてみると、全部で62冊。

 去年は、39冊しか読んでおりませぬ。

 もっともおととしは、真田太平記全12巻とこの国のかたち全6巻で荒稼ぎした感はあります。

 本を読む時間が少なくなっているのは、仕事が忙しかったからなのですが、本大好き人間としては素直には喜べない部分もあります。
 
 さて、去年読んだ小説は、以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。


1月
  龍臥亭事件(下)  島田荘司
  真田太平記 11  池波正太郎
  真田太平記 12  池波正太郎
  弥勒  篠田節子


2月
  影武者徳川家康  隆慶一郎
  雨月荘事件  和久峻三
  エトロフ発緊急電  佐々木譲
  絆  小杉健治


3月
  マレー鉄道の謎  有栖川有栖
  終戦のローレライ  福井晴敏


4月
  生きる  乙川優三郎
  山妣  坂東真砂子


5月
  石の中の蜘蛛  浅暮三文
  四日間の奇蹟  浅倉卓弥
  片想い  東野圭吾


6月
  孤島パズル  有栖川有栖
  いま、会いにゆきます  市川拓司
  ネバーランド  恩田睦
  反自殺クラブ  石田衣良


7月
  渇きの町  北方謙三
  背いて故郷  志水辰夫
  胡蝶の夢 (4)  司馬遼太郎


8月
  大誘拐  天藤真
  天山を越えて  胡桃沢耕史
  対岸の彼女  角田光代


9月
  深重の海  津本陽
  天使のナイフ  薬丸岳
  鳥類学者のファンタジア  奥泉光


10月
  古代天皇の秘密  高木彬光
  暗黒館の殺人(上)  綾辻行人
  暗黒館の殺人(下)  綾辻行人


11月
  自家製文章読本  井上ひさし
  真説宮本武蔵  司馬遼太郎
  千曲川のスケッチ  島崎藤村
  ダヴィンチ・コード(上)  ダン・ブラウン
  ダヴィンチ・コード(下)  ダン・ブラウン

12月
  幕末  司馬遼太郎
  傷ついた野獣  伴野朗
  私家版日本語文法 井上ひさし


 
 こうしてあらためて見ると、去年もやはり濫読ですね。

 図書館に推理作家協会賞受賞作の全集が入ったので、それを中心に借りていた時期がありました。

 それから、直木賞や乱歩賞の受賞作も多い。

 ダヴィンチ・コードは、借りられるまで1年も待ったので、完全に旬を過ぎてしまった感も無きにしも非ず。

 ベストセラーになる本の共通点は読みやすいことでしょうか。横文字の登場人物だと、名前がみんな一緒に見えてこんがらがるという宿命の弱点を背負ったオイラでも、すらすら読むことができました。

 それにしても暗号物って、ツボに入ると面白い。暗号が解読されるまで、興味深く読み進めることができますからね。

 これがダヴィンチという世界的にメジャーな人物にまつわる話だというのもベストセラーの大きな要因だと、どこぞの新聞に書いてありました。確かに仰るとおり。

 ビジベン・コードだったら、発売する前から返本、裁断を余儀なくされていたことでしょう。

 キリスト教に基づく歴史的な変遷はとても興味深かったです。世界史は、高校時代の世界史の先生がひどかったので嫌いになってしまったのですが、世界的なミステリーを楽しく読むためにも、しっかり勉強しておいたほうがいいかも。

 ミステリー面での構成は、一応水準に達していると思いました。でも、ここまで大ヒットするような意外な展開があったかどうかと思うのですが…。

 やはり大ヒットの要因は、ダヴィンチ様とキリスト様のおかげかもしれませんね。それに暗号ミステリーをからめた着想の良さに尽きるような気がします。

 ところで日本にも、これと同じくらい面白い暗号ミステリーの傑作はありますよ。

 以前、ブログのネタにしたこともある「猿丸幻視行」。

 日本史の好きなオイラとしては、これ以上面白い暗号ミステリーの傑作にはまだ出会っておりませぬ。

 これはミステリーと呼べるのかどうかわかりませんけど、もう少しアカデミックな形で暗号解読の面白さを味わうなら、「人麻呂の暗号」なぞいかがでしょう。

 こちらは、構成の仕方が秀逸。

 それはともかく、今年も「私が、去年読んで面白かった小説ベスト10」を神をも恐れず書いてみたいと思います。

 去年は読んだ本が少なかったから、ベスト5ですね。

 …と思って、読んだ本のリストを眺めていて、ダントツの1位に輝いた作品があるのでした。

「私が、去年読んで面白かった小説大賞」とも言える作品。

 ちなみに、「ダヴィンチ・コード」ではございませぬ。最初から面白いだろうと思って読んだので、意外性という面で損した側面もありますが。

 この作品は、読む前は全然期待していなかったのです。

 借りるものがなくて仕方なく借りたというか。

 それが完全自己チューランキングトップ1に輝くのだから、児玉清さんもびっくり!

 さて、それはどの作品か。発表はまた次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?

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今年読んで面白かった小説ベスト5( 平成17年下半期 )

 こんにちは。

 今年も残すところ、あと数時間となってしまいました。 

 さて、先日、ノミネートまでお送りして発表がそのままになっていた「私が面白かった小説ベスト5 ( 2005年下半期 )」。

 そろそろ書きませんと、年が変わってしまいそう。

 と言っても、ずいぶん前でしたから本人も何を読んだのか忘れてしまいました。

 ちなみに私が今年の下半期に読んだ本を、もう一度あげますと以下のとおりです。

 
7月

 この国のかたち 1 司馬遼太郎
 この国のかたち 2 司馬遼太郎
 空中ブランコ 奥田英朗
 この国のかたち 3 司馬遼太郎
 この国のかたち 4 司馬遼太郎

8月

 真田太平記 1 池波正太郎
 真田太平記 2 池波正太郎
 真田太平記 3 池波正太郎
 真田太平記 4 池波正太郎
 真田太平記 5 池波正太郎
 真田太平記 6 池波正太郎

9月

 この国のかたち 5 司馬遼太郎
 この国のかたち 6 司馬遼太郎
 クライマーズ・ハイ 横山秀夫
 即身仏の殺人 高橋克彦
 ななつのこ 加納朋子

10月

 オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎
 Pの密室 島田荘司
 暗殺の年輪 藤沢周平
 博士が愛した数式 小川洋子
 胡蝶の夢 (1) 司馬遼太郎

11月

 胡蝶の夢 (2) 司馬遼太郎
 胡蝶の夢 (3) 司馬遼太郎
 亡国のイージス 福井晴敏
 なんとなくクリスタル 田中康夫
 100億稼ぐ仕事術 堀江貴文

12月

 顔 (FACE) 横山秀夫
 真田太平記 7 池波正太郎
 真田太平記 8 池波正太郎
 真田太平記 9 池波正太郎
 真田太平記10 池波正太郎

 ちなみに今読んでいるのは、島田荘司の「龍臥亭事件」。

 いくら歴史小説が好きだといっても、さすがに真田太平記4レンチャンでは少しきついので、肩の凝らないミステリーをコーヒーブレイクに読んでいます。

 まだ読み始めたばかりですが、期待にたがわぬ面白さですよ。

 それはともかく、上記の本の中から独断と偏見でベスト5を選ぶと次のようになりました。

 ちなみに読んだ順番です。

● この国のかたち 司馬遼太郎著

 この本は、夏頃に日記のネタで大変お世話になりました。司馬遼太郎は、小説はもちろん面白いのですが、司馬氏独特の「余談」部分を切り取っても、それ以上に面白い。

 この本は、その余談部分を独立させた本と言ったらいいでしょうか。

 太平洋戦争や吉田松陰の教育論など、多くの方たちからコメントをいただきました。

 司馬氏の歴史の見方、考え方は、いつまでも古くならない。逆に今の時代に生きている私たちが、昔の人たちに教えられる部分がこれほど多いのかということに驚かされます。

 我々は、自分たちが思っているよりメンタルな面で進歩していないのではないかと考えさせられましたね~。

● 空中ブランコ 奥田英朗著

 この作品は、「邂逅の森」の熊谷達也と直木賞を同時受賞した作品ですね。テレビドラマにもなった作品。ぶっとび精神科医とぶっとび看護師の取り合わせに驚かされ、素直に面白かったです。

 彼らのもとを、ストレスに悩むさまざまな患者が訪れて診察を受けるのですが、診察の模様がありえね~。

 逆に主人公の医師と看護師のほうが診察をうけたほうがいいくらい。でも意外と違和感なく受け入れられたのは、精神科に対するこちらの知識が浅いからでしょうか。

 本気で治療していると思えないのに、結果オーライで治療してしまっているのは皮肉な話ですね。

 でも、こういう作品を直木賞にするということ自体、変わっている。面白いからいいですけど。

● クライマーズハイ 横山秀夫著

 この作品は、横山秀夫の代表作ではないと思いますが、どうしても横山秀夫を入れたかったです。

 それにしても、すごいペースで本を出している作家ですが、どれを読んでも手抜きがない。

 まさに職人としてのこだわりが感じられますね。

 12月に読んだ顔 (FACE)は、それほどではないだろうと思って読んだのですが、これも面白い。さすがです。

「クライマーズハイ」は、最近、テレビドラマでもやっていましたが、新聞社の紙面づくりにかけるプロ意識とノウハウがわかって勉強にもなりました。

 それにしてもプロットの作り方のうまさがこの作品には顕著に現れていますね。

● 亡国のイージス 福井晴敏著

 この作品も、「ワイルド・ソウル」同様、メジャーなエンタテイメント部門の賞を3つも取った作品。映画化もされ(ちなみに映画はまだ見ていませんが)、小説の評判も上々なのはわかっていましたが、期待以上に面白かったです。

 とくに中盤のどんでん返し。さすが乱歩賞出身ですね。中盤まではミステリー的な要素もあるのですが、そのあとは海洋冒険小説一直線。

 さまざまなトラブルが次々に起き、絶対的に不利な立場の主人公が困難を一つひとつ乗り越えて形勢を逆転して行くあたり、映画の「ダイハード」や真保裕一の傑作「ホワイトアウト」を髣髴とさせる面白さ。

 少し違和感があったのはラストですかね。少し説明しすぎのような。ちょっとありえないシチュエーションもあったし。それを割り引いても、傑作なのは間違いありませんが…。

● 真田太平記 池波正太郎著

 司馬遼太郎の「胡蝶の夢」とどちらにしようか迷ったのですが、すでに「この国のかたち」をあげていますので。

 何といっても全12巻。まだ10巻しか読んでいませんが、量はもちろん質もいいです。

 ただどちらかというと、以前、NHKのドラマで見た「真田太平記」のほうが面白かったかも。

 オイラの場合、大抵、テレビや映画より本で読んだ方が面白いんですけどね。たとえば、横溝正史などのミステリーは、絶対本のほうが面白い。

 丹波哲郎の真田昌幸や渡瀬恒彦の真田信之、徳川秀忠役の中村梅雀は適役でしたね。

 でも絵になりやすい真田幸村ではなく、己の意思を消し、家を守ることに専念したどちらかと言うと絵になりにくい兄の真田信之を主人公に据えた点は斬新だと思いました。

 時代の波に乗って大きく発展したものの、経営戦略に失敗して華々しく散るベンチャー企業より、大企業の狭間にあって、目立たないけれど、地道に長く存続してゆく中小企業のほうが実際、大変なのではないかということを連想しました。

 今年はいろいろお世話になりました。

 来年も細々と続けて行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは皆様、よいお年を。

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今年読んで面白かった小説 ベスト5 (下半期)

こんにちは。

 今日は、先日お送りした「私が面白かった小説」の下半期ベスト5をお送りしたいと思います。

 と言っても、まだ今年は終わっていないのですよね。

 大晦日のレコード大賞の発表にこの企画をぶつけようかと思いましたが、それほどのものでもありませんし…。

 それにしてもレコード大賞はどうなっちゃうんでしょうね。

 学生時代は、だれがレコード大賞をとるか、だれが新人賞をとるかで賭けをしました。

 …とはいっても、掃除当番を代わってあげるとか、持っている本やレコードをあげるとかいった可愛いレベルでしたけど。

 オイラは、ホント、見事に当たらなかったですね~。

 五木ひろしや森進一、布施明などその年に活躍して前評判の高かった歌手が大抵受賞するのですが、いつも穴馬ばかりを狙うから。

 ただ本人は穴馬を狙っている気はさらさらなくて、本当に一番だと思っているから始末が悪い。

 冷静に考えてみれば、大抵わかるんですけどね。

 今考えてみても、自分のアホさ加減に腹が立ちます。

 でも、最優秀歌唱賞は予想するのが難しいんですよ。

 和田アキ子がもらったとき、なぜだ~と絶句したのを覚えています。

 テレビを見ていたら、会場にいた人たちも、ええ~?と驚いたのがわかりました。  

 ただ、当時受賞したほとんどの歌手が第一線から離れてしまった現在、和田アキ子を選んだ審査員の先見性には敬意を表しますが…。

 中学、高校で自分は賭け事に向いていないとあきらめたのか、その後、一度も競馬や競輪をやったことがありません。

 それがよかったのか悪かったのか、どうなんでしょうね。

 それはともかく、本の話。

 私が2005年の6~12月に読んだ本は以下のとおりです。

 司馬遼太郎や池波正太郎のシリーズものを読んでいますので、冊数は多いですが、種類はさほどではないのかも。


7月

 この国のかたち 1 司馬遼太郎
 この国のかたち 2 司馬遼太郎
 空中ブランコ 奥田英朗
 この国のかたち 3 司馬遼太郎
 この国のかたち 4 司馬遼太郎

8月

 真田太平記 1 池波正太郎
 真田太平記 2 池波正太郎
 真田太平記 3 池波正太郎
 真田太平記 4 池波正太郎
 真田太平記 5 池波正太郎
 真田太平記 6 池波正太郎

9月

 この国のかたち 5 司馬遼太郎
 この国のかたち 6 司馬遼太郎
 クライマーズ・ハイ 横山秀夫
 即身仏の殺人 高橋克彦
 ななつのこ 加納朋子

10月

 オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎
 Pの密室 島田荘司
 暗殺の年輪 藤沢周平
 博士が愛した数式 小川洋子
 胡蝶の夢 (1) 司馬遼太郎

11月

 胡蝶の夢 (2) 司馬遼太郎
 胡蝶の夢 (3) 司馬遼太郎
 亡国のイージス 福井晴敏
 なんとなくクリスタル 田中康夫
 100億稼ぐ仕事術 堀江貴文

12月

 顔 (FACE) 横山秀夫
 真田太平記 7 池波正太郎
 真田太平記 8 池波正太郎
 真田太平記 9 池波正太郎
 真田太平記10 池波正太郎

 この中から、ベスト5ですか?

 シリーズで読んでいる作品は有利ですよね。「真田太平記」の文庫本は全12巻ですが、そのうちの10冊も読んでいる。

 司馬遼太郎の「この国のかたち」は6冊も。

 これはちょっと1冊の本とは比べられませんよね~。

 それに、「なんとなくクリスタル」を今頃読んでいるオヤジは珍しいかも。

 ところで、ホリエモンの本って、小説?

 自分の読書傾向に自ら突っ込みを入れていても仕方がない。

 また独断と偏見で、無理に選ぶと次の5冊でいかがでしょうか。

 …と思いましたが、長くなりましたので、それは次回。

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今年読んで面白かった小説 ベスト5 (上半期)

 こんばんは。

 おお、寒いっす。

 今日食べた豚汁定食では、さすがにこの寒さはしのげませんでした。

 やはり明日は、海鮮チゲを食べるべきか。

 しかし、なんと言っても、寒さ防衛の最終兵器ですからね、チゲは。

 ここで伝家の宝刀を抜いていいものなのかどうか悩む今日この頃です。

 これからもっと寒くなりそうだし…。

 マッチ売りの少女も、海鮮チゲ、そしてユニクロのエアテックコートがあれば、あんな悲劇が起こらなかったかもしれません。

 それはともかく、今年の1~6月に読んだ本の中からベスト5を選ぶのでした。

 この寒さのなか、選考は熾烈を極め、頭の中がショートしたみたいで火花が散っています。

 メジャーな賞の受賞作だったり、ベストセラーだったり、いろんな書評を読んだりして選んだ作品ばかりなので、つまらない作品というのはあまりなかったです。

 でも、たま~に、芥川賞受賞作や人気作家がやっつけ仕事で書いた作品の中に、なんじゃこりゃ~と思う作品が無きにしも非ず。

 ほかには、時代のトレンドにもなっている作風について行けないオイラの感受性の鈍さとか。

 たとえば、「○○入門」とか「○き○き大○き超○してる」。そして、若い人たちから絶賛されているらしい○坂○太郎も、なんかもよくわからない。

 こういうタイプの本を絶賛して読んでいる若い人たちとの間に溝ができてしまったようで、一抹の寂しさを感じますな。

 わからないけど、一応トライしてみようとする積極性は買って欲しいのですけどね~。

 それはともかく、こんな私でも、これは面白いと思った作品がたくさんありました。

 順位をつけようと思ったのですが、タイプが違うので順位がつけられません。

 読んだ順に、ベスト5を選ぶと次のような感じでしょうか。

 あくまで自分が読んで面白かったというだけの基準です。もちろん、たぶんに独断と偏見が入っていますので念のため。

● 世界の中心で、愛をさけぶ 片山 恭一

 作者が同年代なので、むしろ古風な香りのする作品ですね。マンネリという批判もあるようですが、言葉の一つひとつが美しい。個人的には、村上春樹の「ノルウェイの森」をはじめて読んだときのことを思い出しました。病気の女の子と彼女に思いをはせる男の子というシチュエーションは同じですね。まさにメロドラマの定番。

 
● 歳月(上・下) 司馬遼太郎

 明治の元勲、江藤新平を主人公にした司馬さんお得意の幕末英雄伝ですね。司馬作品にしてはあまり有名ではなかったので、ワンランク落ちるのかなと最初思いましたが、どうしてどうして。
 有名な「花神」「世に棲む日日」「峠」に匹敵する傑作です。江藤新平の波乱万丈の生涯は、坂本竜馬や高杉晋作、西郷隆盛、大久保利通、大村益次郎の生涯にひけをとりません。清廉潔白な人柄が墓穴を掘るという人の世の皮肉さは、今も昔も関係ないのですね。

● 火天の城 山本兼一

一口で言うと、安土城の築城を請け負う大工の総棟梁が、さまざまな困難に直面しながら城を完成させるまでのストーリー。伏線として、父と子の葛藤や仲間同士の軋轢、仕事にかける職人の意地みたいなものが織り込んである。
 興味深いのは、当時の築城の技術的な面が、職人の視点で細かく書かれていること。こういう切り口で書かれた、戦国の歴史小説は今まで読んだことがありません。書棚にある安土城の図面や航空写真と見比べながら、自分が安土城を作る職人の気分になって一気に読みましたね。
 

● ワイルド・ソウル 垣根 涼介

 メジャーな賞を3つ取ったということで読んだ作品。長いです。ブラジル移民の苦労を書いた冒頭の部分は読み応えがあります。かなりリアリティがあると思ったら、作者は現地で数ヶ月に渡って取材したとか。やっぱり行かないとこの雰囲気は出せないのかも。
 事件は日本を舞台にして起こるのですが、私がよく行く場所が出てくるので別な意味で楽しめました。作者も当然、下見に行ったのでしょうね。どっかですれ違っていたかもしれない。

● 邂逅の森 熊谷達也

 これは言わずと知れた直木賞受賞作。なかなか一般人にとって、マタギの世界というのは実感として理解できない部分があるのですが、この作品を読むとバーチャルリアリティのごとく体験できるかも。
 この作者も冬山をさんざん歩き、長期間マタギと寝起きを共にして、この作品を書いたとか。

 人間の一生は限られたもの。とてもいろんな経験をしたくても限界がありますよね。本を読めば、いろんな人生、いろんな場面を体験できる。

 やはり、いいですね~、本は。

 

 横山秀夫の「臨場」「影踏み」は、ワイルド・ソウルとどちらを入れようかと争ったのですが、物語のスケールで後者に軍配があがりました。でも、総合力はもちろん横山秀夫のほうが上でしょう。

 ちなみに、横山秀夫著「臨場」の書評は、以下のとおりです。

○横山秀夫著「臨場」

 やっぱり、うまいな~。短編という限られたページ数で、きっちり起承転結をつけ、しかもホロリとさせる部分もある。無駄がないリアリティー。
 カッチリし過ぎて、遊びがない部分が窮屈だという人もあるけれど、それもこの作家の大きな個性だと思う。遊びがない分、毎回、アイデア勝負となる。

 そのアイデアが、それぞれ秀逸で、よく同じ人の頭からこんなにアイデアが出てくるなと感心しますよ。

 村上春樹は大好きな作家の一人ですが、今回は他の作品に譲ったという形です。でも、今まで読んだ中でつまらなかった作品がひとつもないのはすごいですね。それほど多作というわけでもなく、厳選した作品を世に出しているということでしょうか。

 それから、今あえて本格ミステリーで勝負しようとした、「硝子のハンマー」の貴志祐介も捨てがたい魅力はありました。

 ちなみに、以前、「硝子のハンマー」について書評を書きましたね。

 ついでと言ってはなんですが、もう一度載せさせていただきます。

○ 硝子のハンマー 貴志祐介

 あの名作「黒い家」を書いた著者の本格ミステリー。

 途中まで、すごく面白かった。やはりミステリーなので、あらすじを細かく書けないんだけど、企業のセキュリティーがすごく細かく書き込まれていてリアリティーがある。

 本格モノって、トリックや謎に力を入れ、そこから物語を作っていくことが多いから、どうしても現実にはありえないようなシチュエーションになる場合が多い。まあ、それはそれでおとぎの世界の話として考え、素直に謎解きを考えられるから好きなんですが。

 途中まで読んでいて、これはまぎれもなく★四つの評価だなと思った。ただ最後の種明かしのところでちょっと作者の辻褄あわせのような苦しさも感じられて、惜しい~と★半分のマイナスと自己チュー評価させていただきました。

 でも、相当セキュリティーには細かく触れていて、その方面の知識を得られるだけでもこの本は「買い」ですな。

 ちなみに作者の出世作、「黒い家」は厳しく評価しても、四つ★評価以上なのは間違いありません。

 作品の作り方として、まず今まで考えられてこなかった密室殺人事件を作ろうとして、次にその方法論をいろいろ考え、それに対するシチュエーションや道具立てを組み込んで行ったのかもしれませんね。

 しかし、ちょっと不自然な道具が中にあったと思う。それにこれだけの長編にしては、トリックがちょっと小粒で、謎もそれほど読者をひきつけるにしては弱かったのかもしれない。

 もっとも短編のトリックで、ここまで面白く引っ張るんだから、作者の筆力はすごいと思えますね。

 
 なんか、次点の作品の書評のほうが長くなっちゃいました。

 平成17年下半期のベスト5は、年内に発表させていただきます。

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面白かった小説 ベスト5 平成17年上半期

こんにちは。

 いよいよ平成17年も残り2週間を切りましたね~。

 昨日は、パソコンで年賀状を作っていました。

 今はパソコンがあるから年賀状作りが簡単。

 昔は、年賀状を作るのも大変でした。

 わりと凝るたちなので、学生時代は一枚一枚手書きのイラストを書いていたのですよ。

 今より出す量は少なかったのですが、それでも書き終えるのに一週間近くかかったのを覚えています。

 中には、相手の同級生をからかった4コマ漫画もあったりして。

 正月開けに学校へ行ってから、正月早々やめてくれよ、と言われました。

 何でも、家族全員から、その年賀状をネタにして笑われたとか。

 何を書いたのか、あまり覚えていないのですが…。

 それはともかく、年が変わると手帳も新しいのに変えなければいけない。

 さっそく、来年用の新しい手帳を買ってきました~♪。

 オイラがここ数年使っているのは、能率手帳のウィック7。

 普通の手帳ですし、使い方も、ごくオーソドックスです。

 手帳っていうのは、使っているときはもちろんですが、年が終わってからもあとで読み返すと面白いですね。

 5年分の手帳を用意して、過去の同じ日に何をしていたかを比べてみると、新たな発見があったりする。

 数年前の自分と今の自分を比べてみて、成長しているか、はたまた後退しているか、わかります。

 また、あのときは大変だったけど、今思い返してみたら、大した悩みでもなかったじゃん、みたいなこともわかる。

 自分を客観視する上においても、手帳は有効利用できるのでは。

 さて、オイラの手帳利用法の唯一のオリジナルといえば、読書目録みたいなものを書いていることですかね。

 4年前からはじめたのですが、これがなかなかいいです。

 子供の頃から本を読むのが好きだったので、生まれてからどれほど本を読んだかわかりません。

 数年前、一度読んだ本を買ってしまったことがあって、これはいかんと本の名前を手帳に控えることにしました。

 せっかくだから、読んで面白かったかどうか、五つ星で評価することにしたんですよ。

 これも文学賞の選考委員になったような気分になって楽しめる。

 本は面白いんだけど、作家の性格が嫌いだから三ツ星だな、みたいな。

 …ということで、今日は、オイラが今年読んだ本の中で、面白いと思った小説ネタで行こうと思います。

 題して、「ビジベンは、こんな本を読んできた。2005年上半期」。

 上半期があるなら、当然、下半期もあります。それはまた、いずれ。

 今日は、私が今年の1~6月までに読んだ本ですね。

 読んだ小説は、以下のとおり、しめて34冊。

 このほかにもビジネス書を結構読んでいるので、かなりの活字中毒かも。

 まとまった時間がとれないので、電車や食事のときなど細切れの時間を利用して読むことが多いですね。

 それと、読みなれているからスピードも早いような気がします。

 図書館で借りた本がほとんどですが、なぜか日本人作家の本が多いのが特徴ですかね。

 最近、外人の登場人物の名前が覚えられなくて…。

 以下の本の中で、唯一最後まで読めなかったのが、「刑事の誇り」。

 ミステリーとしての評価の高い本ですが、なぜか横文字の登場人物の名前が全部同じに見える。

 あの名作、「薔薇の名前」を最後まで読めなかったミステリーファンは、もしかしてオイラだけなのでは。

 外人のプロレスラーの名前は、すぐ覚えられるのですが…。

 それはともかく、今年の上半期に読んだ本は以下のとおりです。発売された時期ではありませんので、念のため。

1月

 GOTH 乙一
 推理短編六佳撰 北村 薫/ 宮部 みゆき/選
 重力ピエロ 伊坂 幸太郎
 刑事の誇り マイクル・Z・リューイン
 死の壁 養老 孟司
 バカの壁 養老 孟司
 池袋ウエストゲートパーク 電子の星 石田 衣良

2月

 好き好き大好き超愛してる 舞城 王太郎
 小説 蒲生氏郷 童門 冬二
 世界の中心で、愛をさけぶ 片山 恭一
 ハリガネムシ 吉村 万壱
 鬼平と出世 山本 博文

3月

 鬼平犯科帳 池波 正太郎
 ワイルド・ソウル 垣根 涼介
 文鳥・夢十夜 夏目漱石
 天と地と (上、中、下) 観音寺潮五郎

4月

 神の子供たちはみな踊る 村上春樹
 斜め屋敷の犯罪 島田荘司
 東京湾景 吉田修一
 火天の城 山本兼一
 臨場 横山秀夫

5月

 介護入門 モブノリオ
 硝子のハンマー 貴志祐介
 歳月(上・下) 司馬遼太郎
 7月24日通り 吉田修一
 脳ドックは安全か 山口研一郎

6月

 法月綸太郎の新冒険 法月綸太郎
 アフターダーク 村上春樹
 長崎乱楽坂 吉田修一
 影踏み 横山秀夫
 邂逅の森 熊谷達也

 こうしてあらためて見ると、結構濫読ですね。

 夏目漱石や司馬遼太郎、観音寺潮五郎があるかと思えば、若手ミステリー作家の乙一や伊坂幸太郎、舞城王太郎もあったりする。

 また女性ファンの多い、村上春樹や片山恭一、吉田修一もありで…。

 大きく分けると、歴史もの、ミステリー、直木賞受賞作やベストセラーなど時代のトレンドを代表する作品に読書傾向が偏っているみたい。

 この中から、ベスト5を選ぶんすか。

 自分で言っておきながら、難しいっすよ。

 今日一晩、考えてみます。発表は次回。

 ところで皆さんは、どの小説を選びますか?

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私が面白かった乱歩賞受賞作ベスト3

 こんにちは。  

 昨日、調子に乗って長く書きすぎたために、発表できなかった「私が面白かった直木賞受賞作ベスト3」。  

 本の書評を思いつくまま、内容のないまま、だらだら書くのは大好きなので、注意しなければ。  

 では、早速行きますよ。

● 第三位 『13階段』 高野和明著  

…この作品は、平成13年度の受賞作品ですか。へぇ~、年まで13という数字なのですね。  

 それはともかく、この作品はよく出来ていると感じました。本格ミステリーって、どうしても途中だれる傾向があるのですよ。  

 人物紹介とか、容疑者への警察や探偵の尋問とか。  

 しかしこの作品は、ノンストップ。 ジェットコースターに乗っているみたい。

 次から次へと事件が立て続けに起こってあきさせないですね。

 それに何といっても、死刑執行の期日が迫っているという緊迫感が全編にみなぎっています。  

 どんでん返しもあり、読み終わったときは、おぉ、近代まれに見る傑作じゃと思いました。

 著者は、映画の作り方をアメリカで専門に勉強したらしいですね。

 描写法とか、息もつかせぬ展開とか、地下室のメロディや太陽がいっぱいのような良質のミステリーアクション映画といった感じでした。  

 でもねぇ。これだけの作品が処女作ではちょっと気の毒な気もする。

 このレベルの作品は、作家が生涯に1つや2つ書ければいいほうでしょう。あとが大変だと思いますよ、この著者は。  

 頑張ってくださいね。期待しています。

● 第二位 『写楽殺人事件』  高橋克彦著  

…この作品は、確か、幻の絵師・東洲斎写楽の新説としても注目されたのではなかったのでしたっけ。浮世絵の薀蓄がまた興味深くて、歴史の謎解きと現代の殺人事件が味わえる趣向ですな。  

 著者は、浮世絵の研究者としても知られる人らしいですから、それもうなずけます。これはちゃんと自分で研究していなければ書けない内容でしょうから。  

 この作品は、一言でいってゴージャス。200年の歳月の壁を越えておこる二つの謎、そして二重三重の殺人。

 一粒で二度おいしい乱歩賞作品と言っていいでしょうね。

 もっとも歴史ミステリーが好きだというビジベンの自己チュー評価もあるんだけど、それを割り引いても、よくできている。

 あとで知ったのですが、この作品。

 本当はもっと長いミステリーだったのだそうな。それを乱歩賞の応募規定にあわせて縮小したのだとか。

 そう言われてみると、ちょっと筋立てがバタバタする感じがなきにしもあらず。  

 著者の高橋克彦さんは、先日の私のブログの記事、「私が面白かった直木賞受賞作」で、第5位に入りましたよね。直木賞と乱歩賞を違う作品でベスト5入りしたのですから、その力量のほどがわかります。  

 そのあとの「北斎殺人事件」でも推理小説協会賞。これまた面白かった作品ですね。  

 ほめてばっかりですが、先日読んだ、「即身仏の殺人」はつまんなかったな~。

 これだけすごい作家も、こういうつまんない作品を書くこともあるんだということがわかって、少し溜飲が下がりましたけど…。  

● 第一位 『猿丸幻視行』  井沢元彦著  

 おそらく、この著者のこの作品が第一位になるなんて、意外に思った方も大勢いらっしゃるんじゃないでしょうか。  

 最近はどうだかわかりませんが、ひと頃、著者はよく、テレビの歴史番組に出ていましたね。歴史の新説、独自の解釈を発表するのだけれど、あまりにも突拍子過ぎて、たまに大学の先生や専門家にやりこめられていた印象があります。  

 私も、この『猿丸幻視行』を読んで、この世の中にはこんな面白い歴史ミステリーを書く人がいるんだと感動し、他の作品を読んで失望した口でした。  

 著者が乱歩賞を受賞した年齢は、確か二十代の半ばだったと記憶しています。  

 若くして乱歩賞作家になったのですが、乱歩賞には大学時代から毎年応募し、5~6回目でようやく受賞したらしい。  

 その意味では、多くの失敗作を乗り越えて、この大傑作がある。  

 誰だか忘れましたが、この作品を評価した批評家が、「突然変異で、とんでもないミステリーの傑作を書き上げたものだ」と書いているのをどこかで読んだことがあります。  

 いろいろ試行錯誤してやっているうちに、素晴らしい仕事のアイデアや方法を思いついた経験は誰にでもあるはず。  

 …といっても、飛び切りに素晴らしいものは、人生のうちでそうあるものではありません。

 井沢元彦氏の場合、おそらく二十代の半ばで作ったこの作品が、人生最大の傑作となるのでしょう。  

 とにかく、歴史ミステリーでありながら、プロットが面白い。  

 探偵役は、国文学者・歌人・民俗学者として知られる折口信夫。しかし舞台は現代。

 そして折口信夫が、奈良時代後期か平安時代初期に生存した猿丸太夫の秘密を明らかにするストーリー。  

 完全に時代錯誤で、よくわかりませんよね。

 でも、読んでいくうちにこの荒唐無稽な話も説得力を帯びてくる。  

 とくに古歌の暗号解読に若き日の折口信夫が取り組む流れは、乱歩賞屈指の面白さ。

 それに現代で起きる殺人事件、古代で起きる奇想天外なトリックの事件がないまぜとなって、一体これを書いたときの著者はどんな頭の構造になっていたのかと驚かされました。

 トリックに関しては、少し子供だましの部分もありますが、ビジュアルとして考えたら壮大ですよ。  

 この作品を書いているとき、おそらく井沢氏に、ミステリーの神様が憑依していたとしか思えませんね。

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私が面白かった乱歩賞受賞作ベスト5

 こんにちは。  

 ところで今日は3連休の中日ですか。  

 あいにく雨が降っているので、外へ遊びにいけないのが残念。  

 おかげで読書の秋と行きたいところ。でも今月決算だからなぁ。  

 毎年、自分で決算書を作っているのですが、今年はいろいろ忙しくてまだ何の準備もしていない。  

 お金をもらうのではなく、出て行くための仕事するのはなかなかインセンティブが起きません。  

 まだ去年の仕訳もしていないし…。  

 それも腹が痛い要因かな。  

 それはともかく、今日取り上げるのは、私が読んだ乱歩賞受賞作品の中で面白かったベスト5です。  

 この乱歩賞。  

 正式には、江戸川乱歩賞と言って、上記の第3回からミステリーを対象とした一般公募形式の文学賞です。  

 いわゆる新人賞なのですが、脚本家の故野沢尚さんのように有名な人も大勢応募していますね。いわばミステリー作家として世に出たい人のための賞だといっていいと思います。

 ミステリーの文学新人賞としては老舗で、新人ミステリー作家の登竜門としてもっとも権威があるといっていいでしょう。  

 ビジベンは、昭和32年の第3回受賞作、仁木悦子の『猫は知っていた』 以降から現在までの受賞作のほぼ半分ぐらい読んでいるでしょうか。  

 私が乱歩賞の名前をはじめて知ったのは、昭和48年の第19回 『アルキメデスは手を汚さない』(小峰 元著)からです。  

 高校を舞台にしたミステリーであるということと、この特徴あるタイトルで、当時ベストセラーになりましたね。  当時の私は、中学生。  

 乱歩賞は、その年のミステリーの中で、もっとも面白い本に与えられる賞だと思っていました。  

 ところが買って読み、高校生の中絶や自殺といったショッキングな内容になじめなかったのを覚えています。  

 それで懲りたのか、乱歩賞受賞作を読む機会は当分ありませんでしたね。  

 考えてみると、乱歩賞作品を読み始めたのは、そう昔ではない。  

 ミステリーを書きたいと思った30歳代に、以下にあげるほとんどの本を読んだのでした。  自分としては、今の世相が読み解けるリアリティーあふれる作品で、少しミステリーっぽい味付けがなされていて、ノスタルジーのような感動が得られる作品が好きです。  

 さて、それでは「ビジベンが選んだ、完全自己チューの面白かった江戸川乱歩賞受賞作ベスト5」は、以下の通り決定いたしました。

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…(ドラムの音?)

● 第五位 『高層の死角』  森村誠一著  

… この作品を読んだのは、おそらく十年くらい前ですので、筋は大分忘れています。 もっとも、ミステリーの書評は、あまり筋を書いてはいけないので、かえってイメージだけのほうがいいのかもしれませんが…。  

 この本を読んだ印象は、著者が血液型A型気質だなということでした。本当のところはわかりませんよ。きっちりプロットが作られていて、定規で測ったようにストーリーが展開する。

 密室の作り方が独創的で、巨大ホテルの内部がリアル感いっぱいに描写されます。もともと森村さんは、ホテルマン出身だそうですね。  

 このトリックは、やはり現場で汗を流した人でなければ思いつかないかもしれません。  

 人物描写が問題だとか、登場人物が生き生きしていないとか、いかにも作り物の筋とか、いろいろ問題点は指摘されたみたいですが、やはりミステリーにおいて、細かい点まで破綻ないのは、素晴らしいと思います。  

 やはり、ミステリーマニアが読んでも、トリックや動機を納得させられるだけでもすごいことですよ。

● 第四位 『テロリストのパラソル』  藤原伊織著   

…ご存知、乱歩賞で唯一、直木賞と同時受賞を果たした作品ですね。  

 平成7年の作品ですから、それほど古くないですし、これと同じシチュエーションの事件が新宿で起きたのもまた記憶に新しいところです。  

 この作品の持ち味は、文体ですね。タイトで洒落た台詞回し。独特な表現力。たぶん、その辺が直木賞の選考委員に受けたのでしょう。  

 正統派のハードボイルドなんだけど、主人公があまりかっこよくないところが親近感を持てますね。  

 私がよく覚えているシーンは、冒頭付近で主人公が、ホットドッグを作るところ。実にうまそうに作るのですよ。  

 それにしても、つまみがホットドッグだけの飲み屋なんてあるのかなぁ。  

 それから、ホームレスのダンボールハウス。この著者、絶対、ホームレスと友達でダンポールハウスに寝泊りしたことありますね。それじゃなきゃ、こんなに細かく書けないですよ。

 ミステリーのトリックに関しては、ちょっと違和感がありましたけど。まぁ、それくらいマイナスポイントがないと、しゃくに障りますけれど…。  

 あれっ? これだけ書いてもまだ4位?  

 ちょっと今日中にベスト3を発表するのは厳しいかもしれない。   

…ということで、「私が面白かった乱歩賞受賞作ベスト3」は、明日の月曜日に発表させていただきます。

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近代日本を作ったほめ上手の秀才

 こんにちは。

 明日からまたしても3連休っすか。

 いいなぁ、サラリーマンは…。

 …と、ぶつぶつつぶやきながら、昼休みに食事に出かけました。

 最近、おいしい和食を食べさせてくれる店を見つけたのですよ。

 その店では、それだけしか注文しないお気に入りのメニュー。

 ザ・さんま定食です。ちなみに、700円。

 脂がのってふっくらとしたさんまで、焼き加減がまた最高。じゅーじゅー皮が音を立てている状態で目の前に出てくるのです。

 私の食べ方は、醤油をかけない。魚本来がもっている旨みをじっくり味わいながら大根おろしとともに食べるのが好きですな。

 しかも、内臓のまわりについている小骨も全部食べる。たまにのどに刺さりそうになりますが、かまわず食べる。頭と背骨は、周りの人が見て、いじきたね~と思うだろうから食べない。

 でも背骨もよく噛めば食べられるかもしれないぞ、と思うことがよくあります。試したことはありませんけど。

 だから私が食べたあとのさんまは、そのまま小骨抜きの骨格標本が作れるような状態。

 それにしても、最近、魚の食べ方の下手な人って多いですね。内臓どころか、小骨のあるお腹の部分を全部残してしまう人が多い。

 カルシウムとビタミンが一番豊富な部分なのにね。

 …と、食堂のカウンターに腰掛け、まわりで魚を食べるのが下手な人たちをせせら笑っている私でした。

 本当は、優越感を味わいたいだけだったりして。

 だって仕方ないですよ。ほかに自慢するものがないですからぁぁぁぁぁぁぁ~残念! (いかん、また流行遅れの波田陽区をやってしまった)

 それはともかく、先日やっと、司馬遼太郎の「この国のかたち」全6冊を読み終わりました。

 それを記念し、今日は予定を変更してお送りしようと思います。そういえば今までも、「上司の魅力とテゲの関係」や「戦争について考える」などいくつかブログで紹介させていただきましたね。

 司馬氏の歴史小説の魅力のエッセンスをわかりやすく解説してくれている本だと思います。

 それで今回、私が目に止まった箇所は、吉田松陰について書かれている第五巻です。司馬氏の作品でいったら、『世に棲む日日』ですね。

 吉田松陰は、皆さんご存知の通り、萩の私塾である松下村塾の先生。実際、そこで教えたのはわずか3年足らず。

 私はかつて山口県の萩市へ行って、松下村塾の建物を見たことがあります。確か、八畳二間と三畳間だけの小屋だったと記憶しています。

 まだ見たことのない人は、東京世田谷区の松陰神社の境内に、同じ大きさの松下村塾の建物が復元されていますので、お暇なときにご覧ください。あまりの素朴さに驚きますよ。

 そんな普通の寺子屋みたいなところから、高杉晋作、久坂玄瑞、前原一誠、伊藤博文、山県有朋、品川弥二郎といった長州革命派の名だたる人材を輩出した。

 こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、場所は萩という地方都市、しかも施設は普通の小屋。一見、どこにでもある寺子屋のような風情。

 どこが違っていたのかというと、やはり先生である吉田松陰の人格によるもの以外考えられないでしょう。

 吉田松陰といういかめしい名前から、ひげを生やした貫禄十分の中高年をイメージするかもしれませんが、実際教師として、子供たちを教えたときの年齢は、二十代の後半でした。

子供というのは、お兄ちゃんぐらいの年齢の先生が好きらしい。しかも長州藩きっての大秀才。

 松陰は、子供たちにとって明るいお兄ちゃんのような立場だったと司馬氏は書いています。松陰の人間的魅力と指導方針が多感な子供たちにプラスに作用し、優れた人材に育っていったらしい。

 武士の子供に対しても、魚屋の子供に対しても、同じ態度で接する。そして誰に対してもおそろしいばかりに優しい。それに師匠面をしない先生だったといいます。

 司馬氏も書いていますが、それ以上に松陰の指導法の特徴が、人材を大きく育てた一番の要因だったと思います。

 それは何か。

 私のブログでもさんざん取り上げてきましたから、何だまたかよ、しつこいなと思われるかもしれません。でも、ホントに司馬氏も、田舎の小僧たちが、天下を背負って立つような人材に育った要因と認めてくれているようなのです。

 それは、子供たちをほめること。

 司馬氏の本によると、そのほめ方は尋常ではない。

 たとえば久坂玄瑞。もともと優秀な子供だったらしいのですが、それにしても、「久坂玄瑞は、防長年少第一流の人物にして、もとより天下の英才なり」とほめる。(防長というのは、今の山口県のことです)

 その後本当に、そうなっていくのですが、当時は無名の年少者。その子供を、古典の中の大人物のように評価する。自分の尊敬する先生に、そうまで言われれば、よしやってやろうという気分になりますよね。

 松陰は、自分の生徒たちの長所をじつに的確に引き出してきて、それを天下一とか、防長一といって、途方もなく拡大して感奮させるところがあった。

 萩という地方都市の郊外の小さな私塾から、第一級の人物が次々と排出されたのは当然のような気がしますね。

 だって、誰もが長州藩始まって以来の大秀才と言われるお兄ちゃんから、天下一だの、防長一だのとほめられるんですから。

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司馬遼太郎の「この国のかたち」について考える2

こんばんは。

今日は終戦記念日。…なのですが、昨日と今朝、頑張って仕事したおかげで、AM10:00頃から夜まで時間的余裕ができました。

これは出かけるしかないと、お盆期間中、はじめての仕事以外の外出。

突然、ポッカリ時間が空いたので、どこへ出かければいいのか、まったく予定が立っていませんでした。

駅まで行って、切符を買おうとして、ふと思い立ったのが、埼玉県の大宮です。もう連想ゲームですね。

私の頭の中に、「お盆」というキーワードをインプットして、出てきた場所がなぜ埼玉県の大宮なのか。

とても懐かしく思いで深い場所なのですが、今回はその理由とは違います。

いまそれをここで書くと、「終戦記念日にお前はいったい何をやっとるんじゃ~」と怒られそうなので、その理由は明日書きます。

でもちゃんと正午には、大宮の氷川神社の境内で黙祷を捧げましたよ。テレビや新聞ではさかんに戦後60年を取り上げていますが、街の雑踏を見る限り、風化しつつあるのは避けられないような感じがしました。(←お前もだろ!)

さて今日は、この時間になってしまいましたが、戦後60年企画ブログの最終回です。

ところで司馬氏の著作の中で、太平洋戦争を扱ったものはあったでしょうか。今取り上げている「この国のかたち」のようなエッセイやコラムを除いて、小説では記憶にありません。

自ら戦争へ行き、いろいろ苦しい経験もされているのだから、さぞ素晴らしい長編小説が書けるだろうと思うのですが、案外どっぷりと生々しい現場を見てしまうと書けないのだとどこかで聞いた記憶があります。

「坂の上の雲」は、日清日露の戦争を題材にしたものですが、明治時代だと歴史小説だと割り切って、寝転がって読むことができる。しかし太平洋戦争を題材にしたものだと、とても寝転がって読む気にはなれない。居ずまいを正し、正座でもしないと読んでいて申し訳ない気分になります。

太平洋戦争は、過去の歴史というよりは我々にとってまだ近すぎます。政治や経済のようにいろいろな意見があって、それぞれ論争があるように、まだ歴史観として確立されていないような気がします。

司馬史観というものが、我々にとって一番なじみやすく、わかりやすいものである以上、それをベースにし、それに反する意見も含めて自分なりの戦争観というものを作り上げていければいいですね。

…と、長々とえらそーなことを書いてしまいましたが、さっそく昨日の続きです。

司馬氏の「この国のかたち」では、この点をどのようにとらえているか。

統帥権には、「帷幄上奏(いあくじょうそう)」という特権が、陸軍の参謀本部や海軍の軍令部に与えられていたそうです。

この意味。統帥に関する作戦上の秘密は、たとえば陸軍の場合、参謀総長が、総理大臣を通さないで、じかに天皇に上奏するというもの。

戦争のとき、作戦は機密を要するもの。これはわかります。

戦場で戦いが繰り広げられているのに、いちいち政府や議会に計っているわけにはいきませんし、そんな機密事項をもらすわけにもいかない。

第一、そんなことをしている時間がない。だから、これは戦争中の非常事態に関しては妥当な機能と言っていいでしょう。

 ただ、このことが昭和になると、平時の軍備についても適用されるという拡大解釈がなされるようになったそうです。

 司馬氏の「この国のかたち」には、その特徴的な事件として、浜口雄幸首相がテロに遭った例が書かれています。

 浜口首相は、昭和5年、海軍の反対を押し切り、ロンドン海軍軍縮条約に調印した。これを野党の政友会などから「統帥権干犯」として糾弾され、首相は同じ年の11月。東京駅で狙撃され、翌年、死去するに至る。

 以後、日本は滅亡への道を歩んで行く…。

 このころから統帥権は、他の三権(立法、司法、行政)から独立するばかりか、超越すると考えられ始める。そして、他の三権からの口出しも許さなくなっていった。

 国際紛争や戦争を起こすことについても、帷幕上奏権(いばくじょうそうけん)があるために秘密にそれを起こすことができた。

 しかも統帥権を持つ長、たとえば参謀総長は、天皇に対して輔弼(ほひつ)の責任を持つ。

天皇は、憲法上、無答責。ですから、統帥機関は、なにをやろうと自由になった。

 これ以後の満州事変、日中事変、ノモンハン事変などは、すべて統帥権の発動で起こったもの。

総理大臣は何も知らず、あとで知って驚くだけの滑稽な存在になってしまった。

 また、それらの戦争状態を止めることすらできなくなったのですよ。統帥権の「干犯」になるからですね。

 統帥権の憲法上の解釈については、大正末年ごろから、議会その他ですこしばかりは議論されたそうです。

 が、十分に議論されないまま、軍の解釈どおりになったのは、昭和10年の美濃部事件から。

 この美濃部さん。かつて東京都知事だった美濃部亮吉氏の父親です。と言っても、知らない人は結構いるでしょうね。独特の話し方で、真似をする人は多かった。山本コータローとハッピーエンドの「走れ、コータロー」にも物まねが出てきます。

 それはともかく、この美濃部事件。教科書にも載っていますが、憲法学者美濃部達吉氏が、「天皇機関説」の学説を持って、議会から糾弾された事件です。結果として、著書が発禁処分にされ、美濃部氏は貴族院議員を辞職する。

 美濃部氏の学説は、当時の世界ではごく常識的なもので、憲法をもつ法治国家は元首も法の下にある、というだけのことだったそうですけどね。

 それが議会で否定されることによって、以後、敗戦まで日本は、「統帥権」国家となった。

 こんなばかな時代は、長い日本の歴史にはない、と司馬氏は締めくくっています。

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司馬遼太郎の「この国のかたち」について考える

こんにちは。

外は暑いですね。しかし個人的には少し涼しい気分。

なぜかというと、今、恐怖におののきながらブログを書いているからです。

先日崩落事故を起こした自宅の天井部分。崩落現場の衝撃的な画像をまだご記憶の方は多いと思います。

一応、応急処置はほどこしてあるのですが、実はまだ修理していないのですよ。

いつも修理を頼んでいる大工さんが、一家で海外旅行へ行ったまま、まだ帰ってこない。

一体いつまで行ってるんじゃ~。こちとら、昨日も今日も仕事だというのに…。

ところで、ガムテープで補強してある崩落した天井板の周りの部分が、昨日に比べて少し沈んでいるみたい。

突然、ドサッと、天井板が全部頭の上に降ってくるかもしれませんね。

そうなってはいくらなんでも、ダイビングヘッドバットの名手の私でも助からないでしょう。

うぅぅぅぅ~、さむ~   

まぁ、たぶん大丈夫だと思いますけど…。

さて、今日は、戦後60年企画ブログの2回目。

昨日から司馬遼太郎氏の「この国のかたち」を参考にさせていただきながらお送りしています。

ところで司馬氏も、戦争に行かれたんですよね。この本の中でも、本土決戦があったら数時間以内に我々は戦死していただろうと書かれています。

そのとき司馬氏が戦死してしまったら、私たちは、「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」、「項羽と劉邦」、「国盗り物語」、「北斗の人」などといった名作は読めなかったわけです。

来年の大河ドラマに決まっている「功名が辻」もなかったわけで、NHKも困ったでしょう。

戦争では、司馬氏のような有能な人が大勢戦死しています。「この国のかたち」は、そのことを身をもって知っている司馬氏の戦争に対する憤りがもっともよく現れている作品ではないでしょうか。

さて、太平洋戦争前の日本には、軍部が勝手に戦争を起こしても法律違反とならない抜け穴があったことを昨日述べました。

昨日と重複しますが、大日本帝国憲法も立法、司法、行政の三権分立によってなりたっていた。

ただその憲法には、三権の仲間に入らない但し書きが存在したというのです。

それは一見無用の存在で、他の三権とは法理的に整合しないものだった。

はじめに種明かしをすると、それは統帥権であったと司馬氏は指摘します。

統帥とは、「軍隊を統べ率いること」。当然のことながら、統帥権は国家の元首に属すべきもの。

ところが戦前の日本では、統帥権を同じ軍人が掌握したというのです。

しかもそれを神聖権として、他からくちばしが入れば、「統帥干犯(とうすいかんぱん)」という言葉で恫喝(どうかつ)した。

軍隊を動かす権利を、総理大臣や国会の承認を得ることなく同じ軍人が握る。

その権利が法的に認められていた?

…これはゆゆしきこと。

もちろん、平時のときはいくらなんでも認められない。

国家の「変事」に際してだけ、軍が日本の全てを支配しうるという権利が認められていたらしい。

旧日本の参謀本部の機密文書には、以下の文章があったそうです。司馬氏の本の中の直訳を引用しますと…

「軍と政治は原則としてわかれているが、戦時または国家事変の場合は、統帥権を行使する参謀本部は、軍事上必要な限度において、直接国民を統治することができる。

 それは憲法31条の認めるところである。 以下略 」

 軍隊の機密文書なら、外部に出すものではないですから、勝手に好きなことを書いたというのはわかります。

しかし軍隊が国民を統治することを、たとえ非常時とはいえ、憲法が認める?

その点が引っかかりますよね。

 憲法って、皆さんご存知の通り、国家の基本的な秩序を定めた法。つまり国でいちばん大事な規則ですよね。国の治めかた、国の仕事のやりかたをきめた規則、それから国民のいちばん大事な権利、「基本的人権」を定めたもの。

 そんな大事な規則に、軍隊が国民を統治できるなんて書いてあるなんて、とんでもないことだと思いませんか?

 大日本帝国憲法の31条は、第二章の「臣民権利義務」の中にあります。内容を本から引用すると、国家の大変なときは、国民の権利や自由は、これを制約したり停止したりできるというもの。

 こんな条文が憲法に入っているなんて、とんでもない!と思ったら、この項目は当時常識のようなもので、どこの国の憲法にも入っていたとか。

それはともかく、重要なのは、国家の大変の時とはどういうときかってことですよね。

 本のたとえ話がすごくわかりやすいのでそのまま引用すると、これは人が病気になって病院へ入院するようなものだと言います。

 たとえば、入院中、怪我人や病人の自由は制限され、医師の指示下に置かれるような認識で描かれたようなものだというのです。

 最近の医療業界は、もちろんそんな認識はないでしょうけど、病人や怪我人が自儘にできるのも限度があります。

 ちょっとトゲが刺さったぐらいの怪我で医師の指示下におかれ、自由が制限されたのではたまらない。怪我人の自由が制限されるのは、意識不明の重体など非常の事態に限られるでしょう。

 その辺りの解釈をめぐっていろいろなやり取りが行われたそうですが、そういうあいまいさ自体、さまざまな問題が起きて当然ですよね。

そういう法律の不備から、どう日本は坂道を転げ落ちて行ったか。

それは明日、8月15日の終戦記念日に書きます。

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弁護士VS便利屋 新人純文学作家誕生?

 おととい書いたブログ、「面白かった直木賞ベスト5」は、多くの人に読んでいただけたようでとても感謝しています。ちなみに、5位が2作品だったので、7位以降には以下の作品を選ばせていただきました。

第七位 「赤目四十八瀧心中未遂」 車谷長吉著

●第八位 「愛の領分」 藤田宣永著

●第九位 「私が殺した少女」 原寮著

●第十位 「遠い海から来たCOO」 景山民夫著

 それにしてもランキングを選ぶ作業は楽しい。これは素人の特権かもしれませんね。プロの書評家や出版関係者だと、知ってる作家や出版社の担当者なんかがいて、いろいろ差し障りの出る部分もあるかもしれない。私だって、取引のある会社や病院、施設関係の商品やサービスにランキングをつけなければならないとしたら結構ビビリますよ。っていうか、できません。仕事とは関係ない分野で、これからもいろいろベスト5を発表したいと思いますね。

 たとえば、面白かった乱歩賞受賞作ベスト5、同じく芥川受賞作ベスト5、過去の映画音楽ベスト5。うーん。かたい内容だけでは面白くないな。自動販売機のそばに十円玉が落ちている場所ベスト5、営業に行けば必ず成果のあげられる会社ベスト5、アイドル顔の店員のいる牛丼屋ベスト5なんていうのはどうだろう。

 そんなのこっちが教えてほしいぐらいじゃ~!!!!! 

 それはさておき、昨日の夜、便利屋さんは、仲のいい弁護士先生と二人で飲みに行きました。

 かっこいいなぁ、弁護士。その先生本人ではなく、弁護士という資格・職業が。

 便利屋じゃなくて、「便利士」と自称しようかなぁ。ひまわりに天秤の弁護士バッチの真似して、便利屋七つ道具を模した金バッチを作り、胸に飾ろうかしらん。でも、弁理士というメジャーではないけれど知る人ぞ知る資格もあるし、なんかかえって卑屈になりそう。

 それはとくかく、私はこれでも法学部を出ているのです。優の数だって40個あったし、銀行業務検定法務3級だって持ってる。(←自慢になるか?)

 屈折十余年の勉強ののち司法試験に合格し、現在、民事の敏腕弁護士として活躍するS氏と、かたやエリート便利屋。さぞ法律論争で盛り上がると思いきや。飲み屋の場面を再現してみると…

弁護士先生「弁護士は体力的にきついから、あと何年かしたら引退して、そのあと純文学をやろうと思ってるんだよ」

便利士「でも先生。純文学といっても、最近の芥川賞作家は変人ばっかりですよ。先生のような普通の…」

 普通の、と言おうとして、そこに倉本聡的な「間」が、数秒…。

 そうだったぁぁぁぁぁ~。その先生は極め付きの変人だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!!

 具体的にどう、という形で書くと本人が特定されてしまうので、差し控えさせていただきますが、五十代半ばで顔は少年のような童顔。いつもほっぺがりんごのように赤くて、私がチャチャを入れると、「何、言ってんだようぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~」と、真っ赤な顔を一層赤くして必死に抗議する。しかも、人のことは言えないけれど、独身。

 そういえば弁護士って、ミステリーの分野で活躍している人って結構いますよね。

便利士「是非、書かれたらいかがですか?先生みたいな変人、いや、個性的な人格をお持ちの方ならきっと芥川賞をとれますよ」

弁護士先生「いや、そう簡単に賞はとれないよ。最初は書評からやっていこうと思うんだ。○○さん(←オイラ)、去年本を出版したよね。なかなか面白かったけど、ほかに書いた原稿ない?」

便利士「趣味で書いたどーしょーもないミステリーならいくつかありますけど」

弁護士先生「じゃ、それを見せてよ。その書評から文筆活動を開始するから…」

   倉本聡的な「間」

ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~、そ、それだけはお許しください、お代官様、弁護士先生様。お慈悲を、お慈悲を~!!

 その経緯を知りたい方は、こちらをクリックしてご覧ください。

 それにしても、何年かあと、弁護士出身の芥川賞作家が誕生します!する予定です。皆さん、是非、御期待ください。

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今度こそ、面白かった直木賞受賞作ベスト5

 昨日、ブログのデザインをちょっと変えてみました。ブログをはじめてから一ヶ月もたつのに、トラックバックやコメントの仕方もわからないまま、自己チューのブログを続ける日々。そんないい加減さに終止符を打つべく、ブログの活用法についての本を買ったんですよ。

 その本の中に、「さわやかな好感を与えたいからブログの色を水色系にしようなんて思っていませんか? そんなあなたは要注意!」というコメントがありました。なんでも水色は、「冷たい、憂うつ」というマイナスの印象をブログの読者に与えるらしいです。ただでさえつまらない冗談が多いのに、なおかつマイナスの印象を与えたら一大事、と自分でもすぐできるブログの配色を変えることにしました。

 で、とりあえず変えてみたのが、茶系、ベージュ系の配色。うーん。ほんわかムードでいいんだけど、眠くなってきそう。たぶんまた変えると思いますが、今日はとりあえずこれで行ってみよう。昨日の夜、もっと納得の行く色はできないかと深夜まで色の追求をし、ちょっと寝不足状態なのです。この熱意が、ブログの文章に出ればいいんですけどねぇ。

 それはともかく、今日の本題は、昨日の続きの「面白かった直木賞受賞作ベスト5」でした。おもに昭和54年以降の作品で、もちろん便利屋さんが読んだ作品。ですから、私が読んでない作品は入っていませんのであしからず。でも、受賞時脚光を浴びた作品は大体読んでいると思いますよ。

 さて、いつもながらの長くて内容のない前ふりのあとお送りする、「便利屋さんが選んだ、完全自己チューの面白かった直木賞受賞作」は、以下の通り決定いたしました。

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダタ…… ←タイコ?の音

●第五位 「緋い記憶」 高橋克彦著

 …これを読んだのは、いったい何年前だろう。少なくとも十年はたっていると思う。今回ここに書評を書くにあたって、再度読み返していないので、正直ほとんどストーリーは記憶に残っていません。でも、この本を読み終わった後の鳥肌がたつような恐怖というのだけは今でも残っていますね。「記憶」というテーマで書かれたホラーミステリーの短編集で、表題作の「緋い記憶」は、自分の子供の頃のまだ今ほど裕福でなかった時代のノスタルジーを感じさせます。確か、覚えている内容は、古本屋で見つけた生まれ故郷の古い住宅地図には、あの少女の家だけが、なぜか記されていなかった。主人公は、自分の記憶を元にふるさとを訪ね、自分の驚くべき過去を思い出す。きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~、最後のどんでん返しが怖いよ~!!!

第五位 「ナポレオン狂」 阿刀田高著 

 …これも上記の「緋い記憶」と同様、ミステリーホラーの短編集です。上記の作品に比べ、ホラーの要素よりも本格推理に若干ウェートが置かれている点が違うかもしれません。論理的結末があったほうが好きという便利屋さんの好みにあっているだけで、どちらがすぐれているということはないと思います。表題作、「ナポレオン狂」は、それほどでもありませんが、このなかの短編ミステリー「来訪者」は、文句ない傑作です。淡々と書かれていて、何だ大したことないじゃんと思って読んでいると、最後の一行のどんでん返し、それが怖い、怖い。それまでの流れが比較的平坦で、日常よくあることの繰り返しなので、最後の究極の非日常があまりにも鮮烈。便利屋さんにミステリーを書きたいという気持ちにさせる記念碑的な作品でもありました。

● 第四位 「4TEEN」 石田衣良著 

 …御存知、「池袋ウエストゲートパーク」で有名なベストセラー作家ですね。はじめてそれを読んだとき、おもしろい文体だなぁという感想を持ちました。ちょっと既存の作家と違う対象のの見方というか、捉え方というか。あとで聞いたらこの人は、コピーライター出身だそうですね。コピーライターは文章で持って、商品の魅力をさまざまな角度からアピールする。だからこの人の書く人間や場所はすごく魅力的なのですよ。でも、ミステリーを書いてしまうと、トリックやプロットの稚拙さが前面に出て物足りないと思っていた。この作品は、ミステリーじゃなく、14歳の少年たちの友情や成長をすごく生き生きと描いている。佃島や月島などの情景描写も秀逸ですな。石田衣良のいいところだけ全部でてるから、受賞しますよね。

● 第三位 「女たちのジハード」 篠田節子著

 …最初、タイトルを見たときは、テレビドラマの「ショムニ」のようなスーパーウーマンが出てきて、男たちをやっつける、痛快だけどあまり内容のない物語じゃないかなと思った。だけど、取り上げるテーマ、登場人物の性格、ストーリー展開、どれをとっても面白い、面白い。はじめて篠田節子を読んだのがこの作品だったけど、すっかりこの人のファンになってしまいましたよ。「女たちのジハード」が直木賞を受賞しなければ、一生便利屋さんはこの人の作品を読まなかったと思う。どの作品も面白かったけど、その中では「絹の変容」が特にお勧め。この作品ですが、不動産の知識、とくに共同入札の実例なんかがリアリティあふれていて、元銀行員の便利屋さんでもうーん、よく調べているとうなりましたよ。

● 第二位 「恋」 小池真理子著

 …正直、この作品も読んだのが十年近く前で、内容はうろ覚えの状態。だけど、読後は、数時間も放心状態になったという記憶がある。やっぱり登場人物が、ちょっと異常なんだけど、全然違和感なくリアリティにあふれ、生き生きとして魅力があるんですよね。上流階級の人たちとも、仕事で接点がありますが、ここに出てくる大学教授夫妻のようなすごい善人なんだけど、一般社会から見ればホントかけはなれているライフスタイルを持つ人って結構いますよ。そのへんの書き方ってうまいですね。そういう変人と凡人たる一般人との悲しくせつないラブストーリー。この作品は、映画化、ドラマ化されていないんでしたっけ。たとえあったといしても、この異常で美しい世界は、完全に映像化できないかもしれませんね。第一役者がいないでしょう。知的で、異常で、根っからの善人で、かつ純粋な人なんて。

● 第一位 「カディスの赤い星」 逢坂剛著

 …迷いに迷ってこの作品を一位にしました。おそらく、直木賞受賞作全体の中で、いろんな人に投票してもらったとしても、この作品を一位にする人はいないのではないでしょうか。正直、この作品を読んだあと、この作者の他の作品を読んで多少失望を覚えている便利屋さんとしては、激しい葛藤があったことも事実です。でも、それを割り引いても、この作品は好きだなぁ。とくに前半。従業員3名の小さな広告代理店を切り盛りしていて、自宅部分と仕事部分がごっちゃになっているなどのリアリティー。広告業界における下請け零細企業の悲哀と広告の仕事の細部の表現なんか、すごく面白くて勉強になった。自分の会社も創業してすぐで苦労していた時期だったから、それと重ね合わせて読めたのかもしれない。後半のスペインは、がらっと感じが変わりますが、その展開も鮮やかで冒険小説を読んでいるような気分になります。トリックや意外な犯人もあって、ミステリーとしても水準に達している。何より、主人公の恋人のヒロインがとても魅力的に描かれていますね。最後、ストーリーが、思わぬ結末にむかって読者としては悲しいのですが、それも作品の質を高める要因になっているのかもしれません。

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面白かった直木賞受賞作ベスト5?

 昨日はまた、都内のお取引先をぐるぐるまわって一日を過ごしました。ちょっと気合が入って半袖にネクタイで出かけたら、けっこう寒かった。誰も半袖で歩いている人間なんかいない。ますます人様に、「変わった人」という印象を焼きつけてしまったみたい。「若い」という好意的な印象ならいいのだけれど、そうではないような…。

 それはともかく、夕方頃になってちょっと小腹がすいたので、コンビニでスナック菓子を買いました。何を買ったかというと、「暴君ハバネロ」。知る人ぞ知る激辛スナックです。まだ一度も食べたことがなかったので、一度話のタネに食べてみることにしました。公園のベンチに腰掛け、一口それを食べたら…

 カレェェェェェェェェェェェェ~!!!!??? 

 さすがに辛い。でも食べるのを止めようという気にはならない。胃に悪いだろうな、と思いつつ、袋の半分まで一気に食べたころ、公園にはお決まりの動物、鳩が近づいてきました。ひひひ、鳩め、激辛スナックは食べられるのかな、と素朴な疑問を抱きつつ、鳩の目の前にスナックを投げました。

 当然、喜び勇んで鳩が数羽近づいてきます。鳩がそれをついばんだ。

 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~、誰か助けてくださぁぁぁぁぁぁぁ~い!!

 鳩がそんなことをさけぶわけはないのですが、鳩が豆鉄砲を食らったような顔とはまさに言い得て妙。涙目で逃げてゆく鳩を、

 オラァ、食わんかい。おんどりゃぁ、俺の暴君ハバネロが食えねぇて言うのかよ!!と、追い掛け回しました。

 「蛎殻町公園の中心で辛いとさけぶ」(←ちょっとネタが古い)鳩たちを救ったのは、意外にも彼らの天敵と言われるカラスでした。

 鳩を追い掛け回す私の前に舞い降りたカラスは、

 弱い者いじめをする悪党め、許さん!!!!、とまきちらされた暴君ハバネロを猛然と食べ始めたのです。あの激辛スナックを顔色一つ変えず…。

 すごい。カラスの恐ろしさを身をもって感じましたよ。食べ終わると、もっとよこせと獰猛な目で近づいてきます。

 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~、誰か助けてくださぁぁぁぁぁぁぁぁ~い!!

 と、逃げました。

 昨日得た教訓。やっぱり、鳩やカラスに餌をやるのはやめましょう。

 それはそうと、今日は、今までに読んだ直木賞受賞作の中で、便利屋さんが選んだ、「完全自己チューの面白かったベスト5」を書く予定だったのに。また、余計なことを長く書きすぎてしまった。 スターものまね王座決定戦の亡淡谷先生みたいに、

「どうしていつもぶざけるの? ちゃんとまじめにやりなさい!!」

 と怒られそう。そうは言っても、これから本題を書くのはつらいなぁ。昨日の夜、選考がもうすんでいるんですけどね。

 直木賞受賞作は、芥川賞受賞作と違い、一般人にとって、

 なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~

 という作品がほとんどないほど読みやすく、面白い作品が多いです。そりゃそうですよね。大衆文学に与えられる賞だから当然と言えば当然ですけど。

 便利屋さんは、昭和54年の「ナポレオン狂」以降から現在までの受賞作のほぼ半分ぐらい読んでいるでしょうか。芥川賞は、直木賞受賞作ほどたくさん読んでいませんが、自分の中で一番面白かった作品、二番目、三番目、とすぐ出てくる。ところが、直木賞は、どれも面白さでは粒ぞろい。司馬遼太郎は、大好きな作家の一人なんだけど、直木賞受賞作に限って言えばそうでもないというように、ベスト5を選ぶには結構骨が折れました。

 今、ベスト5に選んだ作品も、明日になれば変わっているかもしれません。自分としては、今の世相が読み解けるリアリティーあふれる作品で、少しミステリーっぽい味付けがなされていて、ノスタルジーのような感動が得られる作品が好きです。

 ということで、今日は大層なタイトルをつけたわりに本題に入れなくてすいません。ひらに御容赦を。明日は絶対書きます。

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連休中読んだ小説、「臨場」「介護入門」「硝子のハンマー」の書評

 長い飛び石連休も終わり、今日からまた長い仕事ロードの始まりですね。仕事と休みのごった煮状態の便利屋さん。昨日は、仕事で原宿まで行き、帰りに渋谷へ出たら、またまたアンケートのおばさんにつかまってしまいました。3時近くになっているのに、昼食がまだですきっ腹をかかえながらアンケートに答えましたよ。苦労したあと、図書券をもらえる瞬間が至福のひと時です。

 もらった図書券で何を買おう。本を読むのが子供の頃からの趣味のひとつで、自慢じゃないですが結構読んでます。この3年間、私がどんな本を読んできたか知りたい方は、こちらをどうぞ。(ビジネス便利屋図書館のカテゴリーの便利屋さんはこんな本を読んできたをご覧ください。読んだ本の完全自己チューの五つ星評価もあります

 さて、私がこの連休中に読んだ本は3冊でした。まず、横山秀夫著「臨場」。やっぱり、うまいな~。短編という限られたページ数で、きっちり起承転結をつけ、しかもホロリとさせる部分もある。無駄がないリアリティー。カッチリし過ぎて、遊びがない部分が窮屈だという人もあるけれど、それもこの作家の大きな個性だと思う。遊びがない分、毎回、アイデア勝負となる。そのアイデアが、それぞれ秀逸で、よく同じ人の頭からこんなにアイデアが出てくるなと感心しますよ。ちょっとほめすぎかな~。

 横山秀夫というと、直木賞と決裂した反骨の作家というイメージがある。「半落ち」という作品のなかの一部の解釈の違いをめぐって、直木賞選考委員とすったもんだがあったんでしたよね。「半落ち」は、かなり前に読んだので、ちょっとうろ覚えの部分もあるけれど、プロットが緻密で、構成に新しい趣向をもちいた意欲作だったという記憶があります。

 しかし正直、ちょっと違和感もあった。それは、犯人の動機。ミステリーの書評なので、細かくは書けないけれど、ちょっと作り物めいた部分もあり、心から共感できない気もした。しかし、文体、プロット、構成の斬新さは十分直木賞の水準に到達していると思いましたよ。いずれにせよ、選考委員が指摘とした部分は、ちょっと難癖じみてますな。過去の受賞作、原寮の「私が殺した少女」だって、動機はこれよりもっと問題だったと思うけど、その他の部分の秀逸さで受賞しましたもんね。

 作家にとって、直木賞は取らないよりはとったほうがもちろんいい。あのときだんまりを決め込めば、その後、これだけ水準以上の作品を出しているのだから、いずれ間違いなく受賞したでしょう。(「臨場」は、候補作になっても誰も文句は言わない作品だと思うし)だから多くの作家が、だんまりを決め込む。処世術としてはもっともいい方法だと思うし、自分もおそらくこの手の行動をとると思うけど、それをわかっていて払いのけちゃう不器用なところが人間的な魅力に見える。「ばかだな~」と思いつつ、心の中であこがれみたいなものがあるんですな。それにしても、身を削って書いているような緊張感が、作品の中にあり過ぎ。

 横山秀夫氏。結構、病気を抱えているそうですが、ホント、体だけは大事にしてくださいよ。

 次に、モブノリオ著、芥川賞受賞作「介護入門」。これは、わかんな~い。やはり自分には、純文学はわからないのだろうか。綿矢りさや金原ひとみの受賞作はそれなりに楽しめたのに…。

 何年かに一回。芥川賞選考委員は、普通の人には読めない作品を受賞作に選定する。一般の人間は、純文学という高尚なものに気軽に触れてはならぬというアンチテーゼなのだろうか。どうしてこんなにセンテンスが長いの? ボキャブラリーの豊富さは驚異的だけど、どうしてそれが有機的に結合していないの? 文芸春秋はお金がないわけじゃないのに、どうして余白を多くして読みやすくしてくれないの?

 町田康の「きれぎれ」もこうだった。←だじゃれ?(違います)こういう作品は、どういうふうに読めばいいのだろう。頭を金髪に染めたロックミュージシャンが80歳をこえる祖母の介護を行うというシチュエーションはとても面白いんだけど。こういう文章は、文章を理解しようと努めるのではなく、ロックを聴くように、体全体で文章のリズムを感じ、それと一体となることによって陶酔感を味わうように読んだらいいのかな。

 誰か教えてくれ~!! 時代について行きたいよう~、 最先端の純文学がわかるナウい人と呼ばれ、尊敬されたいよう~ (※下線部おやじ表現)

さて、最後は貴志祐介著、「硝子のハンマー」。うん、これはわかる。あの名作「黒い家」を書いた著者の本格ミステリーですから。面白かったですよ。

 途中まで、すごく面白かった。やはりミステリーなので、あらすじを細かく書けないんだけど、企業のセキュリティーがすごく細かく書き込まれていてリアリティーがある。本格モノって、トリックや謎に力を入れ、そこから物語を作っていくことが多いから、どうしても現実にはありえないようなシチュエーションになる場合が多い。まあ、それはそれでおとぎの世界の話として考え、素直に謎解きを考えられるから好きなんですが。

 途中まで読んでいて、これはまぎれもなく★四つの評価だなと思った。ただ最後の種明かしのところでちょっと作者の辻褄あわせのような苦しさも感じられて、惜しい~と★半分のマイナスと自己チュー評価させていただきました。でも、相当セキュリティーには細かく触れていて、その方面の知識を得られるだけでもこの本は「買い」ですな。ちなみに作者の出世作、「黒い家」は厳しく評価しても、四つ★評価以上なのは間違いありません。

 作品の作り方として、まず今まで考えられてこなかった密室殺人事件を作ろうとして、次にその方法論をいろいろ考え、それに対するシチュエーションや道具立てを組み込んで行ったのかもしれませんね。しかし、ちょっと不自然な道具が中にあったと思う。それにこれだけの長編にしては、トリックがちょっと小粒で、謎もそれほど読者をひきつけるにしては弱かったのかもしれない。もっとも短編のトリックで、ここまで面白く引っ張るんだから、作者の筆力はすごいと思えますね。

 でも少し惜しいなぁ。もっと伏線をはって、謎が錯綜してどうしようもないぐらい事件がごちゃごちゃになって、最後意外な犯人が論理的に割り出される形になるとすごいんだけどなぁ。

 短編ミステリーを趣味で書いている自称素人ミステリー作家としてはそう思うわけですよ。そんなにえらそうなことを言うなら、お前の書いた「すごいミステリー」を見せてみろ、ですって?

 ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~、そ、それだけはお許しください、お代官様。もう、えらそうなことは申しません。自分に書けない卑しい嫉妬心から、このようなことを申しただけでございます。お慈悲を、お慈悲を~!!

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